住宅系不動産3社を一挙分析!(FJネクスト、グランディハウス、イーグラント) 割安株の探し方 vol.42
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これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。
vol.32の記事で、2019年12月6日の株価により、以下の基準で銘柄スクリーニングを行いました。
(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下
※8倍以下の理由はこちら
(3)実績PBRが1倍以下
※1倍以下の理由はこちら
(4)配当利回りが4%以上
※配当利回りの注意点はこちら
(5)1単元が100万円以内
その結果、13業種35社が抽出されました。
今回の記事では、その中で3番目に抽出数が多かった、不動産業の銘柄について見ていきたいと思います。
①不動産業の概要
不動産業の企業は大きく3つに分類することができます。
内閣府は不動産業を以下の3つに分類しています。
①不動産仲介(ディペロッパー業及び管理業を含む)
②住宅賃貸
③不動産賃貸(住宅賃貸以外)
これらの①から③のうち特定の業務を専門的に行う不動産がある一方で、すべてをこなす総合不動産も数多く存在します。
【ディベロッパー業】
不動産の販売や仲介、管理と言った役割ではなく、売主や事業主の立場にある者のことを意味します。
【ディベロッパーの商流上の立ち位置】
顧客 ⇄ 不動産販売会社 → ディベロッパー(不動産業)→ ゼネコン(建設業) → 下請け(工務店等)
最大手ですと、三菱地所、三井不動産、住友不動産などが有名ですね。
ちなみに、不動産業の時価総額上位3社は以下のようになっています。
(2019年12月20日終値時点)
(1)三菱地所:2兆9,590億円 PER 21.0倍、PBR 1.66倍
(2)三井不動産:2兆6,890億円 PER 15.3倍、PBR 1.1倍
(3)住友不動産:1兆8,462億円 PER 13.1倍、PBR 1.4倍
※2019年11月末、不動産業平均:PER 12.0倍、PBR 1.3倍
※2019年11月末、東証一部平均:PER 17.4倍、PBR 1.2倍
時価総額上位3社の不動産会社は、いずれも同セクター平均よりはやや割高でしょうか。
首位の三菱地所は特に株価が上がっており、割高な数値になってますね。
では次に、具体的な割安銘柄について見ていきましょう。
②スクリーニングにより抽出された不動産業の割安銘柄は?
vol.32の記事(2019年12月6日付)でスクリーニングを行った結果、以下の銘柄が抽出されました。
※時価総額は2019年12月20日時点の終値です。
(8935)FJネクスト 398億円 ※首都圏の投資用ワンルームマンション(『ガーラ』)
(8999)グランディハウス 149億円 ※北関東の戸建て住宅販売
―――――――――――時価総額100億円の壁
(3294)イーグランド 55億円 ※首都圏地盤のマンション・戸建て中古再生
いずれも時価総額の小さい中小不動産で、住宅系を扱っていますね。
規模でいうと、(3294)イーグランドは東証一部の中でもかなり時価総額が低い方かと思います。
55億円ともなると、規模的には若干リスクが高そうですね。
③各銘柄の業績及び配当推移は?
それでは、各銘柄の一株あたり利益及び配当金の推移を見ていきましょう。
(8935)FJネクスト:一株利益、配当ともに右肩上がり
(8999)グランディハウス:一株利益、配当ともに右肩上がり
(3294)イーグランド:一株利益は19.3期で大きく落ち込み。増配傾向
意外にも、配当はいずれも増配継続、一株利益は(3294)イーグランド以外はかなり好調です。
それではなぜ、業績が好調な不動産株までもが、割安のまま放置されているのでしょうか。
④なぜ不動産株は割安なのか?
それでは次に不動産株が割安な理由を見ていきましょう。
大きく以下の2点になります。
(割安な理由1)人口減による需要低下リスク
今更言うまでもないことではありますが、現在の日本は人口の減少が続いております。
※参考『人口 10年連続減少 外国人は増え総人口の2%超』
人口が減少すると住宅が売れにくくなるのは誰でも分かりますよね。
ちなみに、首都圏であっても駅から5〜7分ほど離れると販売に苦戦しており、首都圏の初月契約率は現在27年ぶりの低水準となっております。
また、特に中小不動産の場合は海外展開をしていないので、収益の軸を海外に移すことも容易ではありません。
これは海外展開しやすい食料品メーカーなどとは大きな違いですね。
(割安な理由2)金融政策変更による住宅ローン金利の上昇リスク
銀行株が割安な理由の1つとして過去記事でも触れましたが、今の日本は低金利政策を取っており、長らく低金利の時代が続いております。
低金利政策の場合は住宅ローン金利が下がるので、銀行にとっては利ざやが取りにくくなるので逆風ですが、不動産会社にとっては売りやすくなるので追い風です。
ただし、いつまでこの低金利が続くかはわかりませんし、国が金融政策の方針を変えるなどで景気回復より先んじて金利が上昇するなんてことがあれば、個人の住宅購入も減少するかもしれません。
可能性がどれだけあるかはともかく、大きなリスクと言えそうです。
以上、2点を見てきました。
特に(1)の人口減が強烈ですね。
実際に空室数も年々増加していますし、構造的な問題なので改善はすぐには難しいと思われます。
オリンピック後2年経過した2022年以降、不動産価格の下落が始まるという予想も出ているくらいです。
※money voice『不動産は株価から2年遅れて下落する…日本の土地がピークアウトするのは2022年頃』
特に中小不動産への投資を検討するのであれば、この点はよく理解しておいたほうが良いでしょう。
⑤投資対象となり得る不動産株はあるか?
ここまで、不動産株が割安になっている理由について見てきました。
住宅系不動産全体としては構造上の問題で今後も苦戦が続きそうです。
ただ一方で、各社同様に業績見込みが悪化して株価が下落トレンドなのかと言うと、そういうわけでもありません。
一口に住宅系不動産と言っても地盤となっている地域次第では、人口増加しているエリア(東京都、沖縄県、埼玉県、神奈川県、愛知県、千葉県、福岡県の7都県)もありますので、軒並み先行きが不安というわけではありません。
つまり、同じ業界において明暗が分かれていると考えられます。
これらの前提を踏まえ、投資対象となり得る銘柄は、(8935)FJネクストと(8999)グランディハウスの2社と考えます。
理由としては、この2社は業績及び配当の推移が堅調で、かつ人口が増加している首都圏を営業エリアとしているからです。
(8999)グランディハウスについては、以前個別で分析記事を書いておりますので、合わせてお読み頂けると嬉しいです。
⑥まとめ
今回は、不動産株について見てきました。
不動産株特有の割安の理由がありましたね。その上で、(8935)FJネクストと(8999)グランディハウスの2社は投資対象となり得る銘柄だと考えます。
次回の記事では、投資用ワンルームマンション(『ガーラ』)の(8935)FJネクストについて、詳細を見ていきたいと思います。
次回もよろしくお願いします。
本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください。
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