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他者のモチベーションは上げられるの?

先日、ある若い役員の方から、こんな相談を受けた。
「社員のモチベーションを上げるにはどうしたら良いのでしょうか?」と。
また、別の方からも、
「入社当初は、頑張ってくれてた社員が、最近元気がない、、」と。

モチベーション。
本当によく聞く言葉だし、書店でも様々な切り口で書かれた本がズラリと並ぶ。

自分のことならまだしも、他者に対してモチベーションをあげることなんて、果たしてできるのだろうか?
今日はこのテーマで書いてみたいと思う。

そもそもいつの頃からこの「モチベーション」という言葉が使われだしたのだろうか?

調べてみると、1980年代頃からということが分かった。
集団の士気を高めて成果を出せていた高度経済成長期にいよいよ陰りが見え始めた頃だ。
以降は、海外から「成果主義」が持ち込まれ、より「個としての成果」がフォーカスされるようになり、スポーツの世界などでも、高い結果を出すためにはモチベーションアップがカギになる、と言われ始めた。

さらに現代では、人々の生き方や価値観はますます多様化しており、
モチベーションアップの方法も、様々だ。

そんな中でモチベーションを高める方法としてお伝えしたいのが、
「自己効力感を高めてモチベーションアップにつなげる」という方法だ。

自己効力感とは?

「ある課題や行動を自分が達成し、成果を出すことができるか」ということに対する自信のことで、カナダの心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された概念だ。

自己効力感が高ければ、
「初めてのプロジェクトだけど、自分は絶対うまくやれる。」
「困難なことがあっても耐えられる。」
と、自分自身を信じて行動に移すことができたり、チャレンジする意欲を高めることができることなどから、モチベーションと深く関係があると言える。

そして、その自己効力感に関わる要素として、以下の4つが上げられる。

① 達成経験:文字通り、自分が何かを達成・成功した経験のこと。
② 代理体験:モデルとなる人物や、ライバルとする人物の成功体験を観察することで、自分自身を重ね合わせ「できる!」と感じられること。
③ 言語的説得:他者から承認されたり、褒められる経験のこと。
④ 生理的情緒的高揚:例えば、リフレッシュする、リラックスして落ち着いた気分にさせる、など。お酒なども一時的な気分高揚になることも。(ただし長続きしないのが難点)

今回は、中でも① 達成経験、② 代理体験について、さらにヒントとなる手法について紹介したい。

達成体験について

これは、過去に経験した成功体験から、要は自分の勝ちパターンを知ることで、未来の行動に移す、というもの。
それを知る手立てとして紹介したいのが「ライフラインシート」を書いてみることだ。

ライフラインシートとは、横軸を年齢、縦軸を感情(幸福度)で設定したグラフに、折れ線グラフで、主観で構わないので、その時の出来事、気持ちなどを、書き込んでいく。
そうすることで、成功した時や幸福度が高まった状態の出来事を思い返すことができる。
中でも重要なのが、谷の部分から上昇していくカーブの瞬間だ。
「何が要因で這い上がることができたのか」、という部分に大いなるヒントが隠れている。

例えば、
・ひたすら●●に関する情報を調べまくったり、書籍を読み漁るなど知識を増やすことで行動が取りやすくなった
・自分一人じゃ何もできない、ということを認めて、周囲に弱みをさらし協力を頼んだ
・分析などはいいから、とにかくがむしゃらに行動に移した
など、「自分が挫折経験を乗り越えた時に、どういう行動をとったのか」「どういう感情の整理をつけたのか」、ということに自分のパフォーマンス発揮、成果の出し方の特徴があぶり出される。

また、もちろん一人でやることも可能だが、二人で行う際などは、一人がライフラインシートを書き込んだ本人に対して、丁寧に質問したり、フィードバックをしていくとさらに効果的だ。

「ここの底の部分から這い上がれたのは、どんな行動をとったのからなのかな?」
「何も考えずにまずは行動してみる時に、ものすごいパワーを発揮するんですね!」など。
すると、書き込んだ本人は、フィードバックに対して承認/賞賛してもらえたことで、嬉しい気持ちになったり、思いもしなかった自分の中の潜在意識が呼び起こされ、新たな発見をすることもあるだろう。

代理体験について

これは、よく言われているのが、モデルとする人や、ライバルとする人を観察し、「アイツにもやれたのだから、自分にもきっとできる!」と闘志を燃やしたり、勇気をもつことで行動に移しやすくする、というものだ。
また、もう一つおすすめしたいのが、憧れの人(モデルとする人)を、もっと深く観察してみることだ。

自分がその人のどこの部分に共感しているのか、憧れているのか、ということをできる限り掘り下げてみていく。

先日、こんなことがあった。
ある経営者の方と話をしていた時に、一目おいている人のどこに憧れ(敬意)を感じているか尋ねてみたところ、最初はこのような回答をされた。
「●●さんは、広い世代に影響力を与えている。また、経営とクリエイティブ、両方を両立させられているところがすごい」と。
さらに掘り下げて聞いていくと、
「そう言えば、▲▲さん。一般的には、課題や問題があり、それを解決するクリエイティブが大切だ、と言われるが、その人は、"そんなの一切関係ない" と言っていた。自分が良いと思うものを発信しつづける。それを世の中の例え僅かな人でも、良しと感じる人がいたなら、それでいいと」
最初にあげた人と、全く違う答えが飛び出した。

一方が丁寧に、深く質問を重ねていくことで、その人の潜在意識が現れてくることもある。それが、着火剤になる可能性もあるはずだ。

と言うことで、本日のまとめとして。

・モチベーションを高めるためには、「自己効力感」を高める、というやり方がある
・自己効力感を高めるためには、
 ①過去の成功体験だけでなく挫折経験やそこから這い上がった経緯にヒントが隠されている
 ②モデルとする人を観察したり、掘り下げていくことで、自分の潜在意識があぶり出され、次への一歩、変化へ繋がるきっかけになる可能性もある
・他者が、上記をあぶり出す際に、質問やフィードバックを丁寧に重ねる壁打ち相手になることで、本人の支援(=自己効力感アップの手助け)に繋げてあげられることが可能

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、自己分析について、壁打ち相手が必要な方は、ぜひご連絡を!

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