見出し画像

第137回 第4策 サイクルの策

このサイクル投資法は、優待投資家の間では有名な投資法です。
また、知り合いの一人でもある夕凪さんが「スタバ株は1月に買え!: 10万円で始めるイベント投資入門」と、「イベント投資」という名前で出版もされています。

最近の投資家は、2712スターバックスが上場されていたこと自体を知らない人も多いでしょう。
2001年から2015年にかけて、大阪証券取引所のナスダックジャパンに上場されていました。
2712スターバックスの株価は2万円前後だったと思います。
ただ当時は、取引単位が100株に統一される前で、2712スターバックスは1株が単元株でした。
そして、1株で2回分無料(トッピング込み)という株主優待が付いてきました。

この2712スターバックスの権利確定日は3月末でした。
そこで夕凪さんは、1月に買えと書いている訳です。
それは、好優待銘柄は、大体3ヶ月くらい前から、上昇し始めるからです。

日本の上場企業の中で、3月を期末としているものが全体の7割ということを以前書きました。
つまり、株主優待の権利日も7割が3月とも言える訳です。
また、中間配当と同じように、中間期に権利日を設定する企業もあります。
ですから、株主優待の権利日も、配当金と同じように9月と3月に集中している訳です。

そして次に多いのが年末に当たる12月です。
また、12月企業の中間期は、6月になります。
つまり、株主優待の権利日が多い月は、3月→9月→12月→6月となる訳です。

ここで3月銘柄である2712スターバックスを1月に買う理由ですが、それはサイクルのように投資先を乗り換える為です。
2712スターバックスは、3月の年1回だけの銘柄でしたが、7550ゼンショーHDのように3月と9月の年2回の銘柄もあります。
年2回の場合は、ただ長期保有し続けるだけで権利を得ることが出来ます。
ただ、これでは限られた種銭で少しでも多くの株主優待の権利を得たいという初心者投資家の欲望を満たすことが出来ない為、乗り換える必要がある訳です。

ただ、乗り換えるとしても、種銭を減らすようなことはしたくありません。
出来るなら種銭も増やしつつ、株主優待も取りたいと言う本来推奨しない「二兎を追う」ような投資法でもある訳です。

そこで、種銭を減らさない為には、権利落ちを食らっても、含み益の状態で無ければなりません。
好優待であればあるほど、権利落ちは厳しいものになります。
酷ければ、10%を超える下落も、覚悟しなければなりません。
2683魚喜などは最たる例でした。
株主優待は5,000円相当の数の子だったのですが、権利落ちが7万円というほどにまで崩れていた訳です。

ですから、少なくとも権利日までに、その分の値上がりを確保しなければなりません。
つまり、1日でも早くその銘柄を仕込まなければならない訳です。
ただ、権利落ち直後が最も安いのですが、そこで仕込んでしまったら持ち続けているのと違いはありません。
ですから、同じように12月銘柄の権利落ち後の1月に仕込むとなる訳です。
こうすれば、3月→9月→12月→6月と乗り換えられることが出来るからです。

ただ、ここで終わっていては芸がありません。
まず仕込みは、1月ではなく、12月の権利落ち前に行います。
なぜなら、サイクル投資法は広く知れ渡っている投資法なので、権利落ち後に次のサイクルに相当する銘柄が、高値寄りになる確率が高いからです。
ですから、その前に仕込んでおいた方が効果的だという訳です。

- でも、その為に先の銘柄を売って種銭を作ったら、権利が取れないじゃないか!? -

という意見があると思います。
ですから、別に現物取引である必要は無いんです。
信用取引で仕込めば良いのです。
今の保有銘柄は、売るタイミングが決まっています。
ですから、そこまでの数日を信用取引で繋ぎ、権利落ち後に種銭が出来たら、現引きすれば良い訳です。

また、正直、株主優待にこだわる必要は無いと思います。
株主優待の5,000円相当の数の子は、現金7万円以上の価値は絶対にありません。
株主優待という語句は、初心者投資家にとって魅力的な響きかもしれませんが、そのうち現金の方が良いと目覚めることになると思います。
その時は、権利日前の高値で、躊躇なく売り払うことが、このサイクル投資法の効果を最も大きく発揮させられる時だということです。

いいなと思ったら応援しよう!