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【感想】むつむ高校文芸部誌 春ノ号

 お声がけいただいて参加しておりました文集企画「むつむ高校文芸部誌」春ノ号、公開されました~! ぱふぱふ! めでてぇ!
 ほんとにほんとに素敵な作品が揃っておりますのでまだご覧になっていない方はぜひ……! ぜひぜひご一読ください!

 もうね、ぜんぶすきで……𝕃𝕠𝕧𝕖……
 せっかくなので感想でも書いてみようか、と思いこうして筆をとった次第です。参加した感想ではなく読んだ感想になります。本当はもっと格好つけて知的な雰囲気を出したかったのですが、頭が悪いので無理でした。悪ければ悪いなりの風情があるだろう、枯れ木も山のなんとやらという事で、拙筆ではございますが順に感想を書いてゆこうかと思います。

表紙 / 小日向ひまりさん

 ひまりさんの絵ってTHE・少女漫画って感じで本当にかわいくて……それだけにこういうイラスト、つらい。
 部室の方でも言ったのですが、日が当たっている所と影になっている所でそれぞれの気持ちの明暗を表現しているの、いいですよね。しかもここ交差点ですよ、交差点。ここが二人の人生の岐路なわけで……。活発そうな外見の子の方がよりウェッティな感情を持ってるの、テイスティ。あと小さい頃からおそろいのうさぎさんかわいいね……
 無料の小説集にこれだけ立派な表紙イラストがついてるの、本当にすごい事だと思います。恵まれた環境に混ぜていただけて本当にありがたい。

滲みゆくペールブルー / かぶきあげ(自分の)

 自分で書いたものについて語るの、大分恥ずかしいんですが……とりあえず一番手にしていただいけたの、すごくありがたかったなと思います。今回載った作品の中で私のこれがおそらくもっとも薄味だったはずなので。この順番じゃなかったらきっと塗りつぶされていました。単純に五十音順なのかもしれませんが……でもなんか私に限らずこの部誌の掲載順すごく良くないですか? これ以上ない流れになっていると思います。
 せっかくなので自分で気に入っているところをお話ししますね。主人公はずーっと理麻理麻、鬱陶しいぐらいずーっと理麻理麻言ってるのですが、最終盤の「彼女はもう他人の妻だった」という文章から、表記が全て「理麻」から「彼女」へ切り替わります。急に他人の距離。私はとにかく名前を考えるのが苦手でして……基本的に登場人物へ名前を与えないのですが、今回はこれがやりたかったので頑張って考えました。由来は「スーパー科学者マリー」です。今改めて調べたら「メアリーの部屋」の方がポピュラーな表現っぽいです。ままええわ。
 今回の部誌のテーマは「ずっと一緒にいた二人」でした。二人とはなっているけれど、必ずしも人間同士でなくても構わないかなぁ……と思い今回は「僕と理麻」に見せかけて「理麻と彼女の色づいた世界」のお別れの話にしました。私の貧弱な発想力ではこれが限界です。

ディアレスト・ブラックシープ / たぴ岡さん

 自分、こういう作品大好きで……。雰囲気や話の色もそうなのですが、こういった「主体が曖昧になる」トリックが大好きです。こういうのはやっぱり小説という形が一番楽しめる気がしますね。
 そんな事を言った直後にこういうのも変な話かもしれませんが、たぴ岡さんの書かれる文章って映像化向きだよなぁと思います。しばしば「自分が映像作家だったらこのシーンはこんな風に演出するな」と考えながら読んでいました。夜の公園、部屋、大学、高架下、小屋と舞台が豊富で、人の動きもカメラの動きもよく映えます。チェーンソーでバッチリ掴み、ラスト燃え盛る炎で終わらせるのは大優勝すぎる。
 展開も景色もよくてずっとどきどきしながら読んでいました。すき。

卒業式2124 / 仲原鬱間さん

 おっもろ……(今日イチ頭の悪い感想)。
 いや本当面白くて……この真顔で愉快な事言ってくる感じ。いえ、真面目な事も素敵な事も書かれているし、設定が結構重いんですけれども、「新たに導入されたmodにより四季折々の危険生物とエンカウント」のくだりが全てを攫ってゆきました。声出して笑ってしまった。
 おもろとはちょっと違うんですが、個人的には人間ボディで言うところの「目を閉じて」を「視覚センサを切り」と表現されているのにめちゃくちゃ驚きました。どうやったらこういう発想が出てくるんでしょうね、普段何を召し上がってるんでしょう。やっぱり本かな。本にドレッシングかけて食べてるのかな。
 校長と教頭の二人の距離感というか、関係性、いい。1年かけてラブレターを送りあって……。ちなみに私は二人の外見をこういう風に想像してました。

えらい雑ですみません。

 勝手にごめんなさい。もしかするともっと人間に近い外見かもしれないのですが、わたくし、異形頭とかロボヘッドが大好きでして……。
 本当にかわいい二人です。これからも変わらずにいてほしい。

マグノリアの息吹 / 夏迫杏さん

 これ絶対体の中で音楽育ててる方が書いてる~!!!!!
 なんだかこのポストを思い出しました。

 たぶんこんな感じで毎日感性の水をあげて体内で音楽育ててる方が書いています。間違いないです。自信あります。
 やっぱり小説だけではなく、他のジャンルの知識も豊富な方が書く作品って面白いですよね。音楽に限らず芸術に関する教養が本当にない人間なので、口を開けて終始敬服しながら読んでいました。すごい……(あたまのわるいかお)
 演奏している部分の描写が本当によくって……指が踊る度に五線譜から言葉と映像が噴水の様に溢れ出すみたいで。白い楽譜から鮮やかな色と動物が飛び出してくるイメージがずっと頭の中にありました。文章って自分のペースで読めるもののはずなんですけど、気づけば急いで文字を追ってしまっていましたね。描かれた音楽のテンポに引っ張られた感じがします。
 思わず口の中でころがしたくなる、丸くって透明な言葉を書く方だな、という印象を受けました。雨上がりの葉っぱの上の水滴みたい。

とんで、とんで、きえるもの。 / 薮透子さん

 全体に漂うこの諦念ですよ……。最後にちょっと救いというか、明かりは見えるんですけど、もうずっと諦観が底に横たわっていて……お母さん、あなた……。自立してないが故に親の決定には逆らえない、子どもの「どうしようもない」という感覚。遥加の視点で描かれた映像はなんだか色褪せて見えます。
 そう感じたのは透子さんのタッチもあるかもしれません。作中の季節に関わらず、私はどうも透子さんの文章にいつも秋めいたものを感じます。乾いた透明水彩のイメージ。寂寥と郷愁を絵筆で溶いて塗った様な空を書く方です。
 あと私、兄弟とか兄妹とか好きで……おにいちゃん、という生き物に幻想を見ています。晴也おにいちゃんも素敵で…… おにいちゃん……(ゴロゴロゴロゴロ)



 感想は以上になります。好き放題心の赴くがままに書いているのでもしかしたら失礼があったやもしれません。ご不快な点があったらこっそり肘でつついていただけると助かります……
 ほんとにほんとにどの作品も全部すきで……。こんな素敵な作品達に囲んでもらってうれしいな。
 真面目な挨拶は本誌のあとがきの方でさせていただいているのでこちらでは簡単に。この度は素敵な企画に参加させていただいて本当に有難うございました。