見出し画像

多様性と話を聞けない同僚

僕は常々、多様性の重要性について訴えている。

会社で、「また始まったよ」と鬱陶しがられる程度には何度も訴えている。

そんな僕のもとに、同僚から非常に興味深いLINEが来た。

とある有名YouTuberが、多様性を否定していたという内容だった。

ニュアンスとしては、「多様性を否定するなんて、変なYouTuberがいたもんだ」ではなく、「かずさんの持論、有名人に否定されちゃいましたね。もうおしまいですね。ぷぷぷ」という感じだった。

衝撃だった。

本当に衝撃だった。

その同僚が人の話をまともに聞けないことが。

紹介された動画を見てみると、まったく多様性を否定するものではなかった。

ちなみにこの動画だ。

まずそもそも、動画のタイトルにあるように、この動画のトピックで扱っているテーマは【議論の仕方】である。

この動画が否定しているのは、

  • 多様性を大事にするあまり、議論するときに『みんな違ってみんないいよね』と結論づけること

  • お互いの主張の違いを気にするあまり、お互いが合意できていることをないがしろにすること

の2点である。

この動画によると、お互いの意見の異なる部分を非難し合ってもディベートでは勝てないことが、AI vs 人間のディベート実験によりわかったそうだ。つまり、論破合戦ではダメだということだ。

ではどうするか?

ディベートが上手な人(強い人)を観察した結果、「お互いの同質性」に注目して議論を展開するといいということがわかったそうだ。

つまり、

「僕とあなたは、お金の心配をせずに子育てできる社会にしたいという、実現したいことは同じですね。さらに、政治ではなく民間にアプローチしようという点も同じです。」

というように、共通点探しから始めるそうだ。

決して、「あなたの意見は2011年にカリフォルニア大学が出した論文により、科学的に否定されています。」のような始め方はしない。

このように、議論においてはつい相手の主張の粗探しに必死になってしまいがちだが、お互いの共通点、すでに合意している点をないがしろにしてはならない。むしろ、そのすでに合意できている点こそが重要なのではないか?というのが動画の趣旨だ。

ちなみに、「ディベート上手になりたければ同質性に着目しなさい」というよりも、「同質性がないディベートは無駄である」というニュアンスが強い。

つまり、同質性が存在するのは、議論をスタートさせるうえでの必要条件であるというニュアンスだ。

これについて理解するために、

「すべての人に低価格で高品質な衣類を届けたい」

というミッションを持つ会社を想像してほしい。この会社の社長が、

「経営方針について議論したい。社内外問わず、多様な価値観を持つメンバーを集めてほしい」

と言った結果、

「低価格な衣類のためにアフリカでは児童が低賃金で労働させられているから、こういったビジネスモデルは社会悪だ」

とか

「リブランディングして、高級ブランドとして生まれ変われば、株価をさらに上げることができる」

など、そもそも土台となるミッションに共感すらしていない人が参画すると、議論の難易度は途方もなく上がるということだ。

せめて、「すべての人に低価格で高品質な衣類を届けたい」というミッションに共感している(同質性)メンバーで議論しましょうと。このミッションを否定されると、本来したい議論にならないというわけだ。

動画内では言及されていないが、当然、そこから先の議論では多様性が重要な働きをする。

本当に同じ人ばかり集めたら、同じような意見しか出ない。

そこで、多様な価値観を持つメンバーで議論することによって、自分の守備範囲外のアイデアが出たりするのだ。知らんけど。

……という内容を同僚に説明するのがめんどくさいので、まあ誤解されたままでいいかと思ったりする今日この頃。

お休みなさい。

いいなと思ったら応援しよう!