
いい場所、いい商売。
飲食にせよ、小売業にせよ、ハコモノ商売をする上で経営者が最も力を入れなければいけない仕事のひとつは何か。それは
いい場所(立地)を抑える事
である。
なぜか。
極論、業態は変える事ができる、人も変えることができる。
しかし、立地を変えることは難しい。
というか、立地を変える=閉店だ。
しかし、この立地の重要性をわかっていない経営者が意外と多い。
立地を間違えると何が起きるか。
従業員が苦しむ。
同じ能力の従業員なのに、立地によって2倍~3倍の売上の開きがあることがある。
従業員の能力には問題ないのに、立地を間違えることにより、
従業員は自分の努力が足りない、と自分を責める。
必死に頑張るが、それでも赤字。
忙しくて休みが取れないことよりも
暇でお客様が来ない方が、人は病みやすい。
自分は求められていないのではないだろうか。と思ってしまうのだ。
20年前位に、私が現場に出ていた時に、
営業終了後にちょっと飲みたい時に使う大箱居酒屋チェーンがあった。
24時以降にあいているお店はそこだけだったのである。
駅から離れたその居酒屋は100席を超えるにも拘わらず、
いつも客は私たちの組だけだった。
そして、従業員は店長ただ一人だった。ホールも調理場も一人でこなすのである。100席を。
従業員の掛け声が特徴的なそのお店では、
私たちの注文を聞くと、店長は厨房の方を向き、
「オーダーいただきました!!」
と叫ぶ。
そして、何歩か歩いた後に、
「ハイ、喜んで!」と大声で返事をする。同じ人である。
勘違いしないで欲しいのだが、
サンドウィッチマンのコントの一場面ではない。
店長は自分以外、誰も従業員がいないそのお店で
会社のルールを愚直に守っていたのである。
同業者の私から見ても、それは素晴らしい働きをする店長だった。
いくばくかの時が過ぎた頃、
その店長が営業中に倒れ、救急車で運ばれたことを聞いた。
そして、その時以来、そのお店が営業を再開することはなかった。
外食業界でコンサルを名乗らせてもらっているからには
不肖有村も、書かねばなるまい。
同じ悲劇を起こさない為にも。立地の話を。
どうすれば最高の立地で商売ができるか、
そして、最高の立地とはどういう立地のことを言うのかを。
ここから先は
¥ 400
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?