2024インターハイの数値から考える”勝つため”に必要な数字
主に4ファクターに着目した内容となります。出現回数についての集計および考察となります。
この文章内での出現回数とは、各試合での対戦相手との差分比較です。ほんの少しでも数値が良ければ、出現回数カウントがされます。
※全102試合(女子50試合・男子52試合)で差があった場合は出現回数を「1」カウントしています。同数の場合は勝ちチーム負けチームのどちらにも計上されていません。
関連性の高い順に記載します。(女子50試合 男子52試合 全102試合)
1 4ファクター
1.eFG%
女子39/50試合 男子45/52試合 全84/102試合
約82.4%の試合で勝利チームが相手チームよりもeFG%が上回っています。
2.ORB%
女子27/50試合 男子29/52試合 全56/102試合
約54.9%の試合で勝利チームが相手チームよりもORB%が上回っています。
3. Tov%
女子24/50試合 男子30/50試合 全54/102試合
約52.9%の試合で勝利チームが相手チームよりも Tov%が下回っています。
4.FTr
女子19/50試合 男子30/52試合 全49/102試合
約48.0%の試合で勝利チームが相手チームよりもFTrが上回っています。
2 スリーポイントシュートの考察
現代バスケットボールでは5アウトオフェンスと3Pシュートのバスケットボールになっているのは体感していると思います。育成年代、今回でいうと全国大会に出るような高校生のトップチームの戦いです。3Pシュートのイメージを現実をすり合わせておくと戦術を見直すきっかけとなるはずです。
1.シュート本数及び入った本数(確率)
全102試合で放たれた
3Pシュートは 5,285本
内入った本数は 1,362本
確率25.8%(eFG%38.7%)となっています。
参考に2Pシュートは 9,673本
内入った本数は 4,277本
確率44.4%
2.FGAに対する3PFGAの割合
全フィールドゴール試投に対する3Pシュート試投の割合
勝ちチーム 29.5%
負けチーム 34.3%
3.FGMに対する3PFGM
全フィールドゴール成功数に対する3Pシュート成功数の割合
勝ちチーム 19.8%
負けチーム 25.6%
4.全得点に対する3Pシュート得点の割合
勝ちチーム 23.1%
負けチーム 29.0%
どの数値を見ても負けたチームのほうが3Pシュートに頼る戦術となっていると言えます。
もちろん現代バスケットボールでは3Pシュートを切り離す戦術はとることは難しいです。しかしながら育成年代では3Pシュートを主体とした戦術では勝ち切ることは難しいと言えます。
3 その他
1.4ファクター
勝ったチームはいずれかの要素で必ず相手を上回っています。逆に言えば4要素すべて下回ったチームは必ず負けています。
特にeFG%との相関性はどの大会を見ても顕著です。それに続いてTov%とORB%のどちらか、またはその両方を相手よりも上回るような意識を持つと戦いやすくなると言えます。
2.4ファクターのうちいくつ上回るか
4ファクターのうち4要素すべて上回っている試合は全102試合のうち12試合(女子2試合・男子10試合)です。
3要素上回っている試合は30試合(女子13試合・男子17試合)です。
2要素上回っている試合は46試合(女子28試合・男子18試合)です。
ひとつの要素を上回っている試合は13試合(女子6試合・男子7試合)です。
3.勝利チームのうちeFG%が負けている場合
eFG%が相手よりも下回って勝利したチームは、全102試合のうち18試合(勝率17.6%)あります。eFG%を除く3要素のすべてを上回った試合は8試合です。2要素相手を上回った試合は6試合です。
17.6%を高いと感じるかどうか。少なくとも出現回数でいうと6試合にひと試合もありません。
まとめ
当たり前のように感じますが、eFG%を相手よりも上回ることができれば、約82.4%の確率で勝つことができるといえます。このことをふまえた上で戦略をたてることはとても重要なことです。自分のチームの強みを活かした戦術だけに目をやると、思わぬ落とし穴に落ちる可能性があります。さらに、4要素をひとつも上回ることができなければ勝率は0%です。eFG%だけでなく、ORB%を上げる戦術、Tov%を上げないようなボール運び、パス技術の向上が、勝利に近づくことになります。
トップリーグやNBAではオフェンスリバウンドにいかないシーンも散見されますが、数字から見るとアンダーカテゴリーでは勝つ要素としてはやはり関係性は深いといえます。
必ずしも4要素すべてを上回る必要は数字上としてはありませんが、eFG%を含む2要素は上回ること、できれば3要素は上回れるよう、戦術やチーム意識としては考えたいところです。
またスリーポイントシュートを相手よりも”打たない”ほうが結果的には勝っているチームが多くなっています。インサイドでは勝ち目がないから、アウトサイドシュート主体で勝つということは、かなり戦術的に取り組む必要があると言えます。
あくまでもこれは育成年代の集計なのでたとえばトップリーグや日本代表といった、3Pシュート確率が38%(eFG%57%)を目標とする技術力があるのであれば、戦略や戦術は変わってくると言えます。
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