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【2019年12月】鉄鋼業の2社(合同製鐵、新家工業)を分析! 株価の見通しは? 割安株の探し方 vol.47

 閲覧ありがとうございます。
 株まとめ@元証券マンと言います。

 初めての方は、こちらの自己紹介記事をぜひご覧下さい。


 これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。



 vol.32の記事で、2019年12月6日の株価により、以下の基準で銘柄スクリーニングを行いました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下 
   ※8倍以下の理由はこちら
(3)実績PBRが1倍以下 
   
※1倍以下の理由はこちら
(4)配当利回りが4%以上 
   ※配当利回りの注意点はこちら
(5)1単元が100万円以内


 その結果、13業種35社が抽出されました。

 今回の記事では、その中で4番目に抽出数が多かった、鉄鋼業の銘柄について見ていきたいと思います。


 本記事で取り上げる2社については、以前も一度分析を行っておりますので、本記事は前記事に加筆修正を加えた内容となっています。



①鉄鋼業の概要

 鉄鋼業セクターの銘柄は、言葉通り鉄鋼メーカー(製鉄会社)がその名を連ねます。

 商流としては、以下の流れが一般的です。

 「鉄鋼メーカー ⇒ 商社 ⇒ 建設会社や自動車メーカーなど」


 鉄鋼メーカーが行う製鉄は高炉と電炉の2種類の方法があります。

■高炉方式:鉄鉱石を溶かして石炭で還元して鉄鋼を取り出す方法

■電炉方式:鉄スクラップを原料に製造する方法。導電体として黒鉛電極を使用する。

 電炉方式の黒鉛電極については、化学メーカーである昭和電工の記事でも取り上げましたね。


 また、ニッケルなどを添加して強度を増すなどの特徴のある「特殊鋼」というものも存在します。

 一口に製鉄メーカーと言っても、高炉メーカー電炉メーカー特殊鋼メーカーに分かれているわけです。


 ちなみに、参考までに鉄鋼業セクターの時価総額上位3社の指標は以下のようになっています。
 ※2019年12月27日終値

(1)日本製鉄:1兆5,761億円 PER 38.1倍、PBR 0.47倍 
 ※粗鋼生産量で国内トップ
(2)JFE:8,688億円 PER 24.6倍、PBR 0.42倍 
※粗鋼生産世界10位圏内
(3)日立金属:6,905億円 PER -倍、PBR 1.30倍 
※高級特殊鋼、ネオジム磁石

 ※2019年11月末、鉄鋼業平均:PER  12.4倍、PBR 0.5倍
 ※2019年11月末、東証一部平均:PER 17.4倍、PBR 1.2倍

 

 業界平均は東証一部平均に比べるといずれもかなり割安ですね。

 その中では、時価総額上位2社は、業界内で高いシェアを誇るだけあって、PERは非常に割高ですね。一方で、PBRは業界平均と比べてもやや低くなっています。

 

 では次に、スクリーニングで抽出された具体的な割安銘柄について見ていきましょう。





②スクリーニングにより抽出された鉄鋼業の割安銘柄は?

 vol.32の記事(2019年12月6日付)でスクリーニングを行った結果、以下の鉄鋼株が抽出されました。

※時価総額は2019年12月27日時点の終値です。


(5410)合同製鐵 484億円 ※大手電炉メーカーで日本製鉄系(9/30現在17.5%株主)。棒鋼、線材など建設用鋼材に強み。共英製鋼と株式持ち合い

(7305)新家工業 88億円 ※普通鋼の溶接鋼管および各種加工品の製造販売。建材・スチール家具用小径パイプが主力


 時価総額でみると、いずれも500億円以下の中小製鉄会社ですね。

 合同製鉄は日本製鉄グループの企業となっております。
 日本製鉄については以前個別で株価分析記事を書いておりますので、興味がありましたらこちらも合わせてご覧ください。




③各銘柄の業績及び配当推移は?

 それでは、各銘柄の一株あたり利益及び配当金の推移を見ていきましょう。


(5410)合同製鐵一株利益及び配当ともに、波がありながらも今後は好調見込み

(7305)新家工業一株利益は19.3月期ピークで苦戦見込み、配当維持


 2社とも、今後の見通しがやや微妙ですね。

 ただ、この2社に限らず鉄鋼業はセクター全体が東証一部平均よりも割安になっているので、何かしらリスクがあると考えられます。

 次に鉄鋼業のリスクを見ていきます。




④なぜ鉄鋼株2社は割安なのか?

 それでは次に鉄鋼株が割安な理由を見ていきましょう。

 過去記事でも触れていますが、大きく以下の2つのリスクが要因となっています。


 割安な理由(1)中国の生産力の向上

 世界の鉄鋼生産における中国のシェアは、2008年(38%)→ 2018年(51%)とここ10年あまりで5割超のシェアを取るまでに成長しました。

 商売敵である中国の鉄鋼メーカーの生産力が高まれば、当然日本の鉄鋼はその分売れなくなります。

 蛇足になりますが、中国の電炉メーカーの生産が拡大したため黒鉛電極バブルが起きて、株価が急上昇したのが(4004)昭和電工でしたね。


割安な理由(2)事業の伸び代が薄い

 鉄鋼業はビジネスモデルをアップデートする余地が少なく、中国のような外的要因がなかったとしても今後の業績の伸びが限定的という面があります。

 大手鉄鋼メーカーのPERがそれほど低くないということを踏まえると、生産力や効率性の面などで、規模の小さい企業ほど不利である業界と推測できます。



割安な理由(3)米国の輸入規制リスク

 長く続く米中貿易摩擦の煽りを受け、日本の鉄鋼の輸入に対して関税をかけるような処置をアメリカが行った場合、ただでさえ国内の需要が頭打ちの日本企業にとっては売上低下の要因になります。

 業界2位のJFEですら、このリスクが顕在化し始めています。


 合同製鉄については、以前個別で分析記事を書いておりますので、興味がございましたら合わせてお読みください。




⑤投資対象となりえる鉄鋼株はあるか?

 ここまで、鉄鋼株2社が割安になっている理由について見てきました。

 今回取り上げた(5410)合同製鐵・(7305)新家工業の2社については、業績及び配当見込みが若干不安であり、業界自体のリスクは低くはないため、いずれも投資対象とはなりえないと考えます。

 業界最大手クラスであってもPBRが非常に割安というのも不安ですね。




⑥まとめ

 今回は、化学株の2社について見てきました。

 結論としては、(5410)合同製鐵、(7305)新家工業の2社とも、投資対象となり得ない銘柄だと考えます。

 

 次回は、vol.32で抽出された割安株のうち、1業種1社しか抽出されなかった銘柄について一気に見ていきたいと思います。

 次回もよろしくお願いします。



 本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください。

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