いまさらながら東京遠征を語る【出版社をつくろう】
栗原さんとのイベントがあった1/11とその前後1日ずつ、累計3日、僕は東京に滞在していた。それなりに交通費とホテル代をかけていくので、なんやかんやれこれと活動した。せっかくなので、あの前後、なにをやっていたのかをちょっくら紹介したいと思う。
イベント前日 1月10日(金)
■東京へ
この日、約束は2つあった。16時からのティッシュ配り(新宿)と、18時からのサシ飲み(新宿)である。しかし、その前に一か所行きたい場所があった。IRAという書店さん(新宿)である。
「IRAさんなら本を置いてくれるかもよ」というお声をいろんな方からいただいていたので、実を言うと、前、東京にきたときも訪問した。しかし、残念ながらその日は休業日だった。オープンしている曜日を勘違いしていたのだ。そのときは仕方なく、郵便受けに手紙と本を突っ込んで「また来ます」と伝えておいた。
そのリベンジである。当日は金曜日。金曜日はオープン日であるということは事前に学んできた。さすがに今回は行けるだろうと思って、雑居ビルの三階に上ったところ、どうにもおかしい。オープンしている気配がない。
慌ててXを調べてみると次のような信じられないポストが視界に飛び込んできた。
2025年1月10日(金)まで、年末年始休業・・・・
これだから労働廃絶とか言ってるやつは仕事ができないんだ!!(二度目)
■ティッシュ配りへ
てなわけで、IRAさんを諦めて、次の予定へと歩みを進める。ティッシュ配りである。
「いや、ティッシュ配りって当たり前のように書いてるけど、なんやねん!!」と思う人も多いかもしれないが、文字通りティッシュ配りである。
配ったのは『労働廃絶論』を売るための販促用ティッシュだ。
STOP労働というメッセージとともに、下の方にしれっと『労働廃絶論』のプロモーションを入れている。
そもそもこんなティッシュを配ることになったのには訳がある。1月6日の仕事はじめの日に、セントくんと『労働廃絶論』を配ろうとして雨で断念し、そのリベンジをやろうとしたのだ。
なぜ本じゃなくてティッシュなのかと言われれば、ノリでもあるし、受け取ってもらいやすそうだというのもある。なにより単純に原価が安い。Amazonで買えば一個当たり15円くらいであった。紙代やインク代込みでも一個当たりの原価は20円かそこらである。ノリノリのヤキソバライターとともに、新宿に繰り出す。
「ぜんぶ配りきれるだろうか・・・」なんて心配は杞憂だったようで、持参したのは40個は30分かそこらで配り終えてしまった。本を配るときはかなりコミュニケーションに苦労したのだけれど、ティッシュなら雑に配っても適当に受け取ってくれる。
普段アプローチできない人にアプローチするにはティッシュってかなり有効かもしれない。そう思った。活動家の人とかはビラを撒く人は多いけど、ティッシュを配ってみるのもいいんじゃないかと思う。
ただ、やはり配る人は選んだ方がいいなぁというのが反省点である。不機嫌そうなおじさんに配っても、見向きもせずにポケットに突っ込まれる。若者は比較的「なにこれー!」的な反応を示してくれる傾向にある。次世代の革命家を育む意味でも、若者へのアプローチに集中すべきなのかもしれない(そう考えれば渋谷とかの方がいいのだろうか?)。
時間も限られていたので、もっとやれた感はあった。次はもう少し時間をつくってやってみたいものである。つきあってくれてありがとう、ヤキソバライター。またやろう。
(けっこう注目してもらえそうなポテンシャルを秘めた活動ではあるようだ。)
■哲学チャンネルさんとのサシ飲みへ
『14歳からのアンチワーク哲学』の解説を書いてくれたお方であり、GoodRackさんでのイベントのご縁を繋いでくれたお方でもある哲学チャンネルさん。イベント当日の参加がむずかしかったので、前日に会合。なんどかチャンスはあったのだけれど、実を言うとはじめて会った。しかし、オンラインでは何度も話したことがあったので、初対面感はなかったのだけれど。
詳しい内容は書かないのだけれど、飲み過ぎるくらい盛り上がったし、楽しかった。モチベーションに関する話や、アンチワーク哲学の話、悟りが存在するのかどうかや、槙島聖護がプレーヤーかマネージャーかの話など、いろんな話をした。個人的にはアンチワーク哲学にかんして「そりゃそう!」というリアクションを示してくれたことが印象深い。
解散したのは10時ごろだっただろうか。ホテルについて就寝したのは11時頃だろうか。実を言うと、どうやってホテルにたどり着いたのか、あまり記憶がない。大事なイベントの前だというのに飲み過ぎるくらいに、僕は楽しんでしまったのである。
イベント当日 1月11日(土)
■分倍河原ZINEフェスへ
さて、午後11時ごろに寝て起きたのは5時ごろ。二日酔いと頭痛が目覚まし代わりである。正直、もっと寝たかった。だが寝付けなかった。僕はふだんから5時くらいに起きるので、もう身体が準備をはじめてしまうのである。
その日の予定は11時から。分倍河原のZINEフェスにお邪魔する予定であった。たまたまその日、『労働廃絶論』と『14歳からのアンチワーク哲学』を数日前に仕入れてくれた店舗を持たない書店でありボードゲームショップであるbook & board game shop 'caravan'さんが、出店しているという情報を目にしたことが訪問の理由である。ダラダラとスマホを眺め、朝マックを食いに行って、府中市の分倍河原へ。
もちろんノンアポ。急に来た方がビビるだろうという思惑で、急に行ってニヤニヤしながら名刺を差し出してみた。案の定、ビビってくれた。
色々と話をした。僕の本に興味を持ってもらうくらいなので、やはり店主もとがった思想(まともな思想と言うべきか)の持ち主のようだった。それは取り扱っている本のラインナップを見てもらえば理解できる。アナキズムやオルタナティブ系の思想が好きな人ならぜんぶ買い占めたいという衝動を抑えるのに苦労するだろう。
そして購入。
このマリウスジェイコブというアナキストの演説は、店主が翻訳したモノらしい。曰くアナキズムに関する未邦訳の文献は山ほどあり、それを翻訳していくことが半ばライフワークになっているようだった(じつは『労働廃絶論』も翻訳しようとしていたらしい)。
また、ボードゲームの蒐集にも力を入れられているとのこと。遊びの拡張を訴える『労働廃絶論』とも通じる部分があるような気がした。
■書肆海と夕焼け 夕凪文具店へ
実を言うとそのまま目の前のマルジナリア書店にいって店主に会おうと思っていた。しかし、どうにも近くにある姉妹店の「書肆海と夕焼け 夕凪文具店」の方に行っているらしかったのでそちらに行こうと思った。
が、その前にマルジナリア書店さんで、本を一冊購入。
実をいうとマルジナリア書店さんは、よはく舎という出版社も兼ねており、この短編小説集は店主の小林さんが書いたものとのこと。せっかくなのでと思って立ち読みしていたら、一話目の『かみさまののみもの』でめちゃめちゃ感動してしまい、そのまま購入せずにはいられなくなった。
そして、小林さんにサインをせびりに行く。
最近、サインをせびりながら名刺を渡せば、自然に自己紹介ができるというこすいテクニックを編み出した。作家のサイン会とかでは使えるテクニックなんじゃないかと思う。
・・・というこすい話は置いておいて、まぁ自己紹介して、『14歳からのアンチワーク哲学』と『労働廃絶論』を手渡して、「面白ければぜひ仕入れてください」と営業しておいた。改めて考えればそのやり方で営業して上手くいった試しがないのだけれど、まぁほかにやりようもないし、単純に読んでもらいたいので、別にいいかという感じである。
本の話はあまりせず、お店の話を聞いていた。僕は書店をやりたいとずっと思っていたし、ワンチャン書店になりそうなものの立ち上げにいっちょ噛みできそうなプロジェクトも水面下で進みかけていて、物件も探していたので、物件探しのコツのようなものも教わった(また詳細は明かせそうなタイミングで明かすと思うが)。
さて、お店を後にした時点で14時ごろだったか。16時にはGoodRack入りしたいのだが、もう一軒行く余裕はギリギリありそうだ。さすがにもう、あのお店に行けるだろう・・・。
■再びIRAへ
「一か月ほど前、郵便受けに本入ってませんでした?」という話しかけ方をするのは、たぶん後にも先にももうないだろう。「あー!」と反応してくれて、そのまま気さくに話をしてくれて、仕入れていただくことになった。こんな得体の知れない男を受け入れてくれることに感謝。
そしてついでにずっとほしかったアナキズムカレンダーを購入。
■そして・・・
さて、この時点で15時ごろである。朝マックを食ったのでお腹はあまり好いていなかったし、飯を食うと眠くなるのでそのまま昼を抜いてイベントに望もうかと思った。だが、イベント後の打ち上げでは食べ物が出ないので、さすがにぶっ潰れると思って、腹に入れるものを探していた。
IRAさんの近くを歩いていると、良いモノがあった。家系ラーメンと二郎系ラーメンの融合を謳うラーメンの看板が見えたのだ。僕はどちらも大好きなので、食わずにはいられない。ということで入店。
食ってみた感想は、欲張りすぎるとよくないということである。旨い。旨いのだけれど、どっちかでいい。
こうしてお腹いっぱいになってさらに眠気に拍車をかけながら、僕は高田馬場GoodRackへと向かったのであった。
イベント翌日 1月12日(日)
■大阪へ
さてイベントを終えて、寝たのは深夜2時。それでも6時に目が覚めてしまう僕はとことん朝型人間らしい。
眠い。眠すぎる。しかしその日は昼から親戚の集まりに顔を出さなければならない。僕は眠い目をこすりながら、帰り支度をして、ホテルを発った。
僕は帰りのことを見越して、すぐに東京駅に向かえるように東京駅のすぐ近くの神田駅にホテルを取っていた。しかし、中央線で東京駅に向かおうとすると逆側に乗ってしまった。一駅先の秋葉原で気づいたものの、そこで反対の電車に乗ったつもりが、なにかを間違えたらしく、気づいたら飯田橋にいた。中央線に乗ったつもりが中央総武線に乗っているというミスは、たしか前に来たときもやった。今回の旅では乗り換えミスを起こしていなかったのに、最後の最後にやらかしてしまった。神田に泊まった意味よ。
東京の電車は小難しいし、冷たい。でも、東京の人のぬくもりにも触れることのできた旅であった。めでたし、めでたし。