完全ネタバレ!「いけないII」 道尾秀介
はじめに
前作の「いけない」は徹底的に読んで解説をNOTEにまとめました。ドはまりした小説の第二弾が出版されたということで買わないわけにはいきません。文庫化されるのを待とうかと思っていましたが、(文庫化されるまでの期間が)待ちきれずにハードカバーで買いました。
☆今回もネタバレを大いに含みます。というかネタをすべて解説するnoteを書いていますので、本作を未読の方は絶対にこのnoteを読まないでください。
前作は街の地図から始まり、街にある建物や名所を頭の中に入れた上でそれらの位置関係が鍵になりました。地図が苦手な方には難しかったかもしれません。いけないIIでは冒頭はこの写真から始まります。
女子高生がどこかでお祈りをしています。この場所は第一章に出てくる明神の滝の前にある観瀑台(滝を見るための台)です。そこに座ってお祈りをしているのが、第一章で「忽然と姿を消した姉・緋里花(ひりか)」ということになりそうですが、実はこの女のコは緋里花を捜索している妹の桃花です。ダッフルコートの胸に縫い付けてあるクマのワッペンが「わー」と両手を上げていることを覚えておいてください。これが第一章の鍵になります。あとは指の本数。行方不明となった姉の緋里花を、妹の桃花(ももか)が捜索するのが第一章の大まかな流れです。
今回も隅々まで読破して、すべての謎を解き明かしすべてを一本の糸で結びつけたので解説を書いていきます。ちなみに前作の「いけない」とのつながりは一切ありませんので、いけないを未読の方でも「いけないII」を読んで面白いと思ってもらえると思います。つながりと言えば、前作と本作に共通して出演するのが刑事の隈島です。いけないIIでは新人刑事隈島となっており、本文中に「6つ違いの兄が居る」との記述があり、しかも兄も刑事だが殉職したとの記載があります。「いけないII」の隈島は「いけない」の隈島の弟ということになります。そして兄の隈島は亡くなった事が分かりました。しかし、この兄弟関係は本作とは全く関係がありません。今後、IIIが展開されれば兄弟の関係が小説の展開に絡んでくるのかもしれません。
それでは、本作の解説に参りましょう。
第一章 明神の滝に祈ってはいけない
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