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無題

私は一度自殺をしようとしたことがある。あの時は、家族以外の人間に泣かれた。家族は一切涙を流さず、金のことばかり請求された。しかし、他人の涙というものは恐ろしいものだ。私はそれから、死ぬことに対してほんの少しだけ抵抗が出来てしまった。馬鹿な話だ。

死にたくて死にたくてしょうがないのに、死ぬことに対して抵抗がある。おかしいだろう?でも、本当にそんな状態なんだ。

相手を泣かすことも嫌だ。私が死んで悲しむ人間が一人でもいる限り、私は足掻き苦しみながら生き続けるだろう。私のせいで誰かが涙をこぼすのだけは避けたい。ただそれだけだ。優しいやつだろう?私は。
あとは、この世から忘れられたくない。この2つの感情だけだ。

大多数の人間はいつか忘れられてしまうものだ。それは、この世に功績を残してないから。でも、私は誰にも忘れられたくない。功績を残してなくても、せめて私の友人たちが寿命を全うするまでは、私のことを覚えていてほしい。そんな事を感じた。それと同時に、私は大切な友人たちとは写真を撮っておこうと考えた。

私の大切な友人の大多数は、いつ死ぬかわからない人間達だ。精神的に苦しんで最終的には自殺を図る。そんな状況に置かれている。可哀想な話だろう。

もちろん、彼らにも死ぬ権利があると思う。私ごときがそれを止めるなんてことはできない。烏滸がましい話だ。しかし、私は彼らが生きていたという記憶を残しておきたい。私がこの世から居なくなるまで、彼らが存在していたということを証明したい。社会や家族のせいでもがき苦しんだ人間がいたということを示さなければいけない。そう思った。

さあ。どうしようか。
とりあえず何年かかってでもいいから、彼らとの思い出を写真に撮ることにしよう。そして、アルバムにしていつでも見返せるようにしておこう。それが私の生きる目的かもしれない。

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