【NPO活動記】高認試験対策のオンライン学習支援事業担当者として
札幌市を中心に、ひとり親世帯や生活保護世帯等を主な対象に、「環境に左右されない楽しい学びの場をすべての子ども・若者へ」を使命として、学習支援や居場所づくりをしているKacotam。
2023年秋🍁、北海道教育庁からKacotamが業務委託を受けて、高卒認定試験にむけたオンラインの学習支援を試行的に実施しました(2023年10月~2024年3月)。
2024年夏🍉、事業が本格スタートとなり、再びKacotamが業務委託を受けることができました🎉
現在、体制強化のため、事業担当職員及び有償ボランティアを絶賛募集中です😊
この記事では、プレ実施期間から、この「高認試験対策のオンライン学習支援事業」の担当職員をしている中で感じたことを書いてみようと思います。
そもそも、高卒認定試験とは
正式名称は、高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)。文部科学省による認定試験のことで、高認試験(高認)などと省略されます。
受験案内の注書きにもあるとおり、高認試験に合格すると「高等学校卒業者と同等以上の学力がある者として認定」されるけれども、学歴としては、高卒とはなりません。文部科学省としては、就職試験においても高認試験の合格をもって、高卒者同等の選考がされるようになることをお願いしています。
高認試験は、毎年8月と11月の年2回実施されており、各回で1科目毎に合否判定が行われ、高認試験としての合格は、1回の試験で全科目合格を目指すもよし、各科目の合格を複数回の試験で目指すこともよしという仕組みになっています。
実施年度の高3生の必履修科目が反映された科目構成に概ねなっていて、令和6年度試験からは、
国語、地理(地理総合)、歴史(歴史総合)、公共、数学(数学Ⅰ)、理科(科学と人間生活、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から2〜3科目)、英語の8〜9科目が高認試験の合格に必要な科目となっています。
令和8年度試験からは、これに、情報Ⅰが追加され9〜10科目となることが予定されています。
過去問は、文部科学省のWEBページで公開されているので、各科目見てみると求められるレベル感がわかると思います。
高認試験に挑む:その背景にあるもの
高校自体のバリエーションも増えている中(昼間定時だったり、通信制だったり)、高認試験で進学等に関わる「高卒同等の資格」を得るのは、どうしてでしょうか。
先に紹介した、文部科学省の資料にも「様々な理由で」とあるようにケースバイケースです。
例えば、関わったケースの中だと(個人情報保護の観点からいくつかのケースを混ぜて再編成しています)、
中学校時代の不登校経験から、全日制ではない学校へ進学したけれどもやっぱり通学がしんどかった…
体調面での不安定さがあり、コンスタントに通学や課題提出をするのが困難…
進学校に進学したが、学習に着いていけず中退。別の高校への転学・再入学はもう自信がない…
といったものがありました。
似たようなケースでも、一人一人が抱える課題感(不安感、支援ニーズ)は少しずつ異なっていて、ステレオタイプに「高認試験を受けようとしているということはこういう人」のような当てはめはできません。
また、一人一人が抱える課題感は、単に学習のことにはとどまらず、本人自身の心身のこと、家庭の状況など本人を取り巻く環境のことなど、多岐にわたります。そのため、所謂ソーシャルワーク的な観点での支援も必要になってくることが見込まれます。
高認試験対策のオンライン学習支援事業は何を目指すのか?
事業全体として目指すことは、学習習慣・生活習慣の確立や学習意欲の向上を通じて、教育格差を要因とした経済格差の解消と貧困の連鎖を防止することとされています。委託事業ですが、奇しくもKacotamのビジョン・ミッションと通じるところが大きくなっています(Kacotamが手を上げて受託しているのだから、そりゃそうだ)。
結びにかえて
コロナ禍を経てオンラインでの学習はかなり広がりをみせていますが、様々な困難を抱えた子ども・若者に対してのオンラインでの学習支援は、単に学習を支援するという枠組では不十分だと思います。
一人一人が抱える「課題」を一緒に向き合ってくれる「伴走者」が必要とされています。
本事業は、単なるオンラインでの学習支援ではありません。「学習」「高卒認定試験対策」をきっかけに、「支援を必要としている子」とつながり、支援の輪につなげることも必要に応じて求められる事業です。難しさはありますが、それがこの事業の面白いところでもあります。
対面なら簡単にできることが、オンラインだからなかなか難しい。そういう点もありますが、「オンラインでもできる!オンラインだからできる!」ということを見つけて、実践していく楽しさがあります。
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団体名「Kacotam(カコタム)」は、「かんがえる・こうどうする・たのしむ」が由来になっています。事業担当職員には、自分が担当する事業について、「環境に左右されない楽しい学びの場をすべての子ども・若者へ」届けるために日々カイゼンを進めて行くことが求められます。私たちと一緒に思いっきり「かこたむ」しませんか?