見出し画像

新卒の育成について考える

といいつつ育成もどきはじめて1ヶ月目くらいなので知見を貯めるのはこれからなんですが、なんとなく方向性みたいなものは見えてきたので現時点でのメモです。
この記事の続きです。つまりウェブデザイナー志望の新卒を預かった人の話です。他業種にも応用できるかはわからない。


どの程度口を出すか問題

絵を描く人10人に聞くと5人くらいが挙げてくる、美術教師の思い出ってあると思うんですよ。「もっとこうしたほうがいい」って、描きかけの絵の上に絵の具でがっつり手を入れられたとかそういうやつ。赤い絵の具で描いてたリンゴの絵に「この方がリアルだから」って黄色をがっつりのせられたとか、影に黒を使うなって言われたとか、そういうやつ。

わたしあれだけは絶対に絶対に絶対にやりたくないと思ってるんですよね。
というかあれって社会人になってから思い出すと所謂「マイクロマネジメント」ってやつです。無能な上司の行動の代名詞の一つ。
ぼくさまが考える正解のやりかたに近づけないと最良最善ではない、だからもう自分が細かいところまで全部口出して操作するしそれも速度や意図が不服だったら自分でやってしまうそうしておきながら「使えない部下」扱いするってやつ。

あれだけは、あれだけは絶対にやらない、と決めています。
ではどの程度、どれだけ口を出すかという話。

自分がやった場合の「最善」を100点とするなら、70点超えてればまあよしとする

業務でやってる以上放置もできないので、「これだと合格点出ないな」っていうところは修正指示します。でも「こうすれば完璧に近づく」と思うような要素については手も口も出さず、70点を超えてればまあよしとします。この「合格点を超えてればまあよし」とするっていうのが、プレイヤーとしての感覚が強いままだと難しくて、誰が担当している仕事なのかを忘れて、悪い意味で成果物だけを見てしまうから赤い絵の具で描かれたりんごの絵に黄色をべったり塗ったりしてしまうんでしょうね。

りんごの絵の例でいうなら、明らかに間違った色(真っ青とか)だったりとか形が歪んでるとか描かれてる個数が間違ってるとかそういうのは指示(これも指示ではなく「気づかせる」言い方をできるとベター)して、そういう致命的なところが存在しないならそれでよしとする、ということです。

たとえ「この絵ならハイライトちょっとここにこう足せばもっとよくなる」とかそう思っていたとしてもそこを書き加えてはいけない。耐える。おそらくこの「耐える」に慣れることが指導者としての一歩目のような気がします。(でもハイライトの存在に気づいてもらえるような事例の提示はすると思う私は)

ヒントは出すが正解は教えない

あとこれですね、やっぱり試行錯誤してほしいので。あと「正解」って存在しないじゃないですか業務って。だから常に自分で正解を作れるようになる必要がある、つまりヒントを出すに留める。これをやるにはこういう方法がある、こういう調べ方がある、こういう事例がある。事例を出すときもそれが正解だと思われると困るから複数出す。

気持ちよく正解させるヒントの出し方っていうには出題者のセンスが必要なわけですが、そこを磨きたいところです。

ソシャゲのファンファーレになる

ソシャゲといわずゲームを続けてしまう理由として「正のフィードバック」というのがよく挙げられます。その行動は正解! それは成功! という、「正解をやってる」というフィードバックが絶え間なく返ってくる、これがゲームをやめられないループになるというやつ。

今のところ私が取れる戦略のひとつもこれだなあ、と思ってます。ソシャゲのファンファーレになる。

経験の薄い人が不安がってるのは「これで本当に合ってるのか」「間違ってるんじゃないか」というところです。特に経験があんまりないと「絶対に失敗できない」って考えてるように思えます。実際そんなことってあんまりないんですけどね。

なので私の重要な役割として「それ正解!」「それはすごく正解!」「大正解!」「部分的に正解」「悪くはないけどもう少し正解に近づけると思う」みたいな、ファンファーレというかアキネーターというか、そういう判定装置であること、を心がけています。

なおファンファーレの際は同人活動で培った「良いと思ったところを具体的に言語化する」というスキルも活用しています。どのように良いと思ったのか、ここが特に良かったと思う、を詳しく伝える。
ついでにこういうケースでのあるあるも伝えたり、「これだけ出してこれるならこの資料見せてもいいかもしれない」みたいな追加情報を出したりします。ひとまず70点超えてきたから90点出せる情報与えてみよう、みたいな。(最初から全部与えると混乱させがち)

あとは当事者たちだけでなく同じ案件内で「クライアントのこの提案やあの指示テキストは良い」「エンジニアのあの動きはとてもありがたくて良い」というのも気づいたところで伝えるようにしています。状況の解像度を上げる、経験者から見えてるものを解説する。

 まとめ

そんなわけで素直な新卒2名の教育役という大役をあずかって1ヶ月目での指針が今のところそういうかんじ、という話です。この三つです。

・不合格のラインを超えていればよしとする
・解答時に気持ちよくなれるようなヒントを出す
・ソシャゲのファンファーレ(判定装置)になる

あと前の記事で挙げた「案件の置かれた環境を意識してもらうようにする」なども状況に応じて伝える、ですね。

今の二十代は本当に優秀で賢くて素直なので、そのおかげで指導方針だけのことを考えていられます。年齢的にも今の会社的にも指導の機会増えそうなので、引き続き適度に言語化して置いておきたいです。



いいなと思ったら応援しよう!

枚子
サポートいただいたお金は本代になります! たのしい本いっぱいよむぞ