何者でもない僕らは「成功者バイアス」に気を付けよう
好きなことで生きていく
「フリーター」という言葉が広辞苑に登場したのが1991年。
当時10代でとにかく遊んでいたかった筆者は、会社に属することを拒み、学校にも通わず、居酒屋で毎晩アルバイト仲間と楽しく働きながら無目的にフラフラしていました。
そうした性分は年齢を重ねても変わることなく、20年経った現在はネット上では「フリーランス」、リアル社会では「自営業」と名乗って生きています。
当時と違って今はスマホ一つあれば「好きなことをしながら生きていく方法」を探すことができてしまうので、僕は家族を養うようになった今でもより良い生き方を求めてネットを漂流しています。
YouTubeやオンラインサロンを見れば、そこには華やかなインフルエンサーの成功体験や最新のネットビジネスの情報で溢れていますね。
クラウドファンディングで資金調達とかプロセスエコノミーを回すとか、そんな彼らの語るストーリーを聞くうちに、なんだか自分にもできるんじゃないかって思えてきて。
僕ら「何者でもない凡人」がそんなことを夢想してしまったとき、大前提として踏まえておかなきゃいけないことを、40代の自営業者の目線で書いてみようと思います。
意見の背景を意識する
ウォーターサーバー業者に「水道水とウォーターサーバーどっちがいいですか?」と聞く人。
ハウスメーカーに「賃貸と持ち家どっちがいいですか?」と聞く人。
人の意見にはその人の置かれた立場があって、立場が違えば的外れになることもある。
インフルエンサーの言葉は「成功者バイアス」を前提に聞かないといけないよね、ということです。
バイアスとは、傾向、偏向、先入観、データ等の偏り、思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪み、といった意味で用いられる語。
僕らは「何者でもない凡人」である
成功には大きく二つあります。
一つは社会的ポジションを獲得すること。
もう一つは十分な収入を得ること。
家族がいる立場では、言うまでもなく目下の問題は収入ですよね。
経済的な問題をクリアしてようやく社会的な成功を目指すことができるもの。
忘れてはならないのは、成功者は「すでに社会的にも経済的にも成功を勝ち取っている」点で、もう生活費の心配をすることがなくなった人たちだということです。
もちろんそれらは本人のたゆまぬ努力と才能によるものであることは言うまでもなく。
何度も言いますが、僕らは「何者でもない凡人」です。
突然知らないおじさんが「僕がホームページの作り方を特別に1,000円で教えてあげるよ」と言ってきたら気持ち悪いだけで。
成功者のやり方を凡人がそのまま転用すると盛大にスベったりします。
お金に困っている成功者はいない
また、成功している人ほど「お金は使うほど戻ってくる」的なことを言いますが、凡人唯一のリソースでもある時間を収入にならないことに使うことがどれだけ難しいかは説明するまでもないですね。
それでも成功者は「目先のお金を追いかけてばかりではダメ」と語り、純真なフォロワーは「そうだ、お金じゃないんだ!」と熱くなって行動し、時にそれが成功につながっていきます。
インフルエンサーはそうやってみんなに成功してほしいと心から願って発信していると信じていますが、彼らは当然に僕らの人生に対して何の責任も負っていません。
自分の行動に対して全責任を負うのはあくまで僕ら自身とその家族です。
成功者の言葉は翻訳しよう
僕はいくつかのオンラインサロンに入って成功者の言葉を参考に行動した結果、好きなことで生きていくことがある程度できるようになりました。
そこには彼らの言葉を「何者でもない凡人」の環境に置き換えて、時間をかけて凡人の言葉に翻訳し、自分の身体の隅々まで浸透させる必要があったと思います。
成功者たちと何者でもない僕らの環境の差はあまりに大きいので、「この部分は凡人なりにこう翻訳しよう」と意識しないとワケが分からなくなります。
みなさんがフォローしている成功者の言葉は人生をよい方向に導いてくれる素晴らしいものですが、成功者バイアスは存在します。
言葉そのものを受け取るのではなく、自分の環境に置き換えるよう意識してみてくださいね。