伊藤忠系化学、(4215)タキロンシーアイの株価分析!今後の見通しは? 割安株の探し方 vol.46
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これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。
vol.32(2019年12月6日)の記事で、僕独自の基準で銘柄スクリーニングを行い、13業種35社を割安銘柄として抽出しました。
そして、vol.45の記事では、13業種のうち化学業(化学株)に絞って分析を行いました。
今回の記事では、化学株のうち(4215)タキロンシーアイについて、今の株価で買うべきか否か、詳細を見ていきたいと思います。
①タキロンシーアイってどんな会社なの?
タキロンシーアイは、プラスチック(合成樹脂)の製造・加工・販売の大手で、IT向けの樹脂板で国内トップの企業です。
また、2019年10月10日に創立100周年を迎えており、長い歴史もあります。
資本関係では、タキロンシーアイの株の51%を伊藤忠商事が保有しており、伊藤忠商事の連結子会社となっています。
以前、商社の業界分析記事でも述べたように、総合商社は兆単位の額で多様な投資を行っており、グループ会社を数多く抱えていましたが、そのような戦略の具体例と言えます。
タキロンシーアイの収益事業は、以下の4つのセグメントに分かれています。
上から重要度が高い順に並べています。
※各%は、全社合計に占める割合
(1)建築資材事業
売上比率:32.2% 利益比率:38.1%
※ ポリカーボネート製品、採光ユニット製品、雨どい、住宅建材製品、管工機材製品、雨水貯留浸 透槽製品、プラスチック看板及び屋外広告物、LEDサイン、LED表示器、FRP製品、合成 木材製品、防滑性ビニル長尺床材、遮音・防滑性階段用床材、内外装用化粧シート、表面材及び 木口材、住設機器用化粧板、防災製品(高輝度蓄光製品、軽量パネル止水板) 他
(2)環境資材事業
売上比率:41.4% 利益比率:20.7%
※農業用ビニルフィルム、農業用POフィルム、農業用 関連資材、梱包用紐・ロープ、灌水チューブ、樹脂被 覆カラー鉄線、樹脂被覆カラー鋼管、土木シート、水 膨張性止水材、止水板、硬質樹脂板製品、大型PEタ ンク、プラスチック網状製品、防草シート、高耐圧ポ リエチレン管、高耐圧面状排水材、上・下水道施設用 覆蓋、下水道管渠リニューアル工法 他
(3)機能フィルム事業
売上比率:13.8% 利益比率:21.7%
※包装用熱収縮フィルム、チャック付ポリ袋、チャック テープ 他
(4)高機能材事業
売上比率:12.6% 利益比率:19.5%
※塩ビプレート、ポリカーボネートプレート、PETプ レート、その他機能樹脂プレート、複合プレート、プ レート加工補助材料、各種機能樹脂切削用材料、フィ ルタープレス用PP製ろ過板、アセテートシート、フ レキシブルマグネット、磁性材関連製品、マイクロモ ータ 他
4つのセグメントがありますが、(1)建築資材と(2)環境資材で売上・利益ともに60〜70%を占めています。
ただ一方で、(3)機能フィルムと(4)高機能材の2セグメントの利益率は上の2つよりも高くなっております。
前回の記事でも触れていますが、タキロンシーアイに限らず化学業界にとって、『機能性化学品』というのは重要なキーワードとなっています。
②タキロンシーアイの規模ってどのくらい?
それでは次に、タキロンシーアイの定量情報を見ていきましょう。
●時価総額:721億円 ※2019年12月26日終値
●売上:1,506億円 ※2019年3月期
●営業利益:90億円(営業利益率 6.0%) ※同上
●当期純利益:63億円(最終利益率 4.2%) ※同上
●連結従業員数:全社合計 3,412人 ※2019年3月末
営業利益率が若干低めですが、売上・利益ともにある程度の規模はありますね。
一人当たり利益は若干物足りないかもしれません。
③タキロンシーアイの業績と配当金の推移は?
直近の実績及び今後の見込みは以下のようになっております。
一株利益・配当金共に概ね右肩上がりとなっています。
一株利益の2020.3期は特別利益によってイレギュラー的に上がってますね。
以下は月足チャートになります。
月足では上昇トレンドと言えます。
まずは800円台に回復したいと言ったところでしょうか。
ちなみに、2019年12月26日終値ベースで、タキロンシーアイの各種指標は以下のようになっています。
⚫︎PER:5.3倍 ※東証一部 同セクター平均 16.0倍(2019年11月末)
⚫︎PBR:0.98倍 ※東証一部 同セクター平均 1.2倍(同上)
⚫︎配当利回り:3.64%
PBRはともかく、PERはかなり低いですね。
化学業セクターの平均と比べてもかなり割安です。
では、なぜタキロンシーアイの株価は割安のまま放置されているのでしょうか?
次は、リスクについて見ていきます。
④タキロンシーアイのリスクは?
タキロンシーアイのリスクについて見ていきましょう。
まず、vol.45の記事において、化学株が割安になっている理由について、以下のように理由を挙げました。
(割安な理由1)アジア経済の減退リスク
(割安な理由2)価格競争リスク
これらのリスクはタキロンシーアイも同様でありますが、タキロンシーアイの固有のリスクもあります。
(割安な理由3)公共事業の動向リスク
(2)環境資材事業セグメントのエンジニアリング部門は、官公庁向けがほとんどであり、今後公共投資 が削減される場合、業績に影響を与える可能性があります。
(割安な理由4)実質PERは11倍程度である
これが最も大きいポイントですが、タキロンシーアイの2020.3月期の業績予想は、固定資産売却益などの特別利益が計上されているため、営業活動外の収益が乗っています。
そのため、2021.3月期の利益はちょうど半減しており、仮に2021.3月期の利益で計算すると、PERは11倍を超えます。
このPERが、タキロンシーアイの実態を示していると考えた方がいいでしょう。
⑤タキロンシーアイは今買うべきか否か?
以上、タキロンシーアイについて見てきました。
伊藤忠グループという安定感は魅力ですが、配当利回りが4%を割ってしまっていることと、実質のPERが10倍を超えているため、個人的には投資対象はなり得ない銘柄だと考えます。
それでも業種平均の指標よりは割安なので、人によっては買ってもいいと判断できるかもしれません。
僕としては、せめて配当利回りが4%を上回るまで待った方がいいかと考えます。
⑥まとめ
今回の記事では私独自の基準でスクリーニングをかけた銘柄のうち、化学株のタキロンシーアイについて見てきました。
結論としては、実質的な指標が割高なので投資対象とはなり得ない銘柄だと判断します。
他の銘柄分析に時間を使うのが良いでしょう。
次回は、vol.32(2019年12月6日)の記事で抽出した銘柄のうち、鉄鋼業の2社(合同製鐵、新家工業)について見ていきたいと思います。
次回もよろしくお願いします。
本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください。
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