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「新富」も「グレープガンボ」も無い銀座の路地裏。

時は流れるのですよ、仕方なく。ひとも店も記憶だけ残して消えて行くのですよ。

スマートフォンのディスプレイの一部が動かなくなってしまった。

キーボードの”b”のところが、うんともすんとも。

銀座のソフトバンク・リペアカウンターに持ち込む。もちろん事前予約で。

すんなりリペアカウンターへ通され、実に感じの良い青年(ぼくから見れば大抵は青年な訳で)が一時間で直してくれるという。

では、その辺りを徘徊といこう。

ぼくが愛した「三原小路」も妙にきれいになってしまって、大好きだった「グレープガンボ」はとっくの昔に無くなっている。

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左手の中華屋さんのところにあった。

あのころは、家人と二人でカスレを肴に、赤、白一本ずつ空けてたな。

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小路を上がって左に曲がると、かの池波正太郎先生御用達「新富鮨」があった。ぼくのような小僧っ子は小さくなって、さっといただき、ぐびっとひと飲みのであった。

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「新富寿司」は、なにやらお土産物屋さんになっていた。

きっかり一時間。見事に修理完了。

にっこにこの笑顔に送られて、家人と合流。

ぼくら二人の友だちがオーナーシェフの東銀座「しのだ家」へ。

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まずはスパークリング。みんなで乾杯。

お通しと、奥は菜の花と辛夷のきんぴら。

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これを食すと春到来。

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ハマグリとムール貝の白ワイン蒸し。

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黒板に、めずらしく牛肉豆腐とある。

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なんだかコクがあるなぁ...ごま油と木耳。

なるほど、中華風牛肉豆腐だった訳ね。

ぐっと美味いじゃないか。

おっとびっくり。

ほっと弛緩。

ふうっと満腹。

ぼくらにはありがたい東銀座の居どころ。

ご馳走様でした。

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