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鉄鋼専門商社、(9810)日鉄物産の株価見通しは? 割安株の探し方 vol.37

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 株まとめ@元証券マンと言います。

 初めての方は、こちらの自己紹介記事をぜひご覧下さい。

 これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。


 vol.32(2019年12月6日)の記事で、僕独自の基準で銘柄スクリーニングを行い、13業種35社を割安銘柄として抽出しました。

 そして、vol.33の記事では、13業種のうち卸売業(商社株)に絞って分析を行いました。

 今回の記事では、商社株のうち(9810)日鉄物産について、今の株価で買うべきか否か、詳細を見ていきたいと思います。


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 興味がありましたらハッシュタグより他の方の記事もご覧ください。




①日鉄物産ってどんな会社なの?

 日鉄物産は、鉄鋼主力の専門商社になります。

 住金物産(株)と日鉄商事(株)が2013年に経営統合して現在の日鉄物産となりました。

 日本製鉄が日鉄物産の株式を34%保有しているため、日本製鉄グループの中核商社となっておりますが、三井物産も19.9%の株式を保有しています。

 日鉄物産の収益事業は、以下の4つのセグメントに分かれています。上から重要度が高い順に並べています。

※各%は、全社合計に占める割合

(1)鉄鋼事業 
売上比率:84.9% 利益比率:72.5%  
 ※日本製鉄グループの中核商社として、鉄鋼原料の調達からお客様への製品納入まで、総合的なサービスを提供しています。

(2)繊維事業 
売上比率:5.9% 利益比率:12.2% 
 
 ※アパレルメーカー向けOEM生産を主軸に、素材の開発から製品の企画・生産・物流までを一貫して手掛けるメーカー型商社の機能を強化

(3)食糧事業 
売上比率:5.6% 利益比率:7.7% 
 
 ※他社に先駆けて手掛けたビーフ、ポーク、チキン等の輸入食肉の分野では、海外の有力パッカー、飼育から加工まで一貫して手掛ける生産工場と連携し安定した輸入を行う

(4)産機・インフラ事業 
売上比率:3.6% 利益比率:7.6%  
 ※様々な素材から機械加工、ユニット部品、それらに関わる工作機械などの設備販売、さらにインフラとしての電力供給を含む工業団地まで、一貫したトータルサービスを提供


 セグメント別に見て頂けると非常にわかりやすいですが、(1)鉄鋼事業の1セグメントで全社売上・全社利益の70〜80%ほどを占めています。

 vol.33の記事でも触れたように、売上の50%以上が特定の商品である場合に、その商社は専門商社と呼ばれます。

 日鉄物産は紛れもなく鉄鋼の専門商社と言えますね。




②日鉄物産の規模ってどのくらい?

 それでは次に、日鉄物産の定量情報を見ていきましょう。

●時価総額:1,689億円 ※2019年12月13日終値
●売上:2兆5,506億円 ※2019年3月期
●営業利益:361億円(営業利益率 1.4) ※同上
●当期純利益:232億円(最終利益率 0.9) ※同上
●連結従業員数:全社合計 7,959人 ※2019年3月末


 営業利益率がかなり低いですが、経済産業省が報告している卸売企業の営業利益率の平均は1.1%程度なので、ほぼ平均通りです。

 総合商社とは大きく異なり、投資先の利益取り込みによる特別利益などは大きくなさそうですね。

 




③日鉄物産の業績と配当金の推移は?

 直近3年の実績及び今後の見込みは以下のようになっております。

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 一株利益・配当金ともに比較的綺麗な右肩上がりと言えますね。

 以下は月足チャートになります。

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 値動きは激しいですが、現状の株価は横ばいからやや上昇トレンドと言えるかもしれません。
 直近高値の7,000円台まではまだ遠いですね。

 

 ちなみに、2019年12月13日終値ベースで、日鉄物産の各種指標は以下のようになっています。

⚫︎PER:7.0倍 ※東証一部 同セクター平均   13.2倍(2019年11月末)
⚫︎PBR:0.71倍 ※東証一部 同セクター平均   0.9倍(同上)
⚫︎配当利回り:4.39%

 PER、PBRともにかなり低いですね。

 卸売業セクターの平均と比べても、非常に割安な水準になっていると言えます。


 では、なぜ日鉄物産の株価は割安のまま放置されているのでしょうか?

 次は、リスクについて見ていきます。




④日鉄物産のリスクは?

 日鉄物産のリスクについて見ていきましょう。

 まず、vol.33の記事において、専門商社が割安になっている理由について以下のように挙げました。

(理由1)専門商社不要論が現実化するリスクがあるため
(理由2)海外進出がうまくいくのか懐疑的であるため


 日鉄物産において、これらの理由がどのように当てはまるのか見ていきたいと思います。

(理由1)専門商社不要論が現実化するリスクがあるため

 このリスクは、「メーカーと小売店の間に入って、中抜きをしてるだけの代理店的な卸売会社はこの先無くなっていくよ」という内容になります。

 ただし、日鉄物産は日本製鉄グループの中核商社であり、商社不要論で槍玉に上がるようなノウハウのない商社とはあまり考えにくいです。

 仮にそうであっても、日本製鉄事業が順調に回ってる限りは業績が大幅に悪化するようなリスクは低いと考えられます。



(理由2)海外進出がうまくいくのか懐疑的であるため

 日本国内の卸売り市場は頭打ちのため、商社は海外進出できなければ衰退していくと考えられています。

 日鉄物産の海外売上比率は26%ほどですが、親会社の日本製鉄は34%と1/3は海外売上となっています。

 日鉄物産の海外売上を伸ばすには日本製鉄の動きも重要になってきますが、それほど過度な不安はないように思います。



 以上、専門商社が割安な2つの理由に合わせて、日鉄物産を見てきました。

 ただ、注意が必要なのは、専門商社は主力商材が限定されているが故に、特定の業界の動向に非常に影響を受けるということです。

 日鉄物産で言えばもちろん鉄鋼業界ですね。
 鉄鋼業界については以前記事を書いていますので、よろしければこちらもお読みください。





⑤日鉄物産は今買うべきか否か?

 以上、日鉄物産について見てきました。

 専門商社特有のリスクはあれど、業績や配当の推移が堅調なので、個人的には投資対象となりうる銘柄だと考えます。

 日本製鉄グループというのも安定感があって良いですね。

 ただ逆にいうと、日本製鉄の業績や戦略に影響を非常に受けますので、より詳細の分析を行うためには、日本製鉄の理解も深める必要があるでしょう。




まとめ

 今回の記事では私独自の基準でスクリーニングをかけた銘柄のうち、専門商社の日鉄物産について見てきました。

 結論としては、十分投資対象となりうる銘柄だと判断します。
 より詳細分析し、タイミングを見計らって買うのが良いでしょう。


 次回の記事では、日鉄物産のさらなる分析のために、34%株主である(5401)日本製鉄について見ていきたいと思います。



 本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください。

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