見えない弱さ(HANAちゃんストーリー第16話)
いつも笑顔の君は時折、泣きそうなくらい悲しい顔をしている。
彼女の周りにはいつも友達がたくさんいる。
明るく元気で、大きな声で笑う。
その声を僕は、教室の端の席でいつも聞いている。
耳で彼女の声を探し、目で彼女の姿を見つける。
彼女はいつだって笑顔だ。
と、思っていた。
周りの友達たちが騒いでいる中、ふと、窓を見つめる瞳。
三日月のように垂れ下がっていた瞳は、次第に満月へと変わっていく。
何を見ているのだろう。
通りの向こうを愛犬と歩く人?
腕を組んで歩くあの2人?
違う。
空を見上げている。
友達の笑い声なんて聞こえていないように。
誰かを想うあの瞳は、薄く透明がかっていく。
彼女の瞳から溢れてくる。
見えない悲しみ。
彼女の悲しみを、少しでも僕が持ってあげられれば
君を救い出せるのだろうか。
終わり