アトリエ門口コラム

Architecture design office atelier kadoguchi 沖縄の設計事務所 注文住宅 ■住宅  ■オフィス  ■店舗  ■別荘  ■公共建築 ▽HP www.kadoguchi.net ▽Mail staff@kadoguchi.net

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最近の記事

クリティカルリージョナリズムな建築を目指して

私は今年設計キャリアが40年となり、自身の事務所を開設し30年が過ぎようとしている。その間、私が生まれ育ち活動拠点としてきた沖縄という地で一貫して「クリティカルリージョナリズムな建築」を表現することを目指してきました。 このアプローチは、ケネス・フランプトンが確立した近代建築の普遍性と地域性、そして伝統を融合しようとするもので、ヴァナキュラーや伝統に寄り添いつつも、過度にそれにとらわれないものである。 ■背景 私が設計キャリアをスタートさせた80年代は、モダニズムからポスト

    • 11.共に創る建築の為に

      沖縄建設新聞1月 掲載 「本を読め、人と会え、そして旅をしろ」私の人生の座右の銘のひとつである。特に建築家を志す者にとって旅を通じて素晴らしい建築に触れることは大切である。 30代前半から、年に一度は国外に出ようと決め、フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アールトの建築巡礼からはじまり、ル・コルビィジェ、ピーター・ズントー、レンゾ・ピアノ、ダニエルリベスキンド、フォスター等々。世界で活躍する建築に触れてきた。しかし、今回は個人的な旅についてではなく、10年程前から年に1,

      • 10.寄稿:地域性への眼差し

        住宅特集 12月 掲載  私が設計の仕事を始めた80年代。沖縄の風景は偏った建築群によって占められていた。歴史や地域性といった風土的なことにとらわれて、赤瓦や異型ブロックといった素材、存在形式の表現が同じ方向性を帯び、安易にパターン化したものであった。本誌でも「沖縄特集」と銘打った記事を紹介し、その影響も大きかったように思う。しかしそれは決して沖縄の人びとの想いとは違うように思えた。そこで地元の人間だからこそできる、これまでの沖縄を意識するのではなく、これからの沖縄を意識し

        • 09.アメリカンヴィレッジの 今後の行方

           北谷町が主催したコンペティション。美浜地区内(アメリカンヴィレッジ)の周辺建物やゆとりある快適な歩道空間等と調和した、北谷町独自の雰囲気を活用した都市景観を創出するもの。「遊・健康・憩いが融合する交流点」をテーマに掲げるものであった。北谷町はここ数年で急成長を遂げた、沖縄の中でも最も熱気のある街へと変貌した場所である。そしてその中心はいうまでもなく美浜地区(アメリカンヴィレッジ)である。しかしその開発の副作用ともいえる問題も少なからず現れてきた。  日本政府と米国政府との

          08.創造的視覚化 creative visualization

          今この世界の美しさは、ひとえに先人たちが、未来の幸福を夢見て努力をし、生きてきたから存在する。では、これからの世界が永遠に良い環境であるために、我々がすべき事とは何であろうか…。20世紀社会はモノに重点を置いた社会であったように思う。デザイン、空間性、そして、それ以上に何が必要で、何が求められているのか。我々が職能を通してすべき事は何か。  私は、空間(建築)が人を変えていくと固く信じている。  建築は街を変え、人々を変え、社会をも変えていく。一つひとつのすばらしい建築が

          08.創造的視覚化 creative visualization

          07.ロックンローラー喜屋武幸雄

           NPOとはnon profit organization(非営利組織)の略である。北谷町生涯学習プラザ主催のNPO入門講座が開催された。NPOの役割や実際に活動している団体の代表の話など、週1回の計5回、4人の講師による講座である。常々社会貢献、社会に役立つことを何らかの形でできないか、そんな思いを抱いている私はこの講座に参加することにした。  ロックの父と呼ばれる喜屋武幸雄氏が講師を務めたのは4回目の講座であった。70、80年代に沖縄ロックのミュージックシーンを創りあげ

          07.ロックンローラー喜屋武幸雄

          06.公共事業工事と入札制度と沖縄の憂い

           私が設計事務所を開設して10年、法人化してからは3年が経つ。ここへきてやっと公共施設の設計入札への参加ができるようになった。  公共施設の設計を受注する場合には通常、設計入札制度(公共施設の設計者を設計料の安さできめる制度)と、技術提案(プロポーザル)・設計競技(コンペ)により、建設特別委員会が最終的に選定する(つまりデザインまたは設計技術の優秀さを競わせる)、という二通りの方式がある。  しかし後者のケースはごくわずかで(実際一割にも満たないのではないか)、ほとんどが前

          06.公共事業工事と入札制度と沖縄の憂い

          05.EMを活用した 環境アートとしての建築

          EMをみなさんご存知ですか。  EMとは、英語のEffective Micro-organismsの略語で、Effectiveは「有用」、Micro-organismsは「微生物群」との意味を持ち、自然界から光合成細菌、酵母菌、乳酸菌など有用な微生物をたくさん集め、共存状態にした液状や粉末の事をそう呼びます。  EMは、もともと農薬や化学肥料の代替技術として開発されましたが、EMの強い悪臭抑制機能が明らかになるにつれ、畜産分野、生ごみのリサイクルへと応用されるようになり、更に

          05.EMを活用した 環境アートとしての建築

          04.様々な生き物と共に暮らす住宅

          環境問題が世界的に重大な社会問題として注目されているなか、 近年ビオトープという言葉をよく耳にします。人々の間でビオトープへの関心が高まり、普及しつつあるのがわかります。  ビオトープ(biotope)とは、「生命」をあらわすと「場所」を意味するの合成語です。ただの排水路と化してしまったせせらぎや河川に少し手を加え、より自然に近いかたちに戻す“多数の生き物が生息できる環境“を指します。  下水や排水路が現在のようにコンクリートによって整備される前、どこにでもあった雑草が生い

          04.様々な生き物と共に暮らす住宅

          03.環境と建築の関係

          ここに紹介するのは実現の機会を得ぬまま終わったある宗教施設=教会のプロジェクト案である。そこには膨大なエネルギーが費やされた、私達の血と汗の結晶があった。 結局我々の案はコンペを通らなかったが、これが実現できなかったのは、残念でならない。教会の目的だと考えられる「礼拝」「教えを習う」「祈り」をどう建築に取り入れるかを最大のテーマとし、更に沖縄の風土に溶け込み、沖縄のカルチャーを活かした人々の為の教会である事を表現し提案したのだが。 結果、実際にコンペに採用された作品を見て、愕

          03.環境と建築の関係

          02.山原の自然をこれ以上破壊するのはやめよう

          「雨水をもっと大切にしたい。もっと有効に雨水を利用し、ダム建設によって山原の自然をこれ以上破壊するのはやめよう。」という願いから、私達は住宅を計画するうえで一家に一台、ミニダム建設を勧めています。  沖縄は厳しい気象条件と地理的条件などから昔より水不足に悩みつづけてきました。  沖縄には年間に消費される25倍をはるかに上回る約45億m3(世界の年間平均降水量の2倍以上)もの降雨がありながら慢性的な水不足に悩んでいます。それは月々の平均降水量が少なく、梅雨時の一時と台風によ

          02.山原の自然をこれ以上破壊するのはやめよう

          01.建築は人を自然や文化へと導く

          私の願い、夢  ここ数年来感じている事のひとつに沖縄の風景が偏った建築群によって占められた街に成りつつあるということである。  歴史や地域性といった風土的なことにとらわれすぎて存在形式が同じ方向性を帯び、安易にワンパターン化した表現になりすぎている。  特に公共建築での表現手段として赤瓦を利用した建築(風景)が多く見られ公的コンペにも暗黙の内に赤瓦を取り入れなければ当選しないような空気が漂っている。本当にナンセンスな事で、芸術的でないように思う。  ムッソリーニは、「建

          01.建築は人を自然や文化へと導く