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新しい一歩の踏み出し
子どもが宿泊学習で家にいない期間を利用して、思いきって私も「ひとり旅」にチャレンジしてみることにした。
母が亡くなっても
日々の生活に追われ
あっという間に一日が過ぎて…
なかなか出来なかった自分の中での母との別れ
そのモヤモヤにきちんと心の整理をつけたいと
思ったのがきっかけだった。
私の中では母は大きな存在で、心の支えでもあった母。
料理も裁縫も、なんでもそつなくこなして、人にも好かれるステキな人だった。
でもいつかは訪れる『死』
わかってはいたものの
辛く、哀しく、そして大きな存在が居なくなった喪失感… に、やはり襲われた
でも、意外や意外
当時は以前から想像していたよりも淡々と手配に明け暮れていた。
まあ取り乱している暇がなかったしなぁ。
葬儀や法事などが一段落しても、日々の生活は待ったなし…(;´∀`)
モヤモヤだけが募っていった感じだ
なので今回の旅は
自分のために自分ペースで自分の心と向き合う
「ひとり旅」 と相成った。
母との思い出の地へ
私は幼い頃から両親に連れられ、よく奈良県にある信貴山朝護孫子寺に参拝していた。
今回は母の追悼と私の心ときちんと向き合う為ゆっくり参拝して回りたかったのもあり、信貴山内にある宿坊に泊まることにした。
静寂が広がる「やすらぎ」の場
宿坊なのでもちろんテレビは無い
また、他にも沢山の宿泊客がいたがドタバタという騒音も無く、ただ静かな空間があるのみ。
食事中も誰一人騒ぐことなく静かに御膳と向き合って、食べ終わるとスッと自分の部屋に戻る
というちょっとした修行体験になった。
部屋にポツンと一人で座り、お茶を啜りながら母との間で起きた喜怒哀楽の出来事を思い出していた。
淋しかった事、嬉しかった事、哀しかった事、楽しかった事、嫌だった事、反抗期の時、私の子どもが生まれた時…
もっと向き合って言いたいことを言えば良かった…
あんな言葉、母に言わなければ良かった…
ぽつりぽつりと…
涙のツブと共に溢れだし…
気が付けば大きな声で泣いていた。
いい歳をしたオバサンが、脇目もふらず
ワンワンと泣いていた。
静かな空間は私をひとりにしてくれた分、逆にその静けさでまた私をそっと包んでくれた。
食事は静寂な中で1品1品ゆっくり味わい楽しみながら、この1膳のためにかかった沢山の人達への感謝と食べられる幸せを感じれた。
何だか
新しい何かに一歩踏み出せたような旅だった。