「華文ミステリFUN!」公式note

中国語圏ミステリ・サスペンス作品情報発信サイト「華文ミステリFUN!」の公式noteです。新作情報や著者インタビューといった情報を掲載予定です。

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最近の記事

『大唐泥犁獄』刊行記念 陳漸先生インタビュー

――先生のデビュー作は大学生の時に執筆した作品だと伺いました。先生が作家になるまでの経緯について教えてください。 陳漸 ほかの方もそうかもしれませんが、子供の頃の全ての趣味は将来のキャリアのための準備になるものです。  小さい頃から読書が好きで、ジャンルを問わず読みました。通俗小説、自然世界の謎を紹介する本、SFなど。中学時代に歴史・考古学の専門誌まで定期購読していました。当時は将来作家になるという意識はありませんでしたが、思いかけず作家という職業に必要な読書量と知識の備蓄

    • 11月23日(月)『網内人』『死亡通知書 暗黒者』オンライン読書会開催!

      話題作『網内人』『死亡通知書 暗黒者』の刊行を記念して、作家の青崎有吾先生と批評家の千街晶之先生をお招きし、Zoomを用いたオンライン読書会イベントを開催いたします! 読書会は作品ごとの二部構成を取り、それぞれ用意した2テーマについてゲストの先生方のご意見を頂いてから、参加者の皆さんの間でディスカッションの時間(各テーマ30~40分程度)をご用意しています。 ※チケット購入時に、いずれのテーマで参加したいかお選びください。 ※ゲストの皆さんは、第一部・第二部ともご参加いただ

      • 「常に『今の時代』の物語を書きたい」 紫金陳先生インタビュー

        「本格ミステリ×社会派」の警察サスペンスの指折りの書き手で、大陸で絶大な人気を誇る紫金陳先生。  昨年には人気シリーズ第一作『官僚謀殺 知能犯之罠』が邦訳刊行され、また、累計5億PV突破という驚異的な視聴回数を記録したサスペンスドラマ『バーニング・アイス』(原作『推理之王2 無証之罪』)の原作者として日本でも注目される紫先生に、創作の姿勢や好きな日本ミステリについて、インタビューしました。 (このインタビューは、2019年5月開催の『知能犯之罠』出版記念イベントの来場者特典冊

        • 「悪」を問い、立ち尽くす主人公ー『死亡通知書 暗黒者』

           昨年刊行された紫金陳『知能犯之罠』を読まれた方は、中国産サスペンスの実力をはっきりと実感されたことと思います。このジャンルでは他にも雷米『心理罪』シリーズ、秦明の『法医秦明』、蜘蛛の『十宗罪』シリーズなど広く支持されている作品がたくさん存在しますが、なかでもミステリファンから高い評価を受けているのが周浩暉『死亡通知単』(原題)連作です。  刑事の羅飛を主人公としたシリーズの中核をなすのが、三作からなるこの連作。すべての謎が解明されるミステリとして一作ずつ区切りをもちながらも

          香港の“未来”を想う作者の傑作―『網内人』

           本作『網内人』は、日本でもベストセラーとなった『13・67』に続く作者の長編小説となる。  本作のあらすじそのものはきわめてシンプルだ。自宅のアパートから飛び降り自殺をした妹の死の真相を探るべく、姉の阿怡(アイ)は風変わりな探偵・阿涅(アニエ)に調査を依頼する。  妹は陰湿な虐めを受けてい、その犯人を探り当てた阿怡は探偵の手を借りて復讐を決意するのだが ーーというふうに物語の表層を軽くなぞってしまえば、極めてわかりやすい復讐譚のようにも見える。  しかしながら『世界を売

          香港の“未来”を想う作者の傑作―『網内人』

          後期クイーン問題×青春ミステリー『文学少女対数学少女』

           『元年春之祭』では「前漢を舞台にした読者への挑戦状付き不可能犯罪ミステリ」という唯一無二の趣向を打ち出し、『雪が白いとき、またはそのときに限り』では日本の新本格ミステリへの帰依を前面に見せた陸秋槎。満を持して、デビュー当初から書き継いでいた「陸秋槎」シリーズの短篇集を刊行することになりました。  『文学少女対数学少女』は高校生たちが中心的な登場人物となり、作中作のミステリを扱う短篇(中篇)が四つ並ぶ構成です。本好きの「文学少女」で、学内の機関紙にミステリを書くこともある「

          後期クイーン問題×青春ミステリー『文学少女対数学少女』

          マニアにもマニアでない方にも。ー『大唐懸疑録 蘭亭序コード』

           唐代といえば中国文学好きでなくても、耳にしたことがあるだろう。  世界的な年の中心として日本からも遣唐使が派遣され、インドやペルシアなど各国から文物も人も集まった素晴らしき時。まさに文化の成熟期、いわゆる「唐詩」が栄え、伝奇小説が生まれ、絵画が、書が、あらゆる芸術が花開いた時期でもある。  この時代を舞台にした作品も少なからず生まれているものの、本シリーズのすごいところは「真正面から」正史に取り組み、現実と虚構を色鮮やかに織りなしている点にある。  それもそのはず、作

          マニアにもマニアでない方にも。ー『大唐懸疑録 蘭亭序コード』

          三蔵法師を探偵役に、殺意と陰謀の大パノラマを描く―『西遊八十一案 大唐泥犂獄』

           唐王朝建国から間もない武徳四年、益州(四川)の空慧寺で、一人の老僧が僧衣をまとった何者かに斬り殺される。次いで武徳六年、長安と山西の太原を結ぶ要衝の街・河東道霍邑県で、県令の崔珏(さいかく)が、ある僧との面会後、首を吊って謎の死を遂げる。  二代目皇帝の太宗が即位し、年号も改まった貞観三年、この霍邑県に胡人のお供を連れた一人の僧がやってくる。天竺へと旅立つ前の若き玄奘三蔵である。しかし、県令夫人は玄奘を一目見るや、理由も告げず、すぐこの街から立ち去るよう忠告する。実は、玄奘

          三蔵法師を探偵役に、殺意と陰謀の大パノラマを描く―『西遊八十一案 大唐泥犂獄』