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フォービズム

 車屋選手がホームスタジアムの試合で、スタメンフルタイムでの出場を見たのは、約1年ぶりくらいらしい。
この1年の内に等々力陸上競技場は、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuと名称が変わった。
 センターバックは高井選手の台頭目覚ましく、弱冠19歳で日本代表に招集されている。
 車屋選手が初めて日本代表に選出されたのは、フロンターレが初優勝した2017年で、左サイドバックでの招集。季節もこれくらいだったような気がする。

 怪我からの復帰で、天皇杯のアウェイ戦でのスタメンはあったけれど、ホームでのスタメンが久しぶりで、試合前のアップでメインスタンド側での鳥籠に参加している姿だけで胸に込上げるものを感じ、何回か画像は悪いもののスマホで何度も写真や動画を夢中で撮った。スマホ越しに見ていないと、涙腺が刺激されそうだったからだ。
 集合写真も、整列も、円陣に加わる姿も、ずっとずっと目で追いかけた。
 キックオフ。
 鮮やかな緑の上、清らかにすら見える真っ青なリミテッドユニフォーム。丸で合わせたような青いナイキのスパイク。
 試合中の姿が、やっぱり、1番かっこいい。何回も何千回も何万回も抱いた感想は、もう心に刻まれている。
 暫く、その姿を見られずに、刻印のようなその言葉は少しくすんで褪せたかのよう思われたけど、今日の90分で、プレーする車屋選手によって研磨され、以前のように、いや以前以上にピカピカと輝き出したのである。
 世界一かっこいい選手は、わたしに元気を与えてくれる。興奮も癒しもときめきも、キレイなキレイな玉虫色のようにわたしの心を光らせてくれる。
 どんなプレーでも、一分一秒見逃したくなる。視覚と脳内を車屋選手だけに染めることは恍惚だ。
 車屋選手はインタビューで出来るだけ、フロンターレでプレーしたいと話していた。わたしもそれを望んでいる。フロンターレのエンブレムを纏って戦う姿を観ていたい。
 けれど、もし、この先にそのエンブレムとの決別があったとしても、恐らく、わたしは車屋選手のプレーが見たくて追いかけるだろうと思う。
 それは、今日、改めて思った。
 それくらい、やっぱり、ピッチ上にいる車屋選手を観ていたい。魅了されていたい。

 車屋選手のプレーを眺めることは、最高のご褒美であり、至高の現実逃避なのだ。
 丸でフォービズムのように、激しく強く生活を彩る

 

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