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「ADHDです」って言ってもらうだけでうまくいくこともある

こんにちは。カブトムシの母です。

2024年4月から「改正障害者差別解消法」が施行され、障がいのある人への合理的配慮が義務付けられるようになりました。

そのため、私が働いている学校でも、配慮が必要な学生の情報がメールで送られてきて、当該学生とどんな配慮を望むか確認するように依頼されるようになりました。

今学期はADHDの学生が二人いました。

二人とも明るい感じのいい子ですが、言われてみれば、確かにとんちんかんな質問をしてきたり、「ん?」と思うことはありました。

「何もしてくれなくていいです」

一人の学生に、どんな配慮を求めるか尋ねたところ、
「提出物を締め切り通りに出せないことがあるかもしれない(ので締め切りを過ぎても受け付けてほしい)。」と言われました。

厳しい先生だと、1分でも遅れたら受け付けないということがあるそうです。
私の場合は、遅れても課題は受け取るので「それについては問題ない、締切前にリマインドするようにする」と約束しました。

もう一人の学生の場合は、

何もしてくれなくていいです。変な質問をしたり、同じことを何度も聞いたりしたりすることがあると思うので、その時に変に思わないでほしいんです。」

というようなことを言われました。

え、それだけでいいの?

と思いましたが、確かに、その学生の特性を知っているのと知らないのでは、大きな違いです。

現に、新学期が始まったころ、その学生が送ってきたメールを見て、「なんでこんなこと聞いてくるんだろう?授業を聞いてなかったのかな?」と悪い印象を持ってしまったので、言ってもらって本当によかったと思いました。

こんな風に先に言ってもらえれば、こちらも心構えや対処ができるのでいいなと思いました。

何もしなくても、知っているだけでお互いハッピー✨

先に言ってもらえれば…

それに対して、ADHDだと知らなかったばかりに悲劇(⁉)が起きたことがありました。

昨年、ある学生が、発表の日に無断欠席をしておきながら、次の週に何食わぬ顔で発表しようとしたので、「休む時はきちんと連絡し、別の日にふりかえたいならその旨をきちんと伝えるように」と注意しました。

すると、次の発表の時には、前日の夜に「他の科目の課題が終わらないので、明日の発表を別の日にしてほしい」と連絡がきました。

体調不良ならいざ知らず、他の科目の課題が終わらないってどういうこと?発表も課題も、だいぶ前にわかっていたはずのことなのに。

一人30分近い発表だったので、欠席されると授業の予定も狂ってしまいます。

確かに連絡するようにと言って、連絡をしてきたわけだけど、もっと早く言ってくれたらよかったのに!

と、ちょっとイラっとして、計画的に課題を進めなかったことについて、少しきつい書き方で返信をしてしまいました。

すると、後日、メールがきて、

実は、自分はADHDで医師から薬ももらって飲んでいる。それでもなかなか計画的に進められないことがあり…

というような事情が書かれていました。そして、

もうこの授業はやめようと思います。

とありました。

え?

確かに、計画的に進められないってADHDっぽいなとは思ったけれど…。

私の息子もADHDのグレーゾーンなので、それに関する本もたくさん読んだし、特徴や対応の仕方も理解しているつもりです。

それなのに、その学生がADHDだと知らなかったため、何だか追い詰めるようなことを言ってしまった…

と深く落ち込みました。

と、同時に、もし、先に言っといてくれたら、こちらもそれなりに配慮できたのに、と悔やまれました。

偏見の目で見られることを恐れたのでしょうか…。


友達の子も不登校に

これと似た話ですが、先生が子どもの特性を知らなかったために不登校にさせてしまった話もあります。

私の友人の子にもADHDの子がいるのですが、まだその特性を知らず、その子が普通に小学校に通っていた頃、クラスでは、担任の先生が、忘れ物や提出物の出し忘れをした児童が一目でわかるようにグラフにして貼っていたそうです。

私も経験があるのでわかりますが、ADHDの子は、親がどんなにフォローしても、忘れ物や提出物の出し忘れを完全に防ぐことができません。

なので、友人の子は怒られてばかり。

原因はそれだけではないと思いますが、友人の子はだんだんと学校が苦痛になり、小学校3年生ぐらいから、すっかり不登校になってしまいました。

後から、発達特性のことがわかり、友人がその先生に伝えたところ、「私のせいで…」と言って、泣いていたそうです。

この場合は、親も知らなかったことなので、事前に手を打つことはできなかったのですが、先生には、「忘れ物をせず、提出物もしっかり出す」というのが、普通の子よりずっとずっと難しい子もいるということを知っておいてほしかったです。

今の小中学校の先生が、どれだけ発達特性のことについて学んでいるのかわかりませんが、知識があれば、できない子をグラフで「見える化」するようなことはしなかったんじゃないかなぁと思いました。

MBTIみたいになれば

ADHDやASD、LDは「発達障害」と言われますが、「障害」になるかどうかは、本人の困り度によるものなので、それらの特性を持っていても、日常生活に支障がなければ「障害」にはなりません。

本人がライフハックを持つことで、うまく生活できている人達もたくさんいますが、周囲もこれらの特性について、もっと知識を持っていたら、お互い生きやすくなるんじゃないかなと思いました。

血液型や、今はやりのMBTIみたいに、発達特性についても、「私、サザエさん型ADHDだから、おっちょこちょいなんだよねー」とか「ウヨンウ型ASDだから突発的なことに対処するのは苦手なの。でも暗記は得意だよ。」とか、もっと気軽に話せるようになったらいいのにと思います。

まとめ

ADHDの留学生に「知っておいてもらうだけでいい」とニコニコ爽やかに言われ、なんか、それってすごくいいなぁと思ったので、記事にしてみました。

学校での事例なので、職場などではまた事情が異なるかもしれませんが…。

ちょっとした「合理的配慮」によって、スムーズに学べる子はたくさんいると思うので、今後、教師はますます柔軟な対応が求められていくと思います。

でも、何か対応するより、まずは知ることから。

それによって、発達特性を持った子どもたちにとって、生きやすい世の中になっていけばいいなと思いました。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。


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カブトムシの母
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