(4004)昭和電工の株価の鍵を握る 『黒鉛電極バブル』 の未来を読む! 割安株の探し方 vol.13
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前回の記事で、私独自のスクリーニング基準で抽出した銘柄のうち、化学メーカーの(4004)昭和電工について見ていきました。
記事において、まずは100株など少量であれば今のタイミングで買うのもアリだと結論づけました。
ただ、昭和電工の今後の業績の鍵を握る黒鉛電極ブームの未来についてはまだ曖昧な箇所もありましたので、今回の記事では、黒鉛電極バブルについて、詳細を見ていきたいと思います。
①昭和電工にとってなぜ黒鉛電極が重要か?
昭和電工の企業概要は前回の記事を御覧ください。
以下、簡単な財務数値になります。
●時価総額:4,536億円 ※2019年11月1日時点
●年商:9,921億円 ※2018年12月期
●営業利益:1,800億円(営業利益率 18%) ※同上
●当期純利益:1,115億円(最終利益率 11%) ※同上
●連結従業員数:全社合計10,603人 ※2018年12月末
PER:4.91倍 ※東証一部平均16倍
PBR:0.90倍 ※東証一部平均1.2倍
配当利回り:4.29%
※すべて2019年11月1日時点
〈セグメント別業績〉
(1)石油化学 売上:2,689億、営業利益:203億
(2)無機(黒鉛電極) 売上:2,661億、営業利益:1,324億
(3)化学品 売上:1,565億、営業利益:174億
(4)エレクトロニクス 売上:1,058億、営業利益:124億
(5)アルミニウム 売上:1,083億、営業利益:49億
(6)その他 売上:1,434億、営業利益:29億
※すべて2018年12月期
数値を見て頂けると明らかですが、昭和電工の利益の約7割を無機(黒鉛電極)セグメントが生み出しています。
そのため、昭和電工の株価は黒鉛電極の需給に左右されるわけです。
②黒鉛電極とはなにか?
では、そもそもの疑問ではありますが、それほど重要な黒鉛電極とは一体何なのでしょうか?
黒鉛電極とは、一言でいうと電気炉による製鋼で、スクラップ(鉄くず)を溶かして鉄へリサイクルするときに、導電体としてなくてはならない中心的素材のことです。
鉄を作る方法には「高炉方式」と「電炉方式」があるのですが、電炉方式は、一度利用した鉄スクラップを電気炉で溶かしてリサイクルする方法で、この炉の内部で鉄を溶かしているのが「黒鉛電極」です。
黒鉛は熱伝導率が高く、耐熱性に優れ、衝撃にも強く、電気抵抗が低いので大きな電流を流して鉄を溶かすことができます。
③黒鉛電極の何がすごいのか?
「高炉方式」という製鉄方法はコークスを利用した還元法による製鉄のため、大量の二酸化炭素が発生するなど大気汚染を起こしやすいというデメリットがありました。
その点、(黒鉛電極が使われる)電路方式であれば、二酸化炭素の発生が少ないという特徴があります。
中国では、元々は高炉方式による製鉄が主流でしたが、2016年頃から環境規制強化が進み、既存の電気炉の稼働率が上昇し、黒鉛電極の需要が増加したのです。
今や世界全体の鉄鋼需要・供給の約半分を中国が占めるとまで言われており、中国において環境に配慮した電炉方式が推進されることは、黒鉛電極の需給に大きなインパクトを与えることになるのです。
④黒鉛電極ブームのこれまで!
2016年後半まではまだ黒鉛電極の需要はそれほど旺盛ではありませんでした。
※参考 日経新聞『昭和電工、独社の事業買収 電炉部材の黒鉛電極』
それが、2017年の初めから同年7月頃にかけて、中国内の環境規制強化により、黒鉛電極の市場価格が10倍ほどの大幅な値上がりを見せました。
※参考『市場は突然動き出す。地条鋼の取り締まりで黒鉛電極の価格が高騰』
2017年に巻き起こった黒鉛電極バブルは2018年に入っても続きました。
2018年9月頃に昭和電工の株価も6,000円台と現在の倍以上の価格を叩き出します。
※参考『昭和電工が大幅高、黒鉛電極好調で投資資金流入が顕著に』(2018年9月26日)
しかし、2018年末頃から2019年の4月頃にかけて、中国国内の生産力強化に伴い需給が悪化すると見られ、昭和電工の株価も3,000円台まで下がりました。
※参考『昭和電工が急落、黒鉛電極の需給悪化に懸念』(2019年4月4日)
そして今も需給悪化が懸念され、3000円近辺で推移しているわけです。
今のところ、明るい兆しは見えていないというのが正直なところかと思います。
※参考『東海カーボ---続落、黒鉛電極の需要回復遅れを想定で米系証券が格下げ』
⑤昭和電工の株価の見通しは?
さて、ここまで昭和電工の今後の鍵を握る黒鉛電極市場について見てきました。
基本的には中国の動向に左右されるため、未来を予想するのは難しいと言えます。
十分買いを検討できるという判断は変わりませんが、若干ソシャゲ会社のような当たるか否かの要素もあるので、ポートフォリオにおける比率は低い方がいいでしょう。
では、次回の記事では、最初の記事でスクリーニングをかけて抽出された銘柄のうち、輸送用機器セクターの銘柄たちについて見ていきます。
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