倉庫運輸業、(9366)サンリツの株価の見通しは? 割安株の探し方 vol.30
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初回の記事で僕独自のスクリーニング基準で抽出した銘柄のうち、『9業種の割安銘柄を一挙分析! 割安株の探し方 vol.25』の記事で9セクター(業種)を一挙に見ました。
スクリーニングの結果、9業種9銘柄が抽出されましたが、買いを検討できそうな企業が6社ありましたね。
今回の記事では、6社のうち倉庫運輸業である(9366)サンリツについて、今の株価で買うべきか否か、詳細を見ていきたいと思います。
① 『倉庫運輸業』 セクターの概要
(9366)サンリツが属する『倉庫運輸業』は、物流における倉庫や運輸、梱包機能を備えた企業が名を連ねます。
倉庫業を営むためには国の登録が必要となっており、倉庫業法が規定する基準をクリアしなければなりません。
それだけ、日本にとっても重要な役割を果たしている企業たちというわけですね(ただし、年々規制緩和されて競争が激しくなっています)。
倉庫運輸業セクターの時価総額上位3社は、以下のようになっています。
※2019年12月4日終値
【1】上組(3,270億円):PER 15.5倍、PBR 0.85倍
【2】三菱倉庫(2,438億円):PER 19倍、PBR 0.82倍
【3】近鉄エクスプレス(1,363億円):PER 27.2倍、PBR 1.18倍 ※近鉄グループHDが44%保有
※東証一部 倉庫運輸業の平均PER 13.6倍、平均PBR 0.9倍(2019年11月末)
時価総額1位の上組でも3,500億円程度と非常に規模の小さいセクターです。
上位3社はいずれも業種平均に比べてPERが高めですね。
ちなみに、若干わかりにくいですが、JRなどの鉄道会社やヤマト・佐川急便と言った運送会社は、『陸運業』というセクターに属しています。
それでは次にサンリツがどんな企業なのかを見ていきましょう。
②(9366)サンリツってどんな会社なの?
サンリツは、港区が本社の物流企業で、梱包事業をはじめ、運輸事業、倉庫事業、保税・通関事業など、幅広い総合物流サービスを提供しています。
1948年設立と歴史があり、独立系となっています。
サンリツの収益事業は、以下の4つのセグメントに分かれています。
(1)梱包事業 72.8% ※電子・通信機器、硝子製品、工作機械、医療機器等の梱包及び木箱製造等
(2)運輸事業 14.6% ※電子・通信機器、硝子製品、工作機械及び医療機器等のトラック輸送
(3)倉庫事業 10.9% ※保管、入出庫及び賃貸。主要倉庫は国内に4か所
(4)賃貸ビル事業 1.7% ※事務所及び共同住宅の賃貸
収益の7割以上が梱包事業となっています。
倉庫運輸業セクターではありますが、サンリツの主力事業は運輸(輸送)や倉庫ではなく、梱包事業であることは注意が必要ですね。
③(9366)サンリツの規模ってどのくらい?
それでは次に、サンリツの定量情報を見ていきましょう。
●時価総額:41億円 ※2019年12月4日終値
●売上:176億円 ※2019年3月期
●営業利益:9.8億円(営業利益率 5.5%) ※同上
●当期純利益:5.8億円(最終利益率 3.3%) ※同上
●連結従業員数:全社合計 447人 ※2019年3月末
時価総額及び各利益がかなり低いですね。
以前見たスーツ小売りの(3376)オンリーもかなり規模の小さい企業でしたが、取り扱ってきた中ではオンリーに次ぐ小規模な銘柄と言えます。
※過去記事『スーツ小売業、(3376)オンリーの株価の見通しは? 割安株の探し方 vol.27』
④(9366)サンリツの業績と配当金の推移は?
直近3年の実績及び今後の見込みは以下のようになっております。
2019年3月期だけやや頭1つ抜けておりますが、それを除くと一株利益・配当金ともに右肩上がりと言えますね。
以下は月足チャートになります。
長らく500~600円のレンジが続きましたが、2018年頭に900円の高値を付けて、今は700円近辺に落ち着いています。
ちなみに、2019年12月4日終値ベースで、サンリツの各種指標は以下のようになっています。
⚫︎PER:7.4倍 ※東証一部 同セクター平均 13.6倍(2019年11月末)
⚫︎PBR:0.48倍 ※東証一部 同セクター平均 0.9倍(同上)
⚫︎配当利回り:4.03%
PER、PBRともにかなり低いですね。
ただ、倉庫運輸セクターの平均と比べても、割安水準になっていると言えます。
では、なぜサンリツの株価は割安のまま放置されているのでしょうか?
次は、リスクについて見ていきます。
⑤(9366)サンリツのリスクは?
サンリツのリスクについて見ていきましょう。
以下の理由が挙げられます。
⚫︎独立系の中小企業であるリスク
サンリツは倉庫運輸業セクターにおいて、時価総額が下から2番目となっており、上場している倉庫会社としては非常に小さい会社です。
独立系なので、価格競争に巻き込まれやすく、営業利益率5.5%という低い数値にも現れています。
ただ、価格競争は大手も例外ではなく、倉庫に限らず物流機能を一括で請け負う3PL(サードパーティ・ロジスティクス)の市場が注目されており、大手を中心に事業領域を拡大するためにM&Aを積極的に行っております。
※M&Aキャピタルパートナーズ『倉庫・運輸関連業業界のM&A動向』
※日本通運『3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは?』
しかし、サンリツくらいの規模では、なかなか収益モデルの抜本的改革は難しいでしょう。
以上の理由から、サンリツのPBR、PERは割安な水準で放置されていると言えます。
⑥(9366)サンリツは今買うべきか否か?
以上、サンリツについて見てきました。
個人的には、価格競争リスクはあるものの、各種指標が割安であり、ネット通販の拡大などで市場自体は悪くないので、買い検討は可能だと考えます。
ただし、時価総額が下から2位という規模の小ささを考え、保有株数は抑えたほうがいいと思います。
⑦まとめ
今回の記事では私独自の基準でスクリーニングをかけた銘柄のうち、倉庫運輸業の(9366)サンリツについて見てきました。
結論としては、規模小さいのでリスクはあるものの買い検討は可能と判断します。より詳細分析し、タイミングを見計らって買うのが良いでしょう。
今回を持って、vol.1の記事で抽出した割安銘柄はほぼ全て検討完了しましたので、次回の記事ではここまでの株価分析のまとめを行いたいと思います。
※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)
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