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Vol.4 「発信力」ではなく「対話」が大切。歯科経営に求められる集患力について

みなさん、お久しぶりです。歯科コンサルタント角 祥太郎のマネージャーをしております、高橋です。

前回のnoteはご覧いただけましたか?歯科医院を経営する方にとっては、切ってもきれないマネジメントの話。「勉強になりました」「実践してみたよ!」という感想もお待ちしております。

さて、今回お届けするのは「集患」について。SNSでの露出が多い角ならではの面白い話が聞けるかと思いきや、とても地に足のついた超・実践的なお話でした!ご覧ください。

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SNSをする前に、見直すべきことがある

ーー今回は、歯科経営で誰もがぶつかる壁「集患」についてお聞きしたいと思います。今の時代、来院数を増やすためにSNSを活用したいクリニックさんも多いのではないでしょうか?角さんはTwitter、Facebookといった、SNSの活用にも力を入れていますが、効果的なSNS活用法って、あるのでしょうか?

まずはSNSの話ではなく、前提のお話からしていきましょう。ご飯屋さんの集客でも歯科医の集患でも「どんな人が何を目的に来るのか?」ここがズレてしまうとうまくいきません。医療でも、マッチングが大切なんです。

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来院を検討している患者さんは、それぞれに異なるニーズを持っています。

治したい、予防したい、歯茎の悩みを解決したい、子どもの歯と発育について知りたいなどなど。どれも歯科クリニックで解決できる悩みですが、目的や悩みはさまざまですよね。

ですから、「とにかく集患するためには、SNSだ!」といって、目的が曖昧なままSNSを始めるというのは、実はあまり理にかなっていないんですよ。

ーー 確かに、かりに一時的な来院数は増やせても、ニーズと医院の特色がマッチしていなければ、すぐに離れていってしまうかもしれませんね。

私も以前、町の医療情報サイトを企画した時に、当時は「とにかく集患数を伸ばせばいいだろう」と考えていた節がありました。

しかし、たくさんの患者さんに来院してもらうためには、そもそも世の中に困っている人がたくさんいなければ、成立しないですよね。困っている人を望む…本当にそれで良いのでしょうか?

ーー患者さんがいないと、どんな医療も成立しないですよね……。そこを疑ってしまうと、歯科医院経営そのものが難しくなりませんか?

これが絶妙なところなんです。かつての歯科医院は、「患者さんをたくさん集める」を第一の目的にしていても、成立していました。

ーー 角さんが以前のnoteでも話していた、昔は虫歯の原因がそもそもわかっていなかった。つまり、歯科医療自体が成熟していなかったため、虫歯の患者さんだけでも母数が多かったということですか?

そうです!昔は虫歯を治したいというニーズを持つ患者さんがほとんどでしたが、今の時代、虫歯だらけの人ってそうそういないですよね。となると、「患者さんを多く集めましょう!」の意味合いが少し変わってくると思いませんか?

ーー「虫歯治療以外のメリット」を示す必要があるということでしょうか?

そうです。より細分化して患者さんのニーズを捉える必要があるということなんです。

例えば、「いままで気にしたこともなかった鼻呼吸が、実は歯並びと関係しています。知っていますか?」と言われると、歯並びを良くしたいと考えている人には、ダイレクトに刺さりますよね。

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集患の潮流が、痛い歯を治す“問題解決型”から、“問題発見型”に変化してきているのです。

来院のモチベーションを作る、チェアサイドのコミュニケーション

ーーでも、虫歯治療以外のメリットってどのように提示したらいいんですか?

歯科医院の集患は、診療台に座っている人とのコミュニケーションがすべてです。シンプルな方法ですが、注力すべきは来院した患者さんと丁寧にコミュニケーションをすること。

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あくまでSNSはチェアサイドで取組んでいることを広げるためのひとつの手段にしかすぎません。枝葉のようなものです。

ーーインスタグラムやTwitter、YouTubeなどについ手を出したくなりますが、とにかく大切なことは目の前の患者さんと向き合うということですね。

どれだけYouTubeで再生数を稼いでも、クリニックのWEBサイトをおしゃれにしても、肝心なチェアサイドのコミュニケーションで、患者さんに納得していただけなければ、本末転倒。

患者さんは「SNSで言っていることと全然ちがうじゃん!ここ、大丈夫かな?」と、不安になるはずです。

ーー チェアサイドのコミュニケーションって、具体的にどうすればいいんですか?角流コミュニケーション術を教えてください!

まずは、不安をとりのぞく。次に、「感情のなぜ?」を提示する。そして最後に「論理のなぜ?」を説明する。基本的にはこの3ステップを守ることが重要です。

ーー「感情のなぜ?」と「論理のなぜ?」ってどういうことですか?

「感情のなぜ?」は、患者さんがクリニックに通う動機をみつけてあげることを指します。

たとえば受験生の場合であれば「受験前に歯が痛くならないように、いま治療をしよう」。年配の男性の場合は「奥さんとの旅行で、美味しいものを食べられるように、最後まで治療をがんばりましょう」と、その人ならではのストーリーを与えて、治療を終えた未来を想像させてあげるんです。そして、チェアサイドで患者さんとともに「理想のゴールを設定」してから、具体的な検査や治療方針をお伝えしていきます。

ーー なるほど!治療することで自分の暮らしがどう変化するのかがわかると、積極的に通院しようと思えますね。

そうですよね。では「論理のなぜ?」は何かというと、シンプルに言えば「治療方針について納得してもらう」ということです。

治療方針がよくわからず、終わりが見えない治療を続けるのは、誰でも不安ですよね。

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不安がとれて、感情のなぜがとれて、論理が決まって、ゴールが見える。これらの一つでも欠けると、キャンセルが出てしまいます。キャンセル率が高い医院は、初診時のコミュニケーションに問題がある。集患力とはつまり、「キャンセルを減らす」ことにあります。

集患力を上げる方法。それは、地道な積み重ねの先にしかない

―なるほど。通い続けていただくためには、とにかく初診が大切だと。

1回目はOKでも2回目につながらない。ビジネスだけじゃなくて、デートなどでもそうですよね(笑)。2回目以降も来て頂けなければ、それは本当の意味で、その歯科医院の患者さんになってくれたとはいえないんですよね。

重要なのは、初診と2回目の診察の間。そこを見れば、歯科医院の集患力が自ずと見えてくるんです。

生活の中で通院の優先順位がどんどん下がり、仕事や家族の時間、飲み会など、他の予定を優先するようになります。そして、不満や文句は特にないんだけど、キャンセルをしてしまう。

ーー 「初診の来院数が多い」=「集患力の高い医院」と思っていました。来院数が多いのは、単純に凄いと思ってしまいますしね。

宣伝コストをたくさん掛けた歯科医院さんなら余計に、新規の来院数を気にしてしまうのは仕方ないのですが、新規の患者さんが次回予約時に予定通り来院しているかどうかを重要視しているクリニックは少ないと思います。

ーー来院数に悩んでいると、つい注目を集めることに意識が向きがちですが、結局は医院内で何をするかが大事で、特効薬はないのですね。

そうなんです。繰り返しになりますが初診時においてのチェアサイドのコミュニケーションを大切にする。これだけで、キャンセル率は低くなる可能性が高まるんです。もし患者さんが「丁寧な先生だな」「安心できるクリニックだな」と感じてもらえれば、集患は成功です。

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工夫をこらしたYouTube動画を撮影しなくても、今日の診察からすぐに集患施策をスタートできますよ。

そして「感情のなぜ?(=患者さんがクリニックに通う動機を見つけること)」は、歯科医師以外でもできることがポイントです。受付の方や衛生士さんが、患者さんに対して、寄り添ってあげることもできますしね。雑談レベルでも患者さんは安心しますし、通いやすいクリニックだなと思ってくれるかもしれません。

集患に必要なのは、発信力ではなく対話。目の前にいる患者さんが、歯科医院の集患力を左右するんです。


【マネージャー 後記】

今回は、歯科クリニックの「集患力」を伸ばすために、必要なポイントを歯科コンサルタント角に具体的に話していただきました。

来院数が一気にV字回復!なんてことを夢見てしまいますが、長期的な視点に立つと、派手な施策はあまり意味がないのですね。患者さんとのコミュニケーションに力をいれ、真面目にコツコツ取組むことが集患だけでなく、歯科医院の価値を高めることにもつながるのかもしれません。

さて次回は、「歯科医院の集患力を伸ばすために」というテーマでお届けしていきます。それでは、次回の更新をお楽しみに。


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