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不動産投資は誰が勝つの?
個人的な意見としては、「ほとんどの場合、日本において不動産投資で成功することは難しい」と考えています。なぜなら不動産投資は、多くの素人「買い手」にとって、不利な投資だと考えているからです。
不動産取引における勝者はだれか?
「不動産仲介会社」が勝つだと思っています。
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上記に一般的な不動産取引の構図を書いてみました。もちろん「買い手・売り手が直接取引をする」や「銀行からお金を借りずに購入する」などのパターンもあるため、上記の登場人物が減る場合もあります。
しかしながら、上記パターンのような高度な取引をほとんどの人ができるとは思えません。つまり、多くの方が上記の構図で不動産を取引をしている or することになると思っています。
不動産仲介は取引リスクがほとんどない
不動産取引が発生しなければ、不動産仲介会社にも利益がないわけですが、それはここに登場人物全員に共通しております。つまり不動産取引がなければ、誰にもベネフィットが発生しません。ですので、このパターンについては考慮しません。
不動産取引が発生した時点で、ほとんどの登場人物はベネフィットを得るとともに、一定のリスクを負うことになります。ただ不動産仲介会社だけはリスクをとる必要がありません。「仲介手数料を取って終わり」これが、不動産仲介業者が沢山あり、不動産を紹介してくる理由になります。
そもそも不動産の条件が良いとするのであれば、仲介業者さんからすれば「買い手」に案件を譲る必要がありません。自分でその不動産を抱えて儲けることは十分可能なはずです。仲介業者さんに「そこまで薦めるのであれば、なぜあなたが買わないのですか?」もしくは「お金を金利1%で貸すのでその物件をあなたが買ってくれますか」と聞いてみてください。ほぼ間違いなく、回答に詰まると思います。
脱線:仲介手数料を買い手・売り手から取る不合理
少し脱線した話になりますが、不動産の仲介手数料を買い手・売り手から取る(両手仲介)は、海外で禁止されているところも多くあります。アメリカでは、売り手が仲介手数料を払うことが一般的なようですので、日本は買い手にとって不利な取引とも言えるかもしれません。
「買い手」が最も不利
ほとんどの方がなるであろう「買い手」の視点で考えたいと思います。「買い手」のリスクは、キャピタルロスとインカムロスになります。2つのケースについて考えてみましょう。
キャピタルロスの可能性
不動産取引はよく保有していれば損をしないという考えを持たれている方も多い気がしてます。消費(住居としてずっと住む)という観点では、全く反論はしません。しかしながら、投資家という目線では間違えていると思っております。投資家は、「事業利益を期待して資本を投下すること」が目的ですので、不動産売却までをしなければ、事業利益が出たか/出なかったか結果がわかりません。つまり、不動産売却時に黒字化を達成しなければならないわけです。
では不動産売却時のことを考えてみます。不動産の価格は、「地価」と「建物価格」の大きく2つの構成要素から成り立ちます。「建物価格」については消耗品であるため、数年後の売却時に購入価格を超えることはまず考えにくいと思っております。続いて「地価」が残っていると言っても、需要と供給の問題で需要が購入時よりも大きい場所なんて数えるほどしかないと思っています。さらにその土地が将来的に売れる保証はないため、下手をすると誰も買い取ってくれない負債をずっと抱えることになる可能性もあります。
不動産価格を相当買い叩く(本当に安値で買う)等をしない限りは、日本では、キャピタルロスのリスクは小さくないと考えています。
一つの可能性として、不動産金利を低くして、高いインフレを期待して、金利差分で借金価値が減るという発想があります。しかし、個人的には高いインフレをした場合、不動産価格が高くて買えなくなり、「買い手がいない」or「値引きをしないと売れない」という事態になると結局はキャピタルロスにつながってしまうのではないかと思っています。
インカムロスの可能性
自分が購入した不動産に住まない限りは、誰かに住んでもらうことになります。「インカムがもらえない可能性」=「空室によって家賃収入が入らないこと」がリスクだと思っております。空室リスクに対応するための保険制度を使って、収入が0になることへの対策をすることはできるかもしれません。ただし、それなりの金額を保険料として支払うことは覚悟しなくてはなりません。
不動産投資で「買い手」が勝つ道はないのか?
不動産投資の投資以外のベネフィットである、「住民税の節税」でこのキャピタルロス・インカムロスをカバーできる場合は、投資を検討する価値はでてくるかもしれません。この場合、一握りの高給取り(税金を非常にとられる)でなければ、それほど恩恵は受けることができません。
他には、「不動産価格を買い叩く」「不動産仲介手数料を値切る」「銀行の融資資金を非常に低金利で借りる」などの対応になります。いずれも不動産プロでなければ中々難しい交渉をすることになります。
リスクを取らないとリターンはない
ここまで不動産投資の「買い手」リスクを沢山書いてきました。投資であるからにはリスクを取らなければリターンはないということは理解しているつもりです。
株式投資で100万損をしたらどう思いますか?
株式投資で100万損を出したら、相当反省をするような案件だと思います。しかしながら、不動産投資になるとこの感度も非常に鈍くなる感触があります。不動産投資のリスクは、非常に大きいものです。都心1Kマンションでも4000万円以上するような投資になります。不動産投資は数千万のリスクを背負っていことは、株式投資と何らかわりはありません。
投資金額が大きくなるにつれて、慎重に投資判断をすることは企業の仕事では当たり前のことだと思います。ぜひ個人の取引においても、少なくはない金額を投資することになりますので、慎重に不動産投資の判断をしていただきたいと思い長々と記載をしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。