もこもここもこもホーリーナイト
もこもここもこもホーリーナイト
冬の始まりは突然やって来た。
雪のちらつく窓辺からはひんやりとした冷気が流れ込む。
肩を揉んでくれている幸から、シングルベッドを2台にしないかと尋ねられた翔は、わずかに震えた体を悟られないよう、いつもの口調を変えず、耐えていた。
足先に力が入ったのを感じた。
「いいよ。でも、今置いてるダブルベットはどうするの?」
「もちろん……、あ、腕、楽にして」
僕のカラダと対話しながら、冷静さを失わない幸は、言葉を短冊切りにする。
幸が僕のカラダを調律しだしてからもう二十年になるが、会話を続けながら、決して本位の作業からは逸脱しないひとだった。
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