「櫻子さん」シリーズ太田紫織の新作はTRPGシナリオ! エモーショナルミステリーの真骨頂「ねえ、いっしょに」
「小説の中に没入したい」「登場人物の一人になって作品を体験したい」そう思ったことはないだろうか?そんな没入体験ができるコンテンツがリリースされた。
人気ミステリー『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』シリーズの太田紫織が原案を務めるTRPGシナリオ『ねえ、いっしょに』だ。2024年5月23日(木)にリリースされ、すでに大きな反響を得ている。
TRPGのシステムは新クトゥルフ神話TRPG。BOOTH、TALTOで販売している。
テーマは「後悔」。怖さの中に切なさが漂うシナリオ『ねぇ、いっしょに』
シナリオの舞台は架空の都市「七伏市」。プレイヤーはここの出身者という設定で、皆同じような夢をみていた。夢に登場するのは、子供のころよく訪れた商店街の風景、一人の少女。そして聞こえる「みんなうそつきだよ」と寂しげに言う声…。
そんな夢に登場した商店街に足を運ぶところからゲームははじまる。寂れたシャッター街に変わり果てた商店街は、おそるべき「異界」につながっていたー。
プレイヤーは霧に包まれた商店街を探索しながら怪異と対峙し、それぞれが抱える“後悔”を乗り越えていく、ミステリー調のヒューマンドラマだ。
霧の中で現れる少女や、商店街の不思議な住人たちと対話をしながら物語が進んでいくという点、TRPGの魅力の1つであるロールプレイング(=登場人物になりきって演技や会話をすること)を生かしたシナリオといえる。
さて、ここで、TRPGを知らない人のために簡単に仕組みを解説しておこう。
クトゥルフ神話TRPGとは
TRPG(テーブルトークアールピージー)とは、進行役を務める人(キーパー)と、自分で作成したキャラクターを演じるプレイヤーとで会話をしながら物語を進めていくアナログゲームのこと。デジタルゲームと異なり、キーパーとプレイヤー、プレイヤー同士の会話で自由に物語を作っていくのが特徴だ。
ここで大切なのは、ゲームの目的は「クリア」ではなく、プレイヤーとキーパーが協働して、自分たちの物語を作り上げ、楽しい時間を過ごすことだ。冒頭お伝えした「没入体験」がしやすいゲームといえる。
今回のシステムの「クトゥルフ神話TRPG」は、H・P・ラヴクラフトの小説をベースとしている。軟体動物を巨人にしたような「クトゥルフ神」、「コズミックホラー」ときいて、ピンと来る人もいるだろう。
シナリオ原案担当:太田紫織の魅力
今回TRPGのシナリオを担当したのは、『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』シリーズの太田紫織。自身もクトゥルフ神話TRPGの愛好家であるそうだが、日常から染み出る“恐怖”や謎を生かしつつ、ぐっと心に迫るエンディングを見事に描き出している。シナリオには太田作品ではおなじみの「犬」と「飯テロ」も登場。そのあたりも注目してみてほしい。
なお、太田紫織の最新刊は『後宮の毒華3 秋蝶の毒妃』。毒に精通した妃と、身代わり妃として後宮に潜入した少年によるミステリー作品だ。精巧に練られた極上の「毒」ミステリー、こちらもぜひあわせて読んでみてはいかがだろうか。