クラロワリーグ | CRL Asia,East | 2018-2020 | 賞金の歴史
新シーズンの「賞金総額 225,000ドル・優勝賞金 120,000ドル」とは、一体どういう意味をもつ金額なのだろうか?
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8月15日に開幕する『クラッシュ・ロワイヤル』の公式eスポーツリーグ『クラロワリーグ イースト』(Clash Royale League East)2020年 『フォールシーズン』(Fall Season)の概要が7月13日に発表されたとき、新シーズンののボーナス金額が話題となった。その優勝賞金は、なんと120,000ドル(約1,270万円)。絶対額として大きいのはもちろん、CRL Asia/CRLEast史上で見ても、これはとても大きい金額だ。
「CRL Asia,Eastの3年6季の賞金総額の中で、新シーズンの賞金はどれだけ大きい額なのか?」
「CRL が今季これだけの賞金を設定する狙いや背景は?」
今回はこの2つのテーマについて、3年間の歴史を振り返りながら、あれこれと推測してみたい。
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「助成金」と「ボーナス(賞金)」
CRL Asia,East3年6季の賞金をふりかえっていく前に、大前提として”クラロワリーグとお金”について確認しておこう。
CRLの発足年(2018年)の記者会見で、こういうやり取りがあった。
――日本のゲーム大会には賞金の上限があると思いますが,今回の大会に関しては法的な問題はないのでしょうか。
殿村氏:
そこには触れないように,賞金という形で支払うことはありません。ただ,チームには一律の助成金と,成績に応じたボーナスを支払うという形で進めさせていただきます。
(4gamer、2018/03/07)
景品表示法の存在により、日本のeスポーツでは”大会賞金の最高額は10万円を上限とする”と認識されてきた。そこで、新しいプロリーグ(CRL)ではその問題とどう向き合うのかを記者が質問した訳だ。
・「助成金」一律。※金額非公表
・「ボーナス」成績連動。※金額公表(非公表リーグ、シーズンもあり)
「助成金」があることで、仮に最下位になってもリーグからチームへ一定額が支払われる。選手への固定給やチーム運営費はここから賄われることになる。そして、いわゆる”賞金”に相当するのは成績によって額が変わってくる「ボーナス」の方だ。この獲得を巡って真剣勝負が展開される。
2020年現在もおなじ仕組みで運営されているのかはわからない。少なくとも2018年のリーグ発足時にこういうモデルでスタートしていた事実について、みなさんと共有しておきたい。
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CRL Asia 2018 Season 1
それでは、CRL Asia,East3年6季の賞金を順番にふりかえっていこう。
クラロワリーグ アジア(CRL Asia)2018 ファーストシーズン(S1)は、2018年4月27日から7月15日にかけておこなわれ、日本のPONOSが12チームの頂点に立った。
プレイオフ優勝のボーナス(賞金)は、40,000ドル。賞金総額は、100,000ドルだった。
▽Prize Pool(liquipedia)
CRL Asia 2018 Season 1
Playoffs 1st 40,000 USD (PNS)
Playoffs 2nd 20,000 USD (GW)
Playoffs 3rd 10,000 USD (KZD)
Playoffs 4th 5,000 USD (AHQ)
Regular Seaon 1st 15,000 USD (GW)
Regular Seaon 2nd 10,000 USD (KZD)
Total 100,000 USD
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CRL Asia 2018 Season 2
クラロワリーグ アジア(CRL Asia)2018 セカンドシーズン(S2)は、2018年8月24日から11月11日にかけておこなわれ、韓国のKING-ZONE DragonXの優勝で幕を閉じた。
プレイオフ優勝のボーナス(賞金)は、前季と同額の40,000ドル。賞金総額は、100,000ドルだった。
▽Prize Pool(liquipedia)
CRL Asia 2018 Season 2
Playoffs 1st 40,000 USD (KZD)
Playoffs 2nd 20,000 USD (BRN)
Playoffs 3rd-4th 7,500 USD (PNS,SB)
Regular Seaon 1st 15,000 USD (PNS)
Regular Seaon 2nd 10,000 USD (BRN)
Total 100,000 USD
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CRL Asia 2019 Season 1
クラロワリーグ アジア(CRL Asia)2019 ファーストシーズン(S1)は、2019年4月25日から6月29日にかけておこなわれ、日本のPONOSが昨年のS1に続いて再びアジアの頂点に立った。
プレイオフ優勝のボーナス(賞金)は、40,000ドル。賞金総額は、105,000ドルだった。
なお、PONOSはこれとは別に、レギュラーシーズンのグループ2位報酬としての5,000ドルも手にしていた。
▽Prize Pool(liquipedia)
CRL Asia 2019 Season 1
Playoffs 1st 40,000 USD (PNS)
Playoffs 2nd 20,000 USD (GW)
Playoffs 3rd 7,500 USD (CT)
Playoffs 4th 7,500 USD (BRN)
Regular Seaon Group A 1st 10,000 USD (GW)
Regular Seaon Group A 2nd 5,000 USD (BRN)
Regular Seaon Group B 1st 10,000 USD (CT)
Regular Seaon Group B 2nd 5,000 USD (PNS)
Total 105,000 USD
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CRL Asia 2019 Season 2
クラロワリーグ アジア(CRL Asia)2019 セカンドシーズン(S2)は、2019年8月22日から11月2日にかけておこなわれ、韓国のOGN ENTUSが初優勝を果たした。
プレイオフ優勝のボーナス(賞金)は、CRL Asia史上最高となる50,000ドル。賞金総額は、105,000ドルだった。
▽Prize Pool(liquipedia)
CRL Asia 2019 Season 2
Playoffs 1st 50,000 USD (OGN)
Playoffs 2nd 30,000 USD (FAV)
Playoffs 3rd-4th 7,500 USD (KIX,CT)
Playoffs 5th-8th 2,500 USD (SB,OPG,PNS,DRX)
Total 105,000 USD
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CRL East 2020 Special Season
アジア(CRL Asia)と中国(CRL China)が新リーグ・イースト(CRL East)に統合され、チーム数も12+8→8と圧縮されたのが、2020年開幕前のこと。
クラロワリーグ イースト(CRL East)2020 スペシャルシーズン(SS)は、2020年4月4日から5月23日にかけておこなわれ、日本のFAV gamingが新リーグ8チームの頂点に立った。
プレイオフ優勝のボーナス(賞金)は、40,000ドル。賞金総額は、過去最少の75,000ドルだった。
▽Prize Pool(liquipedia)
CRL East 2020 Special Season
Playoffs 1st 40,000 USD (FAV)
Playoffs 2nd 20,000 USD (WED)
Playoffs 3rd 10,000 USD (KIX)
Playoffs 4th 5,000 USD (PNS)
Total 75,000 USD
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CRL East 2020 Fall Season
ここでようやく新シーズンの話になる。
クラロワリーグ イースト(CRL East)2020 フォールシーズン(FS)は、2020年8月15日から11月1日にかけておこなわれる。
プレイオフ優勝のボーナス(賞金)は、過去最多の120,000ドル。賞金総額も、過去最多の225,000ドルと発表された。
▽Prize Pool(liquipedia)
CRL East 2020 Fall Season
Playoffs 1st 120,000 USD
Playoffs 2nd 60,000 USD
Playoffs 3rd 30,000 USD
Playoffs 4th 15,000 USD
Total 225,000 USD
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「賞金」の変遷 2018-2020
ここまで見てきたCRL Asia,East3年6季の賞金の変遷をグラフにしてみよう。
まずは、「賞金総額」。
新シーズンの「賞金総額」225,000ドルは、過去最高だった19年S1、19年S2 の2.1倍になる。昨季比なら3倍だ。
つぎに「優勝賞金」。
新シーズンの「優勝賞金」120,000ドルは、過去最高だった19年S2 の2.4倍になる。昨季比ならこちらも3倍だ。
CRL Asia,Eastの3年6季の賞金総額の中で、来たるべき新シーズンの賞金がいかに大きい額で、いかに大きな伸びだったのか、はっきりお分かりいただけたことと思う。
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新シーズンの「賞金」の狙いと背景
さいごに「CRL が今季これだけ大きな賞金を設定する狙いや背景」について色々考えてみたい。
CRLは賭けに出た
今回の賞金額を聞いてまず思ったのがそれだ。選手やファンがびっくりするような金額を設定して「話題性」を期待するとともに、プロチームの「本気」と「真剣勝負」をさらに引き出そうということなのだなと。
発表を受けてのSNSの反応は驚きやら関心やらで上々だし、East各チームのオフの補強を見ても本気度の高まりは伝わってくる。今のところ狙った効果は出つつあるようだ。
ビジネス的な背景
しかし、大きな賭けに出るということは、変えたい何かがあることの裏返しだ。CRLの場合、視聴者数の伸び悩みや、ゲーム内課金額の落ち着きといったビジネス的な背景がそれになる。
2019年以降のCRLは、”リーグ数・チーム数を減らし、絞り込んだ少数精鋭のハイレベルなリーグで世界中のファンを魅了する”、という方向性で進んでいるように見える。それをさらに加速させるための賞金額積み増しと考えた時、多少SNSで反応があったり、視聴者が微増したくらいで満足してはいられないはずだ。
結果はシビアに数字で求められることになる。
不安と期待でハラハラ
過去比で約2倍になる賞金総額にしても、Asia+Chinaの統合リーグであることを考えれば、実はそこまで驚くべき数字ではない。2018年シーズン(世界5リーグ)に「賞金総額約1億円」だったときから、世界合計の推計賞金プールはさほど増減していないのだ。
ただ、賞金額というものは一度基準を上げてしまうと、下げるのは容易なことではない。仮に財政面で難しくなったときに、大きなイメージダウンを伴ってまで賞金や運営費を切り詰めて大会やリーグを存続すべきか、それともいっそ・・・という判断も十分に起こりえる。
未来がバラ色になるのか灰色になるのかは誰にもわからない。だが、リーグは先手を打ち、大きな賭けに出てくれた。あとはチームや選手たちのパフォーマンス次第であり、それを受けてのファンやコミュニティのリアクション次第なのである。
『スペシャルシーズン』と冠されたのは昨季のことだけれど、新シーズンもまた”特別な勝負のかかったシーズン”となりそうだ。あらゆるレイヤーにおいて、目が離せそうにない。■
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+ 関連サイト
liquipedia Clash Royale
https://liquipedia.net/clashroyale/Main_Page
https://liquipedia.net/clashroyale/Tier_1_Team_Tournaments
(and thanks to Vishu)
「クラロワ」攻略メモ&観戦ガイド(Wiki)
https://wikiwiki.jp/c-r/CRL/about
https://wikiwiki.jp/c-r/CRL2019/about
https://wikiwiki.jp/c-r/CRL2020/about
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+ League Information
クラロワリーグ イースト(Clash Royale League East, CRL East)
Official HP(JP/EN/CN/KR)
https://www.crl-east.com/jp/
Official HP(CN)
https://www.crlcn.com/#/
Official HP(KR)
https://cafe.naver.com/clashroyale#
Official HP(EN)
https://esports.clashroyale.com/en/asia/
Official Twitter(JP)
https://twitter.com/ClashRoyaleJP
Official Youtube(JP)
https://www.youtube.com/channel/UCtECyE5fuzAqMi1zNLnttIg/featured
Official Youtube(EN)
https://www.youtube.com/channel/UC93yASowKvnrUpvWsCe4F7A/featured
Official Youtube(KR)
https://www.youtube.com/channel/UCHckjM64zrnMdB-D8cvuPew/featured
Huya(CN)
https://www.huya.com/supercell
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Good luck!