2020年韓流ドラマ納め「スタートアップ:夢の扉」二番手の男が泣かせてくる
セカンド・リード・シンドローム。アンダードッグ効果。
2020年の韓流ドラマ納めとなった「スタートアップ:夢の扉」を見終えて、私の中に残った感覚をどう表せるだろう…と思った時に、そんなワードがしっくりきたのです。
セカンド・リード・シンドロームとは:
映画やドラマの主役の次に重要な俳優やキャラにハマって、ついつい応援してしまうことを指します。つまり、本来ならば主演女優と主演俳優がくっつくのを支持するべきところ、メインではない役柄に惚れ込み、いつの間にかその人物がみたくて作品を見てしまう…
(https://www.vogue.co.jp/fashion/article/mihoko-iida-second-lead-syndrome より抜粋させていただきました)
アンダードッグ効果とは:
選挙や何かしらの勝負において、不利な状況にある方を応援したくなったり、手を差し伸べたくなる人間の心理効果。日本で言う、判官贔屓と同義。
アンダードッグ効果が起こるポイントとしては、
・弱い立場である事
・一生懸命努力している事
この2つの要素が大半を占めていると言われます。
もうね、このドラマに出てくる "二番手の彼” に、ときめいたり、背中を押したい気持ちになったり、自分自身を重ねたり…
まぁ、心を掴まれ、泣かされました。
ここで簡単にドラマのあらすじを。
物語は、優しい嘘から始まります。
両親の離婚を機に、姉と離れ離れになり父と暮らすことになったダルミ。
母の再婚相手である財閥の父の娘となった姉とは対照的に、なかなか事業の日の目を見ない父のもとで小さな幸せを感じつつも、苦労を重ねる。
不憫に思う祖母(ハルモニ)は、彼女を何とか元気づけたいと、少年ジピョンに文通相手になって欲しいとお願いします。
身寄りがなく行くあてがなかったところをハルモニに救われ、彼女に恩義があるジピョンは断りきれず引き受けることに。
その時に、本名を名乗るのは嫌だと、たまたま新聞記事で目にした少年の名ドサンと名乗ることにします。
こうして、顔を合わせることなく、ダルミとドサン(書き手はジピョン)の心の交流が始まります。ダルミは、その後も初恋相手、そして理想の相手としてドサンを心の片隅に置き成長していきます。
そこから15年後 ー 静かに歯車が動き出します。
CEOとして成功している姉と再会したダルミは、見栄を張るために自分も起業を考えているのだと嘘をつき、更に、あろうことか、その起業のパートナーがかつての文通相手であったドサンだと伝えます。そして姉に誘われた交流会に彼を連れて行くと啖呵を切ってしまいます。
一方、ベンチャーキャピタル「サンドボックス」で投資家として成功を収めていたジピョンも、ハルモニと再会し、またしても彼女から頼まれごとをします。本物のドサンを探して、ダルミと交流会に行けるように段取って欲しい…と。
何とか本物のドサンを探し出したジピョンは、経緯を説明し、交流会が行われる1時間だけ文通相手であったドサン本人として会いに行ってもらえないかと依頼します。
その1時間限りの役割で終わるはずが…
ドサンがまさかのバグを起こしてしまいます。
ダルミと次に繋がるような行動を取ってしまうのです。
ここから3人を中心に、夢を追うスタートアップ起業そして成功を目指す若者とそのメンターとして…
また恋の相手、そしてライバルとして…
物語が絡み合っていきます。
このドラマ。
放送が終わるたびに、SNSでは “ドサン派” か、”ジピョン派”か、と言う攻防が繰り広げられたようです。
分かります…
あなただったら、どちらに惹かれますか?
・自分の感情に正直で、一途にぶつかってきてくれる、最大の理解者である男性か
・自分の幸せを願って、仕事もプライベートも水面下で支援し続けてくれる男性か
どちらに軍配が上がってもおかしくないですよね。
この先は、ネタバレ要素が含まれます。
これからドラマを見ようと思う方は、ぜひここで一度読むのを止めていただき、ドラマを見た後に良かったらまた是非戻ってきてくださいね。
先ほど、どちらの男性か?と質問させていただきましたが、私は声を大にして言わせていただきます。
“ジピョン派” であると!!!
もうね。
最終回が終わった後に、しばらくジピョンのことを思ったら、泣けて泣けて…
と言うことで、この先は ”最高に愛すべき二番手の男” ジピョンについて、その惹かれたポイントを語りたいと思います。
【永遠のウブ野郎】
ハルモニがジピョンに言う「ウブ野郎」と言う言葉。大好きでした。
そう呼ばれるたびに、そんなことない!と全否定するジピョンでしたが。
私も言いたい。いいや、君は狂おしいほどのウブ野郎くんだよ、と。
だって。
あれだけ仕事もできて、ゴージャスな家、時計、車…なんでも所有している完璧な男がですよ、「ヨンシル(AIスピーカー)、嫉妬の定義は?」なんて、尋ねちゃうんですよ。
ダルミの髪についた糸くずを取ってあげたいとモジモジしてるうちに、横からサッとドサンに先をこされてしまう始末なんですよ。
ドサンがアメリカに渡った3年間、相当有利な状況にいたはずなのに、遂にセーフティーゾーンから出ることができなかったんですよ。
投資家として、またダルミやドサンのメンターとしては、あれだけ毅然とした態度で、時に心を鬼にして苦言を呈することができる人なのに。
ダルミに対しての恋愛の奥手っぷり、そのギャップが、いじらしく、もどかしく、愛おしいったらないです。
でもこれね。仕方ないかな、と思うこともありました。
一つ目は、彼の職種や立場です。
投資家として優秀なジピョンは、確実に回収できる見込みがある会社に投資をしてきました。
またあらゆるリスクを読み、万全を期して、手を打って行く。
「挑戦」とか「ビジョン」や「夢」などいった確信が持ちきれず、不確実なものは避けてきたわけです。
アクセルを踏む血気盛んな起業家達の、頼れるメンターであり冷静沈着なブレーキ役を務めてきた彼は、恋愛においてもそのスタイルから抜け出せなかったのかな…と思いました。
二つ目は、根がいい人で、そこから抜け出せなかったと言うことです。
ダルミに対する自身の恋愛感情に気づき、思いを告げようと思い、ハルモニに伝えた時。
それを反対されました。ダルミとドサンは、もう上手くいき始めてると。
今更手遅れだ、邪魔をしてくれるな、と釘を刺されます。
そう言われても、自分の思いを優先しようと思えばできるはずなんですよ。
でもジピョンはしない。「まるで自分は道化者だ」と涙を流し、感情を露わにするも。
ハルモニに対する恩。そして、何がダルミにとっての幸せかを考えて、結局は自分の気持ちを抑え、そちらを優先するんですね。
【敵に塩を送れる男】
彼はスタートアップの会社だけでなく、人を見る目も冷静で一流だと思いました。
だからこそ、最後の最後。
ドサンの成長、そして男としての彼を認め、ダルミを幸せにできると確信し、椅子取りゲームの最後の椅子を彼に譲る事を決めたのだと思います。
この引き際。幕の下ろし方…潔さったらありません。
彼がドサンに言った、
僕の話をよく聞いて。
僕に劣等感を抱かず自尊心を持ってダルミさんを見ろ。
そうすれば分かる。
彼女が誰を好きか。
君はその手ひとつで思い出に勝った。
と、ライバルであった彼に自信を持てるような賛辞を送り、背中を押します。
格好良すぎるでしょ、ジピョン。
…と思うのですが、その後、ハルモニと二人の時に、またポロポロと泣くんですよね。
この人のこのギャップ、ですよね。
これがこの人を惹きつけてやまない魅力だと思いました。
お読みくださり、ありがとうございます。
このドラマを見たあなたは、“ドサン派” “ジピョン派"どちらですか?
良かったら、ぜひ感想をお聞かせくださいね。
Photo:http://program.tving.com/tvn/startup
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