
記事内容振り返り ~ 2025/1
はじめに
振り返れば、この定期購読マガジンを始めてから、既に2年以上が経過しました。昨年末に公開した記事のナンバリングは115。随分書きましたねぇ…
このマガジンのタイトルに Azure とついていますが、最近はそれに特化している記事は少なくなっているので、Azure ならいいやと思わないで定期購読してくださいね。今回は、過去どんな記事を公開してきたかを、読者の皆さんへのインデックスとして、また、筆者自身の振り返りとしてリスト化することにしました。
2025年最初の記事だしね。
記事インデックス
記念すべき?最初の記事
この記事では連載の開始と扱うトピックスの全体像を書いています。概念モデリングなどにも触れているので、振り返るとその後の展開はそこから踏み外してはいないようです。
Microsoft Azure から提供されている IoT・Digital Twins の基本的な使い方
第一回~第十六回 では IoT・Digital Twins 向けに提供されている Microsoft Azure のサービス群の使い方を、IoT・Digital Twins 系ソリューションのアーキテクチャ設計的な観点も含めて解説しています。
プラスで、実際に利用する際のハマりポイントやその解決策を書いています。「Azure じゃないクラウド使っているから関係ない」なんて思わないでくださいね。特定のクラウドベンダーに特化しない話も満載。それから、「単に機器のデータ見たいだけだから関係ない」え?それもダメでしょう。そんなものは IoT・Digital Twins ソリューションとは言わないし、そんな動機で初めても使い捨ての役立たずが転がるだけなので。
Azure IoT Edge(Docker)の使い方
第十七回~第五十回 では、Azure IoT Edge の使い方を諄く詳しく解説しています。Azure IoT Edge は、純正 Docker ベースの仕組みで、現場側に設置される中・大規模コンピュータ上で動く技術セットです。
この仕組みとても便利です。Azure とは関係なく開発した Docker Image が Docker Container としてそのまま動き、クラウド側から、個々の Azure IoT Edge 搭載機器上で動く Docker Container をリモートで指定が可能。更には、多段接続して、クラウドから見て初段の Azure IoT Edge デバイスのみインターネット接続で、それにつながる子機 Azure IoT Edge デバイスは論理的にもインターネットから切り離されたローカルネットのみの接続で良いっていう点。親機 Azure IoT Edge デバイスを通じて、インターネットとつながっている時と同じように、Azure IoT Hub を通じてクラウド側から、その子機 Azure IoT Edge 上で動く Docker Container を指定できるという優れもの。
ただし、実際にこの構成を組もうとすると、Microsoft の公式技術コンテンツである Microsoft Learn の記述がしょぼすぎて実質的に無理なので、是非、使っている人は一読してほしいところ。
他に、サーバー側で Docker 技術を使っている IT 屋さんは多いと思うけど、組込み機器環境で使う場合には、サーバー側ではあまり問題にならない色々な問題が出てきてしまうので、その辺りの解決策も書いている。
組込み機器の CPU アーキテクチャやメモリ量に関わる制約
OS の種類やバージョンの問題 ※ AI のライブラリを使うときに結構深刻な問題になる
Docker Container から I2C や USB 機器でつながった周辺デバイスとの接続方法
この辺のトピックスは、多分他にないと思うので是非。
ついでに言っておくと、マイクロソフトが、2023/11 に公開して未だ正式リリースされていない、Azure IoT Operations 。これ、K8s とかの話が絡むけど、Azure IoT Hub や Azure IoT Edige が一切出てこないので、Azure IoT 系の既存ユーザーはちょっと不安に感じていたと思う。でもさ、これ、個人的な感想で申し訳ないけど、IT 屋さんが仕組みを考えるとこうなるよねぇ…というのが素直な感想。この技術セット未だに正式リリースにならないところを見ると、そのままずっと放置プレイで消えるのかなぁ…て感じ。
Red Hat も似たような仕組みを公開していて、そっちの方がいいんじゃないか?というのが現時点での私の認識。
Azure IoT Edge は2024年も Ubuntu の新バージョンや Yokuto とか継続して正式対応 OS が増えているので、しばらくは Azure IoT Hub、Azure IoT Edge を使い続けて問題はないと思うよ。
他に、途中、小型組込み機器向けの Azure IoT Device SDK for C の話や、Sense Hat の話、動画ストリーム標準のRTSP の話もあるので是非。
Azure Embedded SDK for C の使い方
第五十一回~第五十七回 は小型の組込み機器向けの Realtime 系 OS で動くデバイスを Azure IoT Hub に連携させる SDK のお話。
このお話は、私も参画している JASA(組込みシステム技術会)の Open EL ワーキンググループの活動へのコントリビューションとして書いたもの。
途中、小型組込み機器間の通信プロトコル設計に関するちょっとしたコラムを交えながら、旧 ThreadX系の Azure RTOS や Free RTOS 等を ESP32 や、それと連携する Seeeduino 等で使う場合について、具体的に描いています。
DTDL のお話
第五十八回と第五十九回は、Azure Digital Twins の Twin Model を記述する DTDL(Digital Twins Definition Language)のお話。DTDL の Version 3 が公開されていたので、それに伴って、Azure Digital Twins、接続用の SDK が更新されたかの確認。残念ながら全ては更新されていなかった(涙)。そろそろまた更新確認してみようか。
音を収集・認識するお話
第六十回~第六十九回 は IoT 機器が集めて有用なものなはずの音に関するお話。Windows や Linux 系について収集方法や、関連する AI の話を扱っている。サウンドについては Windows 系が一番充実している印象。
そういえば最近、Azure OpenAI Studio でも音対応したという記事を見かけたので、そのうち試してみることとする。
ONVIF のお話、そして、Web アプリケーションへ
第七十回~第八十一回 は、ネットワークカメラの標準である ONVIF の基本的な使い方と、既に死に体になっている WCF、そして現役のASP .NET Framework を使った Web アプリケーションの開発、IoT ソリューションでは絶対必要であろう、Azure IoT Hub と連携したデバイス登録、その流れで使う、スマホやタブレット、PC で動くアプリのお話。
最後の記事は、昔大好きだった Azure IoT Hub の Device Stream という機能が既にオワコンになっていたという悲しいお話。
Matter のお話
第八十二回~第八十七回 は、スマートホーム系でデバイス、アプリ、サービスを連携させる標準の、Matter を取り上げた。実際に Matter 対応のデバイスやアプリ、サービスを作るには、CSA(Connectivity Standards Alliance:旧ZigBee Alliance)の会員になる必要があって、この一連の記事は、非会員という立場で外から知りうる情報を元に書いてみた。
Amazon や Google をはじめとする殆どの市場を牛耳っている企業が CSA に参加しているので、もはや、Matter が機器連携の標準になるのは間違いないだろうというのが私の感想。見たところ、Azure IoT 系との共存・連携は全然問題なく可能(Matter は分散協調型で、Azure IoT は中央集権(アイデンティティ管理とデータ集約という意味で)+地域主権のアーキテクチャ)なので、組み合わせて使うといいと思う。
Matter、2024年に漸く日本企業も対応を加速させ始めているようなので、一安心。
リレーショナルデータベース × Web アプリケーション ~ Entity Framework ~ のお話
第八十八回~第九十九回 は、ASP.NET Core × Entity Framework によるリレーショナルデータベースを使うソリューションのお話。途中にリレーショナルデータベースの数学的基礎のリレーショナルセオリーの話も交えているので是非。
健診受診をテーマとした Digital Twins ソリューションの開発のお話
第百回~今に至る連載は、健康寿命を延ばす施策として実際に長野県で行われている歩行解析健診受診を元にした IoT・Digita Twins ソリューションの開発ウォークスルーのお話。
このお話は、間接的(直接的?)に、IIC(Industry IoT Consotium)の Healthcareのリファレンスに関係して書いている記事でござる。
IoT・Digital Twins ソリューションの開発において、Azure とか AWS とかどうでもよくて、一番重要なのは、”何の Digital Twins なのか”なのよ。
だから”何の”を記述する概念モデリングを前面に出した記事になっている。
もし読者のあなたが IoT や Digital Twins なるソリューション開発に携わっていて、、この話を読んで、「何これ?自分の仕事に関係しないかも?」と思ったら、あなたが開発に携わっているソリューションは実際には役に立たないソリューションになると思っていい。なぜなら、IoT・Digital Twins に限らず IT ソリューションという代物は、何らかのビジネス上の課題を解決するために作られる道具だよねと。別に概念モデリングを厳密にやらなくてもいいけど、何らかの代替手段(それもモデリングと呼んでよい)で、ビジネス上の課題がモデルとして記述されていなければ、出来上がる IT ソリューションはなんだかよく判らない代物になるはず。偶然ドンピシャでベストフィットの IT ソリューションが偶然出来上がるかもだけど、それは地球上で人類が誕生するぐらいの確率で同じぐらいの時間がかかるだろうねと。
最近色々なところで、概念モデリングについて語っているけど、”玉石混交コラム”で書いている通り、概念モデリングは、言語を基盤とする人間の思考の基本の上に組み立てられているので、ちゃんとした何らかの代替手段で何事かを記述してモデル化しているなら、”Art of Conceptual Modeling”を読んでピンとくるはずなので、読んでみて。
え?「開発した IT ソリューション、問題なく動いてますよ」だって?日本人は現場力凄いからね。しょぼいシステムでも現場が運用でなんとかしちゃったりするんだよね…ただ、その IT ソリューションが導入される前に比べて作業が増えちゃってるはずだから、確認してみるとよろし。
以上で、インデックス&簡単な紹介は終わりです。
補足的なコラム群
この定期購読マガジンでは、偶にコラム的な記事も載せています。それらは”前回の記事”、”次回の記事”からは外れているので、ここにリスト化しておきますね。
最後に
今回は新年(2025年)一発目ということで、全て無料で購読可能としました。今後もよろしくお願いいたしまするー
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