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東海道四谷怪談③蛇山庵室&博多座25周年記念提灯招木かぶきDOUアフタートーク其の55

今回もコミてんラジオかぶきDOUをお聴きいただきありがとうございました!
スタジオには麻布十番 麻の葉さんの絵てぬぐい隈取五種(博多座限定販売)に加えまして博多座開業25周年記念の提灯招木(まねき)を飾らせていただきました✨

縦12.5cm横11.0cm
価格は1つ1500円(税込)です

実際に博多座で使用した舞台セットの廃材や、小道具等で使用される和紙を使って手作りされた数量限定の逸品です!
紐の色がオレンジ、水色、紫色、うぐいす色の4色あります。

推しの色に合わせて
お選びいただけます

立てた状態でも非常に安定感がありコレクションとしてご自宅で飾るのも素敵ですね♪
販売は劇場売店&博多座チケット売場(営業時間10:00~17:00)にてお支払いは現金のみです。

カラーペンも用意されています

チケット売り場の前には提灯招木の設置台が設けられています。皆様の熱い思いを提灯招木に託してみてはいかがでしょうか?


東海道四谷怪談あらすじ③


開場二十五周年記念6月博多座大歌舞伎夜の部は通し狂言「東海道四谷怪談」です。かぶきDOUではシリーズとして大まかなあらすじをお届けしております。
今回はPART3です。いよいよ大詰となります蛇山庵室(へびやまあんじつ)の場です。
伊右衛門そして民谷家に関わる人々がお岩の呪いに苦しめられていきます…


お岩の怨念が魅せる技


怨霊お岩の、観ていて肝を冷やすような見所が満載となっております。かぶきDOUで主な3つをピックアップしました。

①燃えさかる提灯から出てくる「提灯抜け」
②仏壇の中からお岩が現れ男を引きずり込む「仏壇返し」
③壁の中に消えていく様子「壁抜け」

 
大まかなあらすじを現在発表されております配役と絡めまして、かぶきDOU解説いたします。


炎上 片輪車(かたわぐるま)


七夕の夜に伊右衛門(尾上松也)浪人仲間長兵衛と出逢います。お岩そっくりな美しい女(尾上右近)も現れますがやがて怨霊お岩となります。
火の玉が飛んできて伊右衛門にまとわりつくので、刀で切り払うも近くにあった糸車に引火してぐるぐると回りだし片輪車(かたわぐるま)となります。片輪車は悪人が死んだ際に地獄へ運ばれる乗り物と信じられています。
逃げようとする伊右衛門お岩が霊力で引きもどす連理引き(れんりびき)です。

…しかしこれは熱にうなされた伊右衛門の夢でした。
お岩の怨念で伊右衛門母お熊は病に侵され庵室(あんじつ)で面倒を見てもらっています。
辺りは雪です。庵の主の僧や長屋の人達が集まり数珠を持ち、百万遍(ひゃくまんべん)という祈祷で伊右衛門たちを快復させようとしています。


様々な訪問者


そこに旅姿の男が現れます。かつて塩冶家に仕えていた伊右衛門の実の父 源四郎でした。
悪夢から覚めた伊右衛門は気が触れたように刀を振り回します。
そこに高師直の家来、小林平内(へいない)が訪ねてきました。お墨付きが確認できれば正式に士官になれるとのこと。いよいよ伊右衛門にもツキが回って来たわけですが、お墨付きが手元にありません💦
実は前回PART2でご紹介しました砂村の隠亡堀(おんぼうぼり)の場で、浪人仲間の秋山長兵衛伊右衛門を訪ねました。
長兵衛は伊右衛門の依頼で、お岩小平を縛り付けていた戸板を川に流す手伝いをしていました。
「金を用立ててくれないと事実を話す」と長兵衛に迫られ、金欠の伊右衛門高師直のお墨付きをまるで質種(しちぐさ)のように渡してしまっていたのです。

 伊右衛門はその場をなんとかとりなし、後ほど平内にお墨付きを手渡すことになりました。


提灯抜け


伊右衛門は世間体から、お岩赤子の供養に卒塔婆をたてました。庵の玄関先で迎え火をつけると火の玉が現れ、その炎が軒に吊るしていた提灯に燃え広がります。
燃える提灯から赤子を抱いたお岩現れます「提灯抜け」です。

※私は2010年8月の新橋演舞場で東海道四谷怪談を観劇しました。中村勘九郎(当時勘太郎)さんがお岩さんを勤められ、この提灯抜けが客席から悲鳴があがるほどに怖いシーンで強烈に目に焼き付いています…


壁抜け


驚いて庵に逃げ帰る伊右衛門お岩の怨霊もついてきます。
「早く成仏しろ」と詰め寄る伊右衛門お岩赤子を見せて抱かせます。無事と分かりほっとして赤子を胸に抱くと、お岩の化身のネズミたちが伊右衛門の裾に一気に群がって来ます。
 ちょうどそこに長兵衛がやってきてネズミに襲われ障子の奥に逃げ込みます。
伊右衛門は驚いた弾みに赤子を落としてしまいますが、それは石の地蔵に変わってしまいました…
お岩が笑いながら壁をすり抜けていく「壁抜け」です。 奥ではお熊の唸り声も聞こえてきます…


仏壇返し
 

長兵衛は、お墨付きを預かった夜から大きなネズミが現れ身体中を齧り回されていました。
気味が悪いとお墨付きを伊右衛門に返しにきた長兵衛でしたが、なぜか身体が仏壇の方へ引き寄せられます。
すると仏壇の障子が開き、掛け軸が上下に割れて腹這いのお岩が現れます長兵衛の襟をつかみお岩が静かに背面から引きずりこみます「仏壇返し」です。
長兵衛
が仏壇に吸い込まれると、何事もなかったかのようにセットが元通りになるのが驚きです!
天井からは長兵衛の血と、お墨付きが落ちて来ました。
ちょうどそこに高家の平内がやって来て喜兵衛お梅(中村莟玉)殺しの罪で伊右衛門の元同僚達を捕らえたと告げます。
平内からお墨付きを早く渡すよう促され伊右衛門が手渡します。
しかし肝心のお墨付きはお岩の化身のネズミに齧られてボロボロの状態でした。紙クズ同然のお墨付きを見て「無駄手間だった」と平内は呆れて引き上げてしまいました。
母お熊が取りなしてくれた士官の話が無くなってしまい伊右衛門は愕然とします。それもこれもお岩のせいだと卒塔婆を破壊しようとする伊右衛門父の源四郎が引き止めます。
「お岩の怨霊の復讐よりも酷いのはお前の塩冶家への不義理。民谷家の風上にも置けない」と息子に勘当を言い渡すのでした。
 
…PART3大まかなあらすじはここまでとなります。かなり凄惨な場面が多くありました💦
博多座6月大歌舞伎ではどのような演出となるのでしょうか?期待が高まります!


江戸時代からあった解説本

1859(安政6年)に東海道四谷怪談をはじめとする歌舞伎の巧妙なトリックの裏側を解説した 御狂言楽屋本説(おきょうげん がくやの ほんせつ)が出版されています。
お岩と小仏小平の戸板返しや提灯抜けなどのカラクリを挿絵付きで解説しています。
このような解説本が当時多く出版されていたそうです。江戸時代の方々がそういった楽しみ方をされていたというのも親しみが湧きますね!
 
実は東京 江戸東京博物館では蛇山庵室の場の仕掛けが「からくり人形」で表されています。
勤められる役者さんと裏方さんのイキが合わないと大事故につながりかねない大変な作業だと実感しました。
江戸東京博物館は2025年度まで大規模改修のため休館中ですが公式You Tube 江戸博チャンネルに動画がUPされています。イメージが湧きやすいのでオススメです↓

 
次回、PART4で通し狂言 東海道四谷怪談はかぶきDOUあらすじはようやく完結となります。博多座ご観劇前の参考として引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。

 


縁の一曲〜2代目尾上松也さん〜


歌舞伎役者さんにゆかりの曲をお届けする縁の一曲のコーナー、今回は6月博多座大歌舞伎にもご出演の2代目尾上松也さん 音羽屋です。

新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐~つきのつるぎ えにしのきりのは~」では企画、演出、そして主演の三日月宗近(みかづきむねちか)を勤められました。

番組で何度もご紹介しておりますシネマ歌舞伎 刀剣乱舞はkino cinéma天神では千穐楽を迎えましたが一部の劇場(東京 愛知 京都 兵庫)ではまだ上映が続いております!

そして京都南座では衣装展が5/6まで開催中です↓

◎開場時間◎
木・金12:00~18:00(最終入場17:30)
土・日・祝11:00~18:00(最終入場17:30)
※4/30、5/1、5/2は祝日扱いとなっております

刀剣乱舞−ONLINE−近侍曲集 其ノ一より「三日月宗近」をお届けしました♪


めでてえなあ 4/17-4/23


お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナー。4/17から4/23がお誕生日の皆さまです。お名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。


4/17 坂東玉之助さん
大和屋 

4/18 市川右近さん
澤瀉屋


4/18 片岡燕治郎さん
六代目片岡芦燕一門


4/19 澤村光紀さん
澤村田之助一門


4/20 市川升吉さん
市川團十郎白猿一門


 
今回は5名の皆様でした。お誕生日おめでとうございます!


次回放送のお知らせ


次回は4/ 30(火)午前10時〜FM77.7Mhzで25分の生放送です。Listen Radioというアプリ、コミてんYouTube生配信でもお楽しみいただけます!


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