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若葉の季節に故郷を偲んで

 新緑鮮やかな5月の上旬、匂い立つ薫風を肌で感じると、つい偲んでしまうものがある。私の故郷、練馬のことだ。生まれてから高校卒業までの18年間、常に私の心の中で確かなふるさととしてあり続けたかの緑豊かな街は、今年も本格的な夏に向けて、青々しい若葉をたくさん茂らせているだろうか。今回はそんな私の故郷、練馬について、望郷の想いを交えながら綴ろうと思う。


 東京都練馬区とは、東京特別区の中では最も北西に位置する区である。練馬大根が全国的に有名(だと私は思っている)なように、古くから大根の名産地として発展し続けており、現在でもそこかしこに大根の埋まった畑を見ることが出来る。まるで東京都とは思えない風景だ。まあ実はこれ”練馬”大根ではなく、普通の青首大根だったりするのだが。また都心にかなり近い立地の影響か、区単位で70万人超の人口を抱えるベッドタウンでもある。これは特別区の中では第二位の規模を誇る。鳥取や島根、高知辺りなら一区で人口を上回ってしまう勢いだ。


 そんな大根畑に閑寂とした住宅街と、実に静かな街だ。都会にありがちな喧騒もなく、一方で都心には近く利便性も高い。ショッピングやグルメの激戦区である池袋や新宿辺りまでなら30分もかからずに着いてしまう便利さだ。そのため私は生まれてこの方、住むだけなら練馬の右に出るものはないとまで思い続けている。本当に住みやすい。まあいくら喧騒がないとはいえ、地方と比べて人口だけは多いために、ラッシュ時の満員電車の中はそれこそ都会じみたものがあるが。あの家畜の出荷みたいな扱いはもう勘弁したい。


 だがそれでも、私はそんな練馬を今でもよく思い出す。緑豊かな私の故郷。今年で独立73周年を迎え、ツツジの花が咲き誇る春のような盛時はもう終わってしまっただろうが、まだ冬の時期になったわけではないはずだ。これからは止め処を知らない夏めく陽気の如く、青々しい若葉を実らせ続け、常に緑豊かな憩いの街としてあり続けることを切に願うばかりだ。


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大学の授業で書いた4段構成のエッセイに加筆修正をしたものです。

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