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作家・吉川英梨が選ぶ 私のおすすめミステリ 第5回

手に汗握る衝撃的な展開やドキドキの伏線回収など、数多くの人気作品が生まれる“ミステリ”ジャンル。そんな作品を生み出している作家の皆さんは、かつてどんな作品に出合い、そしてどのように自身の物語を生み出しているのだろうか?
今回は2024年10月25日に『センシティブ・キリング 警視庁01教場』が発売となった作家・吉川英梨さんに、おすすめのミステリ作品を伺いました!
現役作家が語るおすすめミステリという、カドブンならではの貴重なインタビューです!

――吉川さんおすすめのミステリ作品と、それぞれおすすめの理由も教えてください!
1:『私の男』桜庭一樹(文春文庫)

私は小学校高学年のときに児童向けミステリにはまり、アガサ・クリスティやヴァン・ダインを読み漁りました。昨今は好きな作品の舞台を訪ねる「聖地巡礼」が流行っていますが、私を唯一、聖地巡礼に駆り立てた作品が『私の男』です。紋別まで行ってしまいました。ありふれた殺人事件が、構成の妙で、切ないラブストーリーに昇華されています。

2:『悲しみのイレーヌ』ピエール・ルメートル(文春文庫)

「私は何を読まされていたんだ!」と叫びたくなった一冊が『悲しみのイレーヌ』です。こんなにも作者の意図にはまって騙された読書経験は他にありません。
 
――ご自身の読書体験と共に、素敵な作品をご紹介いただきありがとうございます!
吉川さんが作家になることを決めたきっかけ、またミステリ作品を書くようになったきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
小学校2年生のときに映画『グーニーズ』を見て感激し、「自分もこんな物語を作ってみたい」と『グーニーズ2』を勝手に創作したのが私の小説を書き始めたきっかけです。小中高とずっと学業の傍らで小説とも脚本とも言えない物語を書いていました。18歳で本格的に脚本の勉強を始め、公募の最終審査などに残るようになり、20代前半でテレビ局や映像制作会社と仕事をし始めましたが、デビューに結び付きませんでした。20代後半の海外放浪をきっかけに政治の勉強がしたいと思い、大学で学び直そうとしました。しかし入学金が足りない。賞金目当てで応募した第3回日本ラブストーリー大賞でエンタテインメント特別賞をいただき、小説家になりました。
 
――子供のころから続けていた「小説を書く」という行為が、やがて大学入学という別の目標と重なったときにひとつの形になったんですね。
ミステリ作品を執筆されるうえで、こだわりや意識されている点はございますか。
読者をワクワクドキドキさせること。日常を忘れるくらい没頭できるような構成や描写を心がけています。トリックに偏り過ぎず、登場人物に誠実に、寄り添うように書いています。誰かのためになる、幸せになってもらえる作品づくりをモットーにしています。
 
――『センシティブ・キリング 警視庁01教場』について、着想のきっかけと読みどころをお伺いできましたら幸いです。
いつもは警察学校やその周辺でどんな殺人事件が起きるのかというところからアイデアを広げていきますが、今回は「どんな学生が警察学校に入ってくるのか」からスタートしました。数年前から警視庁の採用に身長や体重制限がなくなったことを知り、小柄な方でも警察官になれるのなら、巨漢も……と思ったとき、「相撲取り」が浮かびました。
元大相撲力士という学生の成長と、近隣で起こったありふれた転落事故の影響で次々と教場でトラブルが起こる、この二つが本作の読みどころです。結末どころか展開も読めない、最終的には泣ける小説に仕上がったと思います。

――警察官の身長・体重制限の撤廃から、元力士・玄松一輝のキャラクターが誕生したんですね! 本作は吉川さんの教場小説シリーズ第二弾。ぜひみなさんも、手に取って楽しんでみてくださいね。

『センシティブ・キリング 警視庁01教場』あらすじ

ここは「殺意」の匂いがする。特殊感覚を武器に警察学校教官が真相を追う!
警察学校教官の甘粕仁子は、大けがが元で人の顔の見分けがつかない。脳の働きが変わったのか、些細なにおいにも敏感になった。受け持ちの学生で元力士の玄松一輝がいた「玄煌部屋」に殺人未遂事件の噂があると聞き、頭を悩ませる中、学校近辺で不可解な転落事故が発生。その直前、仁子の鼻はあるにおいを捉えていた――
「殺意のにおいがする」。苦しいまでの過敏な特殊感覚を駆使し、学生のために真相を追う、教場小説シリーズ第二弾。

書 名:センシティブ・キリング 警視庁01教場
著 者:吉川英梨
発 売:2024年10月25日
I S B N:978-4-04-114112-0
定 価:990円 (本体900円+税)
判 型:文庫判
詳 細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322305000345/

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