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ひとかやいこらよ♪~かやの福耳にほぐされて~愛宕山 永楽寺(和歌山県)
さくらんぼが木の葉に隠れたり、お日様に照らされたり、梅雨の合間に爽やかな風が吹き渡る坂の上のお寺、愛宕山永楽寺(和歌山県海南市)を訪ねました。
と、本堂に入ってすぐの目に留まった言葉が……
ひとはみな素晴らしい
たった一度会っただけなのに
二度と忘れられないひとは大勢いる。(シンディ・ローパー)
「シンディ・ローパー!」
「そうなんよぉ、住職がねぇ~♪」と、明るく、朗らかに出迎えてくれたのは、最近、「かやの福耳」を始められた、かやさん。早速、その取り組みを中心に、お話を伺いました。
【今までの「寺子屋ふぁにぃ」との違い】
――前に、「寺子屋ふぁにぃ」というセッションをされていたと思うのですが、それと、「かやの福耳」はまた異なるものですか?
「はい。『寺子屋』という言葉の響きの中に、『教える側』と『教わる側』というイメージがあるって思ってたんです。『さぁ、セッションうけるぞ!カウンセリングやヒーリングに行くぞ!』と決心して動き出せる人もいる。けれど、そこまでに至らない、不安やモヤモヤを抱えた方も多いだろうなって。そこで、日々の喜怒哀楽を吐きだせる場として、その器があればいいなと思ったんです」
――確かに、今って、気軽に出かけて主婦仲間でお茶して愚痴ったり、ちょっとした相談さえ口にしづらい環境でもありますし、すごく助かる傾聴のカタチだろうと、インスタを拝見して思いました。
↑かやさんは、永楽寺インスタも精力的にアップ。https://instagram.com/eirakuji.333?utm_medium=copy_link
「インスタはホント大好きでねぇ♪(笑)本当の自分自身はどう思っているのか、『家族の為、会社の為』という皮を脱ぎ捨てた本当の自分との向き合う器のひとつになれたらと思いました。ありがたいことに『永楽寺』というお寺という大きな器がもともとありますし、そのなかで、なんとなく、心の筋肉のほぐすところから始めたいと思ったんですよ」
――檀家さん以外にも、それを発信して、受け入れる器を用意されているということですよね?
「はい。もちろん、浄財があってもなくても、阿弥陀さんは功徳をもってその方を見送られます。けれども、お檀家さんや地域の方々には、日々、お寺を支えていただいていますし、お檀家さん以外からもと、その枠組みを外して受け入れたいと思ったとき、維持費を頂戴するというカタチで『かやの福耳』に関しては60~90分を目安に、相談料としての浄財を治めていただいたほうが、お互いに気軽かなと思ってそうさせていただいています。エネルギーの交換なんですよ。出したらね、入ってくるのよ~」
【お寺に生まれ育ったかやさんとして】
――今度は、かやさんご自身のお話を伺いたいのですが、映画の『さびしんぼう』を例えに出しますと、お寺に生まれた少年が思春期に葛藤を抱き、不思議なことを体験しながら、受け入れていく、適応していくというシーンがありました。かやさん自身、そういった葛藤をもつこともあったのですか?
「わたし、ほんとに生まれた時から、あみださんが大~好きでねぇ(笑)お寺から出るという選択肢が自分の中に無かったんです。主人にプロポーズされた時も、そこはぶれなかった。主人が僧侶の免許をとってくれてお寺に入ってくれたんです。もう~ でもね、今でも、葛藤だらけよぉ! うーん、そうですね……思春期の頃は、何でも完璧に出来ちゃう母と比べることがあって、もやもやした時期もありましたね」
――お母様の生けたお花をインスタで拝見しました。華道のことは詳しくないのですが、お花から、本当に素敵なお母様の雰囲気が出ておられますね。
「若い頃は、『自分はこんなにお寺が好きなのに!』ってね。子育てと仕事を両立して、お寺の事も完璧にこなしてしまう母と、それに至らない自分を比べてしまってました。草引きだって、母のように完璧に出来ないんですから(笑)今となっては、それは、『違う人間なんだから当たり前』なんですけどねぇ」
ーー社会人になり、母となった時、その葛藤をかやさんのお子さんに垣間見たりすることも?
「そうですね。「○○してほしい」というタイミングが合わないことも、実は、自然なんです。そうしているうちに、娘が声を掛けてくれたり、自然にできていくことも。10したいけれど、一人では到底できない。だけど、タイミングが合わなければ助けては貰えない。そのうちの、3でも5でも、その間に、自分でやれる分だけ、先に進むことを心がけています。そうしていると、想定外のところで、いつの間にか、主人が手伝ってくれていたりする。後になってから、あの時は視野が狭かったなってわかることもあるんです」
ーーお母様のなさる華道に通ずるところがありそうですね。
「母はよく、お花は収まるべきところに収まるからねって言います。何一つとして、思い通りにいくものはないんですよね。わたしがやって欲しいことはやってもらえないかもしれないけれど、わたしのフィールド以外で、動いている世界があります。夫のフィールド、息子のフィールド、娘のフィールド、その重なるところで、やってもらえることがある。それぞれのフィールドを大切に出来る。今できないことは無理にやらなくていいということもありますよね」
――お寺としての企画やイベントを檀家さん以外にもオープンに始められたのは、かやさん?
「実はね、両親が始めた『桜コンサート』からなんです。それを、檀家さん以外にも楽しんでいただきたいと。初回の桜コンサートは、ご縁を頂き、羽生結弦さんに『天と地のレクイエム』を楽曲提供されているシンセサイザー奏者の松尾泰伸さんにもお越しいただきました。それからも、有難いことにたくさんのアーティストさんにご縁をいただいたりしています」
――宗教的なものとして固く身構えることなく、和やかに、誰でも参加できる感じですね。地域のお祭りのひとつとして、お寺という器で、今、出来ることをされているという感じでしょうか。
「はい。そう思っていただければ嬉しいです。地元の地蔵祭りが高齢化により途絶えてしまったことがきっかけで、何かできないかと、お寺の勝軍地蔵祭として、復活させることにもなりました」
ーーインスタや、地域の方々のお声から、『永楽寺さんだから』というところから、『かやさんだから』というカタチがあるように見受けられるのですが……
「ありがとうございます。お寺と言う器が一輪の蓮の花なれば、その花びらひとつにでもなれたらと思っています。とにかくね、一生懸命生きてる方が多いんですよ。吐き出し口がない。ともすれば、その吐き出し方を間違えて新たに火種になってしまうことも。ここだとね、外に漏れることもないですし、安心して話せる場だから。昔って、『ちょっと、奥さん聴いてよぉっ』て、いっぱいお寺に駆け込んでいたこともあったと思います。昔あったカタチが、変わったから、そういうカタチに合わせて、『かやの福耳』は、整えてお待ちしておりますよ」
日々、楽しみながらインスタをアップされている、かやさん。
お寺という大きな器のなかにあるものを、さらに小さな器を分けて、そのなかで出来ることを見つけているかやさん。終始、魅力的な笑顔でインタビューにお答えくださいました。
あなたも、「かやの福耳」さんで、こころの筋肉をほぐされてみてはいかがでしょうか。
(文:香月にいな 取材日:2021.05.23 取材アシスタント:Nさん)
初稿公開:2021.05.26
【かやさんのお寺の朝】
5:00 起床
神棚にお供え(神仏習合のため)
本堂にお供え
6:00 本堂のお勤め
地蔵堂のお勤め
清掃(玄関の石を拭く等)
草引き10本目安
出勤
【かやさんの日常】
Q. お寺以外の大好きな楽しみは?
ドライブです♪ 朝の高いテンションを保てたらなと心がけています。早めに出れたときは、海岸沿いの海南市大崎をドライブして出勤することも。
Q.家族との時間は?
家族でDSです。特にモンハン(笑)この間も、なかなかレベルが上がらないわたしの装備を整えるために、「ひとかり行こうぜ」って。お洋服も大好き。主人には、よく買い物でホームセンターに連れってもらっています。この冬はね、「ブーツを買ってあげる」ってワクワクして行ったら、着いたところが釣具屋さん。確かに、機能性!!!一番寒くないと思いました。
インタビュー後、「大念珠の乾拭き」を体験させていただきました。ありがとうございます。
『かやの福耳』に関してのお問い合わせはこちらから↓↓
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https://instagram.com/kayanofukumimi?utm_medium=copy_link
注)
※映画『さびしんぼう』は、1985年公開の地方映画。大林監督の造語である[3]。広島弁で腕白小僧、悪ガキを意味する"がんぼう"に対する女の子の呼び名がないので『さびしんぼう』というのを考えたという[3]。子供の頃から使っている言葉で、8mm映画にもシナリオにも『さびしんぼう』を題名にしたのが何本かある。"がんぼう"が女の子を思うと"さびしんぼう"になる。"さびしんぼう"は両性具有のコンセプトで、人を愛することは淋しいことだという大林の感性が育んだ造語なのである[3]。大林は「ぼくの映画は全部"さびしんぼう"という題をつけてもいいと話している。“尾道三部作”のひとつ。(Wikipediaより)