ふしだらにお勉強...
哲学者であることの条件はこの世の背後に第二の、目に見えぬ現実があるという予感をもてるか否かにある…とニーチェ。
ぼくは哲学者ではないけれど、第二の現実、もうひとつのビジョンのようなものを、背後ではなく、すぐななめ左の後方あたりに、いつも予感している。
本屋巡りは不発に終わり、銀座から一気に恵比寿。
いつものブルワリーで、高橋厳さんの『神秘学講義』を拾い読み。
井筒俊彦さんの迷路に紛れ込みそうな予感がすると、すぐに高橋厳さんを引っ張り出す。
いいのだろうか、こんなにふしだらに酒を飲み、本を読み散らかしていて…と、柄にもなく反省のふりをして、それでも夕暮れの町を酒場に向かう。
白山の伏流水が醸した夏の酒。
古都にて三百年、刻まれた時を軽々と夏の酒。
七十年。生かされて、はじめて向き合う外界と内なる世界のあわい。
おもしろくて、つい、一献。