クラロワリーグ | CRL Asia | 2019-S2 | リーグのルールを把握しよう。今季のアジアはいわば”ケイリン”
毎シーズン変わるリーグのルール。その変遷から分かる今季のリーグの特徴とは?
『クラッシュ・ロワイヤル』の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ アジア」(Clash Royale League Asia, CRL Asia) 2019 シーズン2が、2019/8/22に開幕した。冬に開催予定の「世界一決定戦」への出場をかけたアジアの戦いのスタートだ。
CRL Asiaは2018年の発足から今季で4シーズン目を迎える。これまで毎季のようにリーグ方式に変更が加えられてきた訳だが、今季の変更は実はかなり大きいものだということが分かってきた。
そこで今回のnoteは、これまでのCRL Asiaのリーグ方式の変遷をふりかえった上で、今季は何がどう変わったのかについてちまちまとチェックしていきたい。キーワードは「アドバンテージ」そして「ケイリン」だ。”CRLは熟知してるぜ!”という方は「まとめ」の項へいきなり飛んでもらえれば。
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リーグ方式:CRL Asia 2018 S1
CRL Asiaの第1季は、2018 Season 1。2018.4.27~7.15に開催された。
▲レギュラーシーズン順位表。
2018 S1のレギュラーシーズンはCRL Asia全12チームで順位を競った。1回戦総当たり。
▲ワイルドカード。
2018 S1のワイルドカードの出場条件は「地区(division)1位3チームを除いた9チームの中で総合順位上位の4チーム」。
▲プレイオフ。
2018 S1のプレイオフはステップラダー式トーナメント。「地区1位」の3チームの中で総合順位順にシードが与えられた。
▲まとめ。
2018 S1のポストシーズン(Wildcard+Playoffs)のアドバンテージをまとめるとこうなる。WCの勝ち抜きには2勝必要なので免除された3チームには(+2)とカウント。POはステップラダー式なので、シードチームには+2・+1とカウントした。
○Good
・RS上位にPSのアドバンテージが与えられるため、納得度・公平感が高い。
・各地区1位がPlayoffsへ進めるため、日本・韓国・東南アジアのファンをもれなくカバーしている。
△Not good
・RS8勝3敗のチームに計+4のアドバンテージが与えられる一方、RS7勝4敗でも+0のチームがあった。RSの勝ち数の差は1なのに、アドバンテージに最大4の差がつくのは上位チームを優遇しすぎの感あり。
・RSの下位チームにチャンスが少ない。下剋上の可能性も低い。(そこを下剋上してしまったからこのシーズンのPNSは凄かったのだが)
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リーグ方式:CRL Asia 2018 S2
CRL Asiaの第2季は、2018 Season 2。2018.8.24~11.11に開催された。
▲レギュラーシーズン順位表。
2018 S2のレギュラーシーズンは、日本・韓国・東南アジア(SEA)の各地区(division)内の順位を競った。1回戦総当たり、地区内のみ2回戦。
▲ワイルドカード。
2018 S2のワイルドカードの出場条件は「地区2位」。
▲プレイオフ。
2018 S2のプレイオフはシングルエリミネーション式トーナメント。「地区1位」の3チームとワイルドカード勝者が横一線で対決した。
▲まとめ。
2018 S2のポストシーズン(Wildcard+Playoffs)のアドバンテージをまとめるとこうなる。WCの勝ち抜きには2勝必要なので免除された3チームには(+2)とカウント。POは横一線のシングルエリミネーション式なので+0と表記。
○Good
・各地区1位がPlayoffsへ進めて、各地区2位がWildcardへ進めるため、日本・韓国・東南アジアのファンをもれなくカバーしている。
・地区内対戦は2回戦行われたため、ライバル意識が明確となりシーズンの焦点がはっきりする。
・前半負けが込もうが、RSで負け越そうが”ワンチャンある”方式。下剋上のチャンスが大きい。
△Not good
・RSの勝者に与えられるアドバンテージが小さい。
・地区間に競争力の差が大きく出てしまった場合、納得度や公平感が下がる。
・今回の場合、SEAは競争が激しく、RS8勝6敗でも次へ進めないチームがあった。
・また逆に、KRは他地区の後塵を拝した一方で、RS7勝7敗・RS5勝7敗の2チームがPlayoffsへ勝ち進む下剋上を見せた。”RSに負け越したチームが世界大会へアジア代表として出場する”こともあり得た訳だ。
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リーグ方式:CRL Asia 2019 S1
CRL Asiaの第3季は、2019 Season 1。2019.4.25~6.29に開催された。
▲レギュラーシーズン順位表。
2019 S1のレギュラーシーズンは、グループ(各6チーム)内で順位を競った。1回戦総当たり。
▲プレイオフ。
2019 S1のプレイオフはステップラダー式トーナメント。出場条件は各グループの「上位4位」以内。グループ内1位と2位がシードされ、3位と4位の対決からスタートした。
▲まとめ。
2019 S1のポストシーズン(Playoffs)のアドバンテージをまとめるとこうなる。POはステップラダー式なので、シードチームには+2・+1とカウントした。
○Good
・RSの順位相応のアドバンテージが与えられる。これは最後まで優勝を狙う大きなモチベーションとなる。
・6チーム中4チームがPO進出できるため、下位チームにも最後まで目標が生まれる。ゆえに消化試合が減る。
・2日で6チームが一気に敗退する残酷なPOトーナメントがドラマ性を生む。
△Not good
・理論上、4チームすべてがPO進出する地区が出る可能性があり、逆に4チームすべてがPO進出を逃す地区が出る可能性がある。日本・韓国・東南アジアのファンをもれなくカバーできない恐れも。
・グループ制を謳いつつ、”グループ内で総当たり1回戦・グループ間交流戦で総当たり1回戦”では理解に苦しむ面がある。12チーム総当たりと何が違うのか。
・上位チームのシードと、1日の中での連戦という仕組み上、下剋上のチャンスは限りなく低い。
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リーグ方式:CRL Asia 2019 S2(今季)
CRL Asiaの第4季は、2019 Season 2。2019.8.22~11.2の予定で、現在進行形で開催されている。
▲レギュラーシーズン順位表。
2019 S2のレギュラーシーズンは、グループ(各6チーム)内で順位を競う。グループ間の交流戦はない。2回戦総当たり。
▲プレイオフ。
2019 S2のプレイオフはダブルエリミネーション方式(敗者復活方式)トーナメントを初採用する。出場条件は各グループの「上位4位」以内。2つのプレイオフグループに分かれ横一線で対決する。プレイオフグループの勝者同士で決勝戦をおこなう。
▲まとめ。
2019 S2のポストシーズン(Playoffs)のアドバンテージをまとめるとこうなる。POは横一線のダブルエリミネーション式なので+0と表記。驚くなかれ、今季のアジアにPOのアドバンテージは存在しない!
○Good
・下剋上のチャンスがこれまでで最大。RSでアジア全体8位の成績であっても、PO次第で世界大会出場のチャンスが生まれる。
・2019 S1に分かりづらかったグループ制を強く打ち出したこと。ライバル関係とシーズンの焦点がはっきりした。
・POは敗者復活戦ありのダブルエリミネーション方式ということで、大一番の試合数が増えるし、より実力を反映した結果が見られることになる。
・世界一決定戦へアジア代表を送り出す視点に立つと、”3か月間の王者”ではなく”最後の大一番に仕上げてきたチーム”を選出する方式。安定性はともかく、その時点で最も勢いのあるチームを選ぼうという発想。
△Not good
・RSの順位や勝利の価値はこれまでで最小。POにアドバンテージは一切ない。(※現在公開されていないだけで何らかの優遇措置がある可能性はあるが、仕組み上優遇しようがないように思える)
・他プロスポーツでも”POは横一線で”という事例はままあるが、”12チーム中8チームが横一線”というのはやりすぎ。RSで上位を目指すモチベ―ションに欠ける。
・RSはもはや「4位以内に入れればよい。真の勝負はPO」という前哨戦と化した。2チームの負けが込んだ場合そのグループ全体が早々に消化試合になる恐れがあるし、最終盤に”この試合に勝つよりも負けた方がPOでの対戦カードが有利になりそうだから無理に勝ちにいかない”という行為に合理性が生まれるシチュエーションも起こり得る。懸念点は多い。
・2019 S1と同様に、日本・韓国・東南アジアのファンをもれなくカバーできない恐れがある。
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まとめ:今季のアジアはいわば”ケイリン/KEIRIN”
ここまでふりかえってきたCRL Asia4季のリーグ方式について、まとめの表をもう一度一気に見ていこう。
▲CRL Asia 2018 S1
▲CRL Asia 2018 S2
▲CRL Asia 2019 S1
▲CRL Asia 2019 S2(※今季)
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これを受けて本論。まずは感情の話、好き嫌いの話をしよう。
筆者は今季のリーグ方式は好きではない。大事なのは、レギュラーシーズンの優勝争いを盛り上げること、下位チームにもチャンスを与え消化試合を減らすこと、そのさじ加減だ。2019 S2のリーグ方式は、下位チームに下剋上のチャンスを与えすぎているし、かえって消化試合も増える恐れすらある。これはさすがにバランスを欠いている
とは言え、好きだ嫌いだと言っても始まらない。もう今季はこのルールで動き始めているのだから。
そこで次に、今季のルールでの合理的な戦い方やファンとしてのみどころといった理屈面の話をしたい。ここで出て来るのが「ケイリン」という訳だ。
ケイリン / KEIRIN
「ケイリン」は、2000年シドニーオリンピックから柔道に次ぐ日本生まれの五輪種目となりました。ケイリンは、電動アシスト付き自転車をペースメーカーとして使用し、このペースメーカーが退避するまでの間に、ベストポジションをキープするための駆け引きが激しく行われ、最後の1周回で一気に勝負が決まります。
http://keirin.jp/pc/static/beginner/miscellaneous/olympic-keirin.html
われわれファンが意識した方がいいのは、これまで3季のCRL Asiaがスプリントだったとすれば、今季はケイリンだということだ。初めから最後まで満遍なく強いチームや最多勝チームが優勝に近づくこれまでの図式は、おそらく今季には当てはまらない。むしろレギュラーシーズンは「4位以内に入れれば良い」というスタンスで、自分の手の内を隠しつつ、相手の手の内を少しでも晒し、時にフェイクをかましたりして、いかにしてPlayoffという最後の大一番にチームを有利なポジションに持っていくか、という駆け引きの場となる。その複雑さはうまく運べばCRLに新しい楽しみを生むだろう。
ただ、前述したように、グループの勝敗分布によっては消化試合はこれまでで最大になる懸念もあるし、最終盤に”この試合に勝つよりも負けた方がPOでの対戦カードが有利になりそうだから無理に勝ちにいかない”という行為に合理性が生まれる可能性もある。ファン目線では納得のいかないチーム判断にも実は隠された目的があった、ということが過去シーズンより増えそうだ。今季はそういうルールの戦いなのだ、とファンとしても知っておこう。
チームや選手の側が意識するとすれば、これまでのシーズンのように「次の一戦に全力集中」という姿勢だけでは足りないということだろう。選手はそれでよいとするにしても、少なくとも監督・アナリストらスタッフ陣はそれではいけない。「4位以内」の出場権圏内をキープしつつ、情報戦を制し、チームの経験値を上げ、時には休養を優先し、人事を尽くして、Playoffsに向けていかにチームをベストなコンディションに仕上げるか、というマネジメントが求められる。これは非常に高度で高難易度だ。過去一、監督力・チームの総合力の差が出るシーズンとなるだろう。そして、その苦労の多くは表に出ることはまずない。そういう種類の大変さも増えそうだ。
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色々ごちゃごちゃ書いてきたがまとめに入ると、今季(2019 S2)のCRL Asiaのリーグのルールは筆者的にはあまり好きじゃないけれど、「ケイリン」とみなすことで新しい面白味が発見できる可能性があるね。という感じになる。
古来より、嫌いから好きに転じる・黒が白に裏返る・不安や懸念をスカッと吹き飛ばす、というのはエンターテインメントの定番であり、大きな快感をもたらす方程式でもある。ぜひひとつ、そんな2019 S2をわれらに。■
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League Information
クラロワリーグ アジア Clash Royale League Asia, CRL Asia
Official HP(JP/EN/CN/KR)
https://crl-asia.com/jp/
Youtube(JP)
https://www.youtube.com/channel/UCtECyE5fuzAqMi1zNLnttIg/featured
Youtube(EN)
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Youtube(CN)
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Youtube(KR)
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Good luck !