人生に余白を
わたしの中のベースには「自由」というキーワードがある。
仕事でも生き方でも、自分らしく自由でありたい。
でも、気がつけば、その「自由」が自分の中から奪われてしまっていた。
今年のはじめに独立し、当初は自由を実感していた。
だけど、次第に自由の反対側にある自己責任やプレッシャーの存在が大きくなっていた。
独立してやっていくということは、まさにそういうことなのだと。
相手の方が満足してくれたら、それが喜びや、やりがいになる。
次へのモチベーションになる。
それでいいじゃないか。
最高じゃないか。
そう思ってさらに自分に鞭を打ち、鼓舞する。
そうやって時間的な余白がどんどん奪われていく日々。
でも、奪われているのは時間じゃなく、心の余白の方だった。
そして、奪っていたのは、他でもない、自分自身だった。
○○といえば、かどわきさん。そんな風に思われたかった自分がいた。
心の余白を失っていった自分は、少し前から、これからの方向性をどうしたもんか、と決めあぐねていた。
・キャリアコンサルタントとしてさらに上級資格を目指すか。
・プロコーチの資格を取得するか。
・人事コンサルティングの領域を、グッと絞って深めるか。
・お金の知識を習得するためにファイナンシャルプランニングを学ぶか。
どれも大事に思えたし、お客様に提供したい価値だと思えた。だけど同時進行は難しい。
はてはて、どこにフォーカスするか…
そこをグルグルしていた。
そんな時に、キャリアコンサルティングの研修時にお世話になった先生から、たまたまメッセージが届いた。日常的な便りだったけど、「今だ!今、思い切って先生に相談してみよう!」と思い立ち、激アツお悩み相談メールをお返しした。(とても重かったと思う…)
その道の専門家としてトップにおられる先生は、さぞお忙しい方だろうに、私の思いを汲み取り、すぐに快諾してくれた。
横浜のカフェで待ち合わせをして、先生との初対面(授業はオンラインだったので)。
オンラインでの授業から受けていた印象通り、先生はとても優しい雰囲気で、内面からの美しさが滲みに出ていた。
育った環境や、趣味の話などで盛り上がり、リラックスした雰囲気の中で、いよいよ相談タイムが始まった。
わたしの現状を改めて打ち明けた時、先生はこう尋ねた。
「キャリアやコーチングという枠組みは一旦横に置いたとして、かどわきさんはどんな風に生きたいのかしら?」
そのとき、冒頭に触れた「自由」について語った。
自由に生きたいんです。
周囲が期待することに応え続ける自分じゃなく、「これが自分だ」と思えるような生き方をしたい。
縛られずにいろんなところへ行き、体験し、視野を広げて。
そうやって自分の器を大きくしていけたら、もっと目の前の人に良いものを提供できると信じてるんです。
思いを一気に話すと、先生はこう返してくれた。
「そうだよね。まさにかどわきさん自身がクライアント像なんだろうね。こう生きたい、ありたい、と言う思いがあって、それを目指していくための可能性を自分の中に探って見つけていく。かどわきさんは、そういう風に、その人らしく生きていきたいと思う人のサポートをしたいんじゃない?」
さらに続けて、
「きっと、本当は肩書きとか、そういうのは、正直どうでも良くなってるよね。いろんな引き出しがあって、その一つでしかない。”○○(という肩書き)のかどわき”というフォルダー型の生き方じゃなくて、こういうことをしてきて、こういうことを大事にしていて、これからは、こんな生き方や道に進んでいきたいんだというハッシュタグ型の生き方をしたいんだろうね」
と言ってくれた。
フォルダー型からハッシュタグ型の生き方へ
その言葉や生き方は、まさにわたしが求めていたものだった。
海外に行った際、自己紹介で「どこどこ会社の○○の役職のXXです」と言っても、相手はどうでもよく、「あなたはどんなアイデアを持ってるの?どんな価値観を大事にしてるの?何を目指してる?僕に手伝えることはある?」と。「個人」としての自分を知りたいと思ってくれたし、興味を持ってくれた。
それがとても新鮮で、私もそうありたいと思った。しかし、気づけば、フォルダー型の思考に陥っていた自分がいたのだ。
先生は続けてこう言った。
「門脇さんは、きっと次の舞台を探していきたいし、その舞台で新しい演目を演じたいと思ってるんだよね。どんな演目が自分に合うか、どんな自分が一番輝くか。それはやってみてからのお楽しみだよね。そうやっているうちに、自分が演じるに相応しい役がわかってくるし、舞台も用意されていくんだよ。」
今、ジタバタしてるのも、それは次の舞台を目指したいからこそ。
その過程こそが大事。
もがいている限りは沈まないから大丈夫。
周囲からの支援もきっとあるはずだよ、と。
言葉の一つひとつが心に響いて、話を聞きながら、私は目の前にその舞台のイメージがビジュアルとして浮かび上がってきた。
そして、心の余白をやっと作れそうだな、と思えた。
またかく言う先生も、次の舞台、演目を構想している最中なのだと話してくださった。
どんな脇役でもいい。
でも、見に来た人が、「そうそう、この人のお芝居が見たかったの」「見られてよかったね」そう感じてもらえる舞台、人生にしたいと思うと。
どんな道の渦中にいても。
自分自身の心の声に耳を傾けて、自分らしく生きているか?を問てみることや、そのための選択をすることって大事だなと、改めて思えた。
肩書きや地位、それらももちろん大切なこともある。
でも、決してそこだけにとらわれず、自分の価値観を大切にして、自分らしさという自由を追求していく。
それが充実した人生を送るためのカギなのかな、と感じた。
あなたが大切にしていることは、大切にしたいと思えることは何ですか?
どんな生き方がしたいですか?
あなたにとって大切な人生のキーワードは何ですか?
もっともっと、皆さんのお話も聞いてみたいと思います。