見出し画像

[書き起こし]アイキューブドシステムズ(4495) IRセミナー&質疑応答 2024.12.14開催

2024.12.14開催致しましたアイキューブドシステムズ(4495)IRセミナー&質疑応答の書き起こしになります。

代表取締役執行役員社長 CEO 佐々木 勉


IRセミナー


皆さま、こんにちは。株式会社アイキューブドシステムズの佐々木と申します。

本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。Kabu Berryさん主催の名古屋セミナーに初めて参加させていただきました。初めて当社を知る方もいらっしゃるかと思います。この説明会を通じて、当社についてご理解を深めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは早速、本日お話しする内容についてご説明させていただきます。まず、会社概要と事業概要をお話しし、その後、事業の推移や市場環境について説明します。そして、事業の詳細や、最後に事業計画と成長戦略についてお伝えします。資料はお手元にございますので、そちらもご覧いただければと思います。

会社概要


改めまして、当社の社名は株式会社アイキューブドシステムズです。社名が外資系のように聞こえるため、外資企業だと誤解されることがありますが、実際には私が2001年に福岡で創業した会社です。2020年に東証マザーズ(現グロース市場)に上場し、現在に至っております。

当社の事業は、「CLOMO」というソフトウェア事業と投資事業を展開しております。「CLOMO事業」は当社のコア事業で、クラウド技術を活用したSaaSサービスを提供しています。投資事業は「アイキューブドベンチャーズ」というコーポレートベンチャーキャピタルを通じて、スタートアップを中心に展開しております。また、ベトナムにはソフトウェアのオフショア開発を担う「10KN COMPANY LIMITED」という関連会社もあります。

拠点は福岡と東京に本社を構え、全国に5つの営業拠点を設置しております。名古屋にも営業拠点があり、地域の皆さまには日頃からお世話になっております。資料にも記載がありますが、名古屋営業拠点は2022年7月に中村区に開設され、東海エリアの販売パートナーやお客様との関係構築を進めております。

当社のビジネスでは首都圏のお客様が多い状況ですが、全国各地に拠点を開設することで、地域に密着した販売活動やサポート体制の強化を図っております。

従業員数は現在130名で、男女比は6:4、平均年齢は36歳です。IT系企業としては女性社員の比率が比較的高いと言えます。また、外国籍社員が1割程度在籍しており、新卒採用でも外国籍の人材を積極的に受け入れています。

働き方の面では、月の平均残業時間は4.5時間で、育児休業の取得率は男女ともに100%です。働きやすい環境づくりに力を入れています。エンジニアの人材不足が全国的な課題となる中、当社でも優秀なエンジニアを採用し、定着してもらうために積極的に取り組んでおります。その結果、当社は5年連続で「働きがいのある会社」として認定されています。今後もこの取り組みを継続し、強化してまいります。

当社のブランドスローガンは「挑戦を、楽しもう。」です。このスローガンには、挑戦する情熱や文化を大切にする思いを込めています。新たなアイデアをデザインとエンジニアリングの力で形にし、お客様のビジネスや生活をより良くすることを目指しています。

事業概要

以上、会社概要についてご説明しました。次に、当社グループの事業概要についてご説明させていただきます。

当社グループは、CLOMO事業と投資事業の2つの事業を展開しております。

CLOMO事業は当社のコア事業であり、ソフトウェアをクラウドで提供する事業です。後ほど詳しく説明いたします。

投資事業はスタートアップへの投資を主に行っております。本日は時間の関係上、CLOMO事業について詳しく説明させていただきます。

CLOMO事業ではMDMというサービスを提供しています。聞き覚えのない言葉かもしれませんが、MDMとはモバイルデバイスマネジメントの略称で、日本語では「モバイル端末管理」となります。当社のMDMサービスはモバイル端末を管理するサービスです。このMDMサービスは、企業や学校などの法人において、特に情報システム部門の方が端末管理のためにご利用いただいております。

ここ数年、特に国内ではDXが重要視され、さまざまな業種・業態でデジタル化が進んでおります。例えば、病院や学校でタブレットが活用されており、店舗でも大金の決済をタブレットやスマートフォンで行う事例が増えています。

こうした中で、iPhoneやiPadなどのモバイル端末のセキュリティに課題があります。例えば、従業員がデータを含む端末を紛失したり盗まれたりする事故が頻発しています。

資料に記載の調査によると、3割を超える企業が過去1年間に端末の紛失や盗難などのトラブルを経験しています。これらのトラブルは頻繁に発生するため、防止が必要です。MDMを活用することで、事前に対策を講じ、事故が発生した際には迅速に対応できます。

このように、当社が提供するMDMサービスは、DXの進展に伴いビジネスで活用される多様なモバイル端末に対して重要な機能を提供しており、その有用性が注目されています。

弊社のCLOMO事業では、主力製品であるCLOMO MDMをクラウド上で提供しております。また、MDMと併用できるアプリケーション「SECURED APPs」も提供しています。これらのアプリは、スマートフォンやタブレットなど管理対象の端末に1台ずつインストールすることで、端末管理やユーザーが各種ソフトウェアを利用できるサービスを提供します。

特にMDMでは、端末の使用状況を把握し、Wi-Fiアクセスポイントの制限などのルールを設定することが可能です。また、端末紛失時には事故を未然に防ぎ、発生した場合には迅速に対応する機能を備えています。

実際にどのように動作するのかについて、動画を用意しましたので、こちらでご説明いたします。(注 後日、動画をUPします)

この動画は、Wordのアプリケーションを端末にインストールする様子を示しています。管理画面を操作すると、選択したアプリケーションが自動的に端末に配布される様子が映っています。

一般的にアプリケーションをインストールする場合、各端末を個別に設定する必要があります。しかし、弊社のMDMを利用することで、大規模に展開する場合でも一括でインストールが可能です。これにより、手間や効率の低下を防ぐことが簡単にできます。

他にも、スマートフォンを紛失するケースが多いため、紛失した場合の対応方法を示す動画を用意しました。端末を選択し操作することで、紛失した端末を自動的にロックし、「連絡をください」といったメッセージを表示できます。これにより、紛失時に迅速に端末を回収することが可能です。また、工場初期化を行いデータ漏洩を防ぐこともできます。事故のレベルに応じたさまざまな紛失対策が可能です。

さらに、位置情報も取得しているため、端末が拾われていない場合でも、位置情報を基に場所を特定して探すことができます。このようにMDMを活用することで、簡単な操作で管理や緊急時の対策が可能となり、使いやすさが評価されています。

弊社のソフトウェアの販売方法についても触れます。弊社のソフトウェアは、販売パートナーを経由した間接販売がほとんどです。携帯電話の入れ替え時には通信キャリアと一緒に購入されることが多いため、通信キャリアやその代理店、モバイル端末を取り扱う流通商社と協力し、弊社の製品と合わせてデバイスを入れ替えています。

主要な販売パートナーはNTTドコモグループで、積極的に弊社のサービスを販売しており、顧客基盤の拡大が順調に進んでいます。

競争優位性についてですが、当社では販売、開発、運用、サポートをすべて自社で行っています。これにより、サービスの統合力が競合他社との差別化要素となっています。例えば、サポートでの問い合わせがあった際、Googleなどの大規模ベンダーと連携しているため、障害が発生することもありますが、弊社で開発と運用を一体化することで迅速に機能を回復することが可能です。各機能が補完関係にあり、お客様に寄り添った高満足度のサービスを提供しています。

特にカスタマーサクセスでは、お客様からの問い合わせを直接受けることが弊社の特徴です。サポートだけでなく、初期導入時には不要だったランサムウェア対策など、必要になったタイミングで直接ソリューションを提供しています。お客様のデバイス活用の幅が広がるタイミングに合わせて、サポートや提案を行っています。

そういったことが影響し、多くの追加導入や高い継続率の維持につながっております。

カスタマーサクセス以外にも、販売、開発、運用、営業がそれぞれ自社で機能を持つことで、競合他社と差別化を図る当社の大きな強みとなっております。

CLOMOサービスは2010年に提供を開始し、導入者数を着実に増やしてきました。最近の発表では7000社を超えるお客様にご利用いただいており、ここ数年導入者数が大きく伸びています。これは2022年にドコモグループ様が提供する「あんしんマネージャーNEXT」で弊社のMDMをOEM提供開始したことが大きな要因です。この表にも顧客基盤の拡大が示されています。

また今年、ISMAPというクラウドサービスリストに登録されました。ISMAPは政府機関が求めるセキュリティ基準をクリアしたクラウドサービスに与えられる認定資格で、高いセキュリティ品質を持つ製品の証です。行政機関がクラウドサービスを選定する際の基準となり、観光庁や自治体などのさらなる顧客獲得につながると考えております。

多くのお客様にご利用いただいた結果、自社ブランドの国内MDM市場で14年連続シェアナンバーワンを達成しております。販売パートナーや関係者の皆様のおかげで、事業を着実に成長させることができ、大変感謝しております。

業績の推移


次に業績の推移について説明いたします。
ご覧いただいている資料では2024年6月期までが実績、2025年6月期は計画値となっております。直近5期間の売上高は毎期右肩上がりで成長しており、2021年6月からの年平均成長率は14.6%を計画しております。利益も成長投資を行いながら、2023年6月期以降着実に成長を続けており、今期も増益を見込んでおります。

当期の進捗状況についてですが、弊社の決算期は6月で、9月末の第一四半期の数字は売上高9億300万円、予算進捗率25%、営業利益2億1100万円、進捗率26%と順調に推移しております。

貸借対照表については、預金残高が17億円、自己資本比率も75%を超える高水準を維持しており、迅速な事業投資が可能な状況です。引き続き成長のための投資を積極的に行う方針です。

続いて、CLOMO事業のKPIについてご説明いたします。
2024年9月末時点での導入法人数は7,228社となっております。
NTTドコモグループ様へのOEM提供が好調で、第1四半期に518社の新規顧客を獲得し、顧客基盤を順調に拡大しております。

CLOMOサービスの継続率は98.1%と高水準を維持しております。
1社あたりの月額契約単価(ARPU)については、中小企業への導入進展に伴い低下傾向にありますが、事業は順調に推移しております。

第1四半期時点のARRは29億7,600万円で、前年同期比10%増を達成し、顧客基盤の拡大とともに着実な成長を続けております。

市場環境

次に、市場環境についてご説明いたします。CLOMO事業の主要ターゲットであるMDM市場は、2024年時点で195億円規模となっております。今後も年率約10%の成長が見込まれ、2028年には250億円規模まで拡大する見通しです。

MDM市場は開発難易度が高く新規参入が困難である一方で、安定した成長が期待できます。さらに、PC資産管理市場を含む資産管理市場への展開も視野に入れており、ターゲット市場規模は合計670億円となります。

成長の背景として、企業における導入モバイル端末の多様化とMDM導入企業の増加により、市場規模は拡大傾向にあります。

従来のiPadなどタブレット中心の利用から、現在はスマートフォンや業務用端末へと広がりを見せております。
当社はNTTドコモグループ様との連携を強化し、販売を推進しておりますが、2026年3月に予定されているNTTドコモグループ様の3Gサービス終了に伴い、ガラケーからスマートフォンへの切り替え需要増加が見込まれ、当社サービスのさらなる拡大が期待されます。

最後に、市場でのポジションについてご説明いたします。
当社は国内MDM自社ブランド市場において14年連続でシェアナンバーワン(シェア21.4%)を達成しております。なお、自社ブランド市場の集計には自社製品の出荷額のみが含まれ、OEM提供による出荷額は含まれておりません。
2023年からはNTTドコモグループ様へのOEM提供も開始し、これによる売上も拡大しており、さらなるシェア拡大を目指してまいります。

事業計画および成長戦略

以上、市場環境についてご説明いたしました。次に、事業計画および成長戦略について説明いたします。

まず、当社グループの中期売上目標ですが、2026年6月期の連結売上高50億円を目標として事業拡大に取り組んでいます。50億円達成に向けて、コア事業であるCLOMO事業のさらなる拡大が最も重要と考えております。また、新規事業の創出にも注力し、CLOMO事業の成長だけでは補えない部分を伸ばしていきたいと考えております。

投資事業についても、引き続きスタートアップへの投資を推進し、キャピタルゲイン、投資先企業との事業シナジーの創出を目指しています。

CLOMO事業の成長戦略についてですが、CLOMO事業の売上拡大を目指す上で必要な要素として、重要なものが2つあります。1つは顧客の拡大、もう1つはARPU(1ユーザー当たり平均収益)の向上です。

顧客の拡大については、先ほど申し上げた通り、NTTドコモグループ様のおかげで非常に順調に新規顧客が増加しております。したがって、我々の努力としては特にARPUの上昇をしっかりと進めていくことが中心となります。

この顧客基盤の拡大について、もう少し詳しく説明いたします。当社がOEM提供している「あんしんマネージャーNEXT」は2022年に提供を開始してからまだ2年ほど経過していますが、旧サービスもお客様にご利用いただける状況となっており、サービス提供終了は2026年3月までです。それまでに旧サービスから弊社の新サービスへの段階的な移行が進んでいます。

したがって、2026年3月までは新サービスへの切り替えによる新規顧客獲得が増加すると見込まれ、既存顧客以外にも新サービスとしての顧客基盤の拡大が進んでおります。CLOMO事業としての顧客基盤にはさらなる拡大の余地があると考えており、NTTドコモグループ様としっかり連携して進めております。

続いて、ARPUの向上に向けた施策についてですが、順調にサービスラインナップを拡げております。顧客単価を上げるためには、メニューの増強やクロスセル商材の拡大が重要と考えており、お客様のニーズに沿ったオプションサービスの拡充を進めております。2023年6月期以降の2年間で、セキュリティ面と運用支援の観点から追加サービスを充実させています。

例えば、セキュリティソリューションとして最近注目されているランサムウェア対策について、ディープインスティンクトやハーモニーモバイルなどの製品を連携したソリューションを提供しています。また、昨今の企業では情報システム関連部門の業務負荷が非常に増大しており、負担となっているため、我々がその部分を代わりに対応する運用代行サービスを開始し、人的なサポートを提供しています。これにより、お客様の支援をより積極的に行える状況で、サービスメニューを整えております。

今後は、これらのメニューをどんどん拡充しながら、モバイル端末以外の分野も進めていきたいと考えております。特にPC向けの機能提供がまだ不十分であると考えており、Windows PC向けの機能強化オプションサービスの拡充を図っていく予定です。

その背景から、先日ワンビ社へのTOBを発表しました。ワンビ社はWindows PCの不正持ち出し検出や情報漏洩対策のソフトウェアを主力製品とし、多くのサービスを提供しています。ワンビ社と連携することで、モバイル端末以外のWindows PC向けにもセキュリティサービスの拡充が図れると考え、このTOBを進めております。

以上、CLOMO事業の成長戦略についてご説明いたしました。

まとめますと、OEMを軸とした顧客拡大を進めつつ、ワンビ社のようなソリューションを強化してARPU(1ユーザー当たり平均収益)を向上させることで、コア事業であるCLOMO事業をしっかり成長させていく形で中期経営計画の実現を進めたいと考えております。

最後に、株主還元についても触れたいと思います。当社は事業成長に必要な投資や内部留保と並行し、中長期的な成長に期待していただける株主の皆様に対し、できる限り積極的に株主還元を実施する方針です。直近の業績や事業環境などを踏まえまして、2025年6月期の期末配当は前年同額の32円を計画しております。引き続き株主の皆様のご期待に応えられるよう、事業の拡大を進めてまいりますので、応援いただけますと幸いです。

ここまで説明資料に沿ってご説明させていただきました。説明が不足していた点もあったかと思いますので、この後の質疑応答にて補わせていただければと思います。

また、IRニュースレターの登録箇所を掲載しておりますので、ぜひご登録いただければと存じます。
一旦、私のご説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答

Q. あんしんマネージャーNEXTへのOEM提供によって顧客数は順調に増えていますが、今期のCLOMO事業の売上(ARR)について質問があります。前期と比べて企業数の増加に対してARRがあまり伸びていないように感じています。このギャップはどのように理解すればよろしいでしょうか。

A. 企業数の伸びに対してARRの伸び率が悪いというご質問かと思いますが、CLOMOサービスをリリースした初期段階では規模の大きなお客様が多く、1社あたりのARPUが高かったです。しかし最近では中小規模のお客様が増えており、お客様数は増加していますが、ライセンス規模が小さいためARRの伸び率が低下しています。ご指摘の通り、ARRの伸び率には違いがありますが、全体としてお客様数の増加が続いております。

Q. 中期経営計画で2026年6月期に連結売上高50億円を目標としていますが、新規事業の創出がキーになると考えています。しかし、その部署が2024年7月に設置されるため、2年間での達成は厳しいのではないかとのご意見があります。方向性や進捗について教えていただけますか。

A. 非常にチャレンジングな目標ではありますが、先日発表したTOBやM&Aを中心に新規事業の開発を進めており、実現可能と考えております。現在、積極的に取り組んでおりますので、ご安心ください。

Q. 21ページに関する質問です。継続率が2024年度だけ一気に悪化しているように見えますが、原因を教えてください。

A. 継続率が低下しているのは、コロナ対応を目的に導入された端末において、対応終了に伴い端末の利用も終了し、満期解約となったことが一因です。その数が多かったため、全体として継続率が少し悪化しております。

Q. データの紛失時にリモートロックをかけることは有効ですが、物理的な紛失防止措置も同時に行っていますか?エアタグのような役割をするものもありますか。

A. 弊社の管理端末では位置情報を自動的に取得していますが、エアタグのような物理的な紛失防止措置は現在提供しておりません。

Q. 大株主にジャフコ SVなどの投資会社があるのですが、これは投資会社で、これからその投資資金を引き上げていったりするのでしょうか。

A. 我々がIPO前にジャフコグループさんから投資を受けてIPOを行った経緯があり、その中でまだ一定数の割合を保有されています。

Q. 中期の目標として売上50億円とおっしゃっていましたが、利益率は20%以上を維持していると伺いました。この利益率はほぼ変わらないという想定でよろしいでしょうか。

A. ソフトウェア事業においては営業利益率が徐々に改善・拡大していますが、現在は売上のトップラインを優先しており、グループ全体では営業利益率が下がる可能性があります。ただし、営業利益額についてはしっかりと確保するよう注視しております。

Q. 貴社の売上50億円達成に向けて、ソフトウェア事業は高い収益性を持っていますが、10KN社などオフショア開発を行っている会社のビジネスは利益率が低く、グループ全体の利益率が下がる可能性があるということでしょうか。

A. はい、ソフトウェア事業(CLOMO事業)は高い収益性を持っていますが、オフショア開発を行っている10KN社などのビジネスはCLOMO事業ほど利益率が高くないため、全体として利益率が低下する可能性があります。

Q. 御社の先行指標を拝見すると、NTTドコモさんからの売上が50%を占めていると思います。今後この依存度がさらに高くなるとリスクが懸念されますが、リスクについてお伺いできますか。

A. 依存の懸念については理解しておりますが、弊社のようなMDMベンダーは、それぞれ特定のキャリアと手を組んで事業を進めており、キャリアによってMDMベンダーの棲み分けが進んでいる市場です。そのような市場環境から、ドコモグループ様との取引量が多いことについて、大きなリスクだとは思っていません。

Q. 32ページについて質問です。旧サービスを提供しているのはアイキューブドシステムズ様以外の会社でしょうか。もし違う会社が利用している場合、切り替えのきっかけや経緯を教えてください。

A. この旧サービスはNTTドコモグループ様が「あんしんマネージャー」という名称で提供されており、弊社ではなく外資系の会社がエンジンを提供しています。お取引上の理由もあり詳細な経緯はお話しできませんが、弊社としてはサポートの柔軟性や技術的優位性を評価していただき、切り替えを判断していただいたものと理解しております。切り替えの判断はドコモグループ様に委ねられておりますので、詳細はお答えしかねます。

Q. 端末の数が売上にも関わってくると思うのですが、そちらはどういう風に管理されているのでしょうか。

A. 端末1台あたり1ライセンス、定価が300円となっております。端末の数が増加すれば、弊社の売上にも直結します。お客様が例えばiPadを導入された後、スマートフォンや携帯電話の管理も進めていただけるよう、今後はパソコンの管理も可能にしており、現在その拡大を進めております。CLOMO上では端末数を把握することができ、動画ではご覧いただけなかったかもしれませんが、1台の端末に対して個別に操作が可能で、例えば1万台であれば一括で管理できるソフトウェアとなっております。

Q. 営業パートナーさんに売上げ仕入れ等があると思いますが、台数が増えても本社の手間としては営業パートナーさんとのお付き合いだけで終わると考えておけばよろしいですか。

A. はい、弊社の強みはデバイス管理にあります。国内ではトップシェアを誇り、最大規模の100万台以上のデバイスを管理する技術に長けております。増加しても大規模なサーバーリソースを必要とせず、クラウド上にソフトウェアを展開することで、一度に多くの端末を効率的に管理できる体制を整えております。

Q. 例えばサービスに強みがあるのか価格強調力があるのか。そのあたりもう少し深掘りで教えてほしいと思います。

A. まず弊社の強み、他社との違いという点について申し上げますと、2010年に最初のCLOMO MDMをリリースし、国内においてiOS向けでは最速となっております。当時は多くのベンダーがMDMサービスを提供しており、私が数えたところ60社ほどありましたが、徐々に淘汰が進み、弊社はドコモグループ様と、オプティム様はKDDI様と、MDMベンダーが各キャリアのビジネスをサポートする形で淘汰されてきました。新規参入については、最近ではデバイスメーカーが自社デバイスをコントロールするために参入されるケースが一部ありますが、それを除くと新規参入はほとんどありません。その理由として、iOSの場合はApple、WindowsはMicrosoft、AndroidはGoogleとの技術連携が必要であり、ソフトウェアも一度開発すれば終わりではなく、毎年iOSやAndroid OSが確実にバージョンアップを続けるため、新規参入にはコストがかかりすぎ、技術的な難易度が高いという参入障壁が存在します。逆に言えば、弊社はAppleやGoogleと密に連携し、毎年進化するスマートフォンやタブレットのOSを管理することで、継続的にビジネスを安定的に行うことが可能です。これらの環境を整え、しっかりと継続的な開発を行うことを推進しており、これは大きな強みとなっています。これを実現するために、弊社ではサポート、運用、開発を全て自社で行っており、お客様に安心してご利用いただける状況を作り出しています。

Q. TOBについてですが、ワンビさんの売上トップラインが現在5~6億円ほどの会社ですが、TOBで会社化することで5~6億円が売上として合算される形になり、トップラインも確実に上がると考えていますか?それとも既存のサービスが強くなると考えていますか?

A. 弊社とワンビさんの販売チャネルは実は被っておりません。弊社は主に通信キャリアを通じて販売しておりますが、ワンビさんは主にPC流通系の企業に販売されており、ターゲットが異なります。そのため、双方に相乗効果があり、より成長スピードを上げることが可能だと考えています。弊社はワンビさんの製品を弊社の販売チャネルにクロスセルすることも考えており、また、これまでワンビさんが提供してきたお客様に対して弊社のMDMを提供することで、機能的にはワンビさんの製品がWindows PCに限定されているのに対し、モバイル側もカバーできる新しい領域を開発することができます。これにより、お互いに成長スピードを上げることができると考え、進めようとしております。

Q. シェアの過去の推移を教えてください

A. 今後もさらなるシェア拡大に向けて様々な施策を検討していきたいと考えております。シェアが上下するというよりも、着実に拡大してきた結果として現在のシェアに至っているとご理解いただければと思います。

Q. 個人投資家説明会への登壇機会が増えたように思えますが、株価が上昇すれば知名度も上がると思います。今後も御社の知名度向上の施策の一つとして、株主還元の方針を明確に定めた方がより効果があるように感じました。ご意見を伺いたいのですが、よろしくお願いいたします。

A.株主還元の施策としては、現状配当をしっかりと進めてまいりましたが、引き続き様々な選択肢を検討していきたいと考えています。今後も多角的に検討を進めていく予定ですので、もうしばらくお時間をいただければと思います。

Q. 例えば配当性向を何パーセントにするかといった具体的な数字を打ち出してはいかがでしょうか。そういった意図の質問が含まれているように感じたのですが、どのようにお考えでしょうか。

A. 全体的には、配当性向について内部的には具体的な目標を設定して進めていきたいという指標を持っています。しかし、先ほど申し上げた通り、グループ全体のトップラインを上げ、成長性を高めることが最も重要だと考えております。そのため、営業利益などの指標を見ながら、適切な配当性向を検討していく方針です。柔軟に対応していく所存ですので、今後の業績を踏まえて決定してまいります。

Q. 2年以上前から会社の課題として株式の流動性を高めることを挙げられておりましたが、直近でもあまり流動性が良くないように感じております。これまでの努力では流動性がなかなか上がらない状況となってきました。株主優待の創設など、他の施策によって流動性を高める検討はされているのでしょうか?

A. そうですね。さまざまなタイミングや状況を踏まえて、流動性向上に向けた施策を進めていきたいと考えております。具体的には、適切なタイミングで実行できるよう準備を進めており、現在も多角的に検討を続けています。引き続き、最適な方法を模索してまいりますので、今しばらくお時間をいただければと思います。

Q. 現状の流動性の低さでは機関投資家や個人投資家が株式に対して興味を示さないと思いますが、それ以外に考えていることはありますか?

A. 具体的な施策についてはまだ詳細をお伝えできませんが、現状の流動性に満足しているわけではありません。さまざまな施策を検討し、実行可能なタイミングで速やかに実行していく方針です。引き続き、流動性向上に向けた取り組みを強化してまいります。

---

Q. OEM経由の導入社数が増えています。成長目標としては大体あと何社程度の導入を見込んでいるのでしょうか?

A. NTTドコモグループ様からの具体的な導入社数の情報は公開しておりませんが、内部的にはまだまだ十分なポテンシャルがあると考えています。特に中小企業においては導入が進んでいない部分が多く、今後さらに多くの企業に導入いただけるよう営業を強化していく予定です。目指すべき売上に対しては十分な増加が見込めると考えております。

Q. 新規事業について新しく取り組んでいるとのことですが、以前から検討しているとお話しされています。いつ頃発表される予定でしょうか?現在話せることはあまりないかと思いますが、話せる範囲でお願いいたします。

A. はい、ワンビさんの件についてもようやく話せる状況になりました。引き続きコア事業の増強が基本方針であり、事業シナジーを最大化することが最も重要と考えています。そのため、新しい事業についてはできるだけ早く発表できるよう準備を進めております。具体的な発表時期については現時点ではお伝えできませんが、順次進捗をお知らせしてまいります。

Q. 業績はとても悪くないと思うのですが、株価がなかなか上がらないことについてどう思いますか。

A. そうですね。グロース市場ではおそらくPERが約40程度が平均となっておりますが、我々のPER平均は約15という状況です。したがって、株価が適正といえるほどではなく、満足しているわけではありません。企業価値を高めるためにさまざまな施策を実施し、皆様にご期待いただけるよう努めてまいります。引き続き、株価の向上に向けてしっかりと取り組んでいく所存です。

Q. 今日はお話ありがとうございました。せっかく社長様が来られているので、創業の経緯とか、こういったサービスを作られた経緯を教えてほしいです。

A. 創業は2001年になります。そこから受託開発をしていました。2006年にアメリカのグーグルを訪問した際、Googleとのコネクションを築くことができ、その後、Google Apps(現在のG Suite)を利用しやすくするソフトウェアを提供し、お客様に非常に喜んでいただきました。当時はクラウドの利用がまだ十分ではなく、IT技術をより使いやすくすることで、皆様のビジネスをサポートできると考えていました。

その後、数年後にiPhoneが登場し、バーコードリーダーが利用可能になるなど、ビジネス用途でのモバイルデバイスの可能性を感じ取りました。2010年にはAppleからビジネス支援の依頼を受け、モバイルアプリケーションの開発を手伝うようになりました。その中で、iPadそのままではビジネス利用においてセキュリティ面で不安があるとの声を受け、CLOMO MDMを開発しました。これにより、セキュリティ上の不安を解消し、ビジネス利用に適した環境を提供することができました。

当時は受託開発も行っており、さまざまなモバイルアプリケーションを開発していましたが、複数の事業を同時に展開するのは難しいという課題がありました。そこで、一旦ソフトウェアサービス事業に絞り事業を成長させてきましたが、現在はまた事業領域の拡大を目指しています。お客様からのご要望を受けて事業の幅を広げ、現在に至っております。

Q.社長の肩書き(代表取締役執行役員社長 CEO )について教えて下さい 

A.常勤取締役2名で社会取締役の方が多いような構成で非常にシンプルな取締役会にしています。業務執行の方は執行役員会を組織しておりまして、執行役員会が基本的に事業をしっかりやっていこうという形で、きちんと取締役としての代表取締役といわゆる社長という肩書きで全部やるのではなく、執行役員としてしっかり事業を動かせる形にするために、そういった肩書きにちょっと変えさせていただいております。

Q. 御社のベンチャーキャピタルへの投資もされていらっしゃると思うんですけれども、御社がベンチャーキャピタルに投資される意義とか、ベンチャーキャピタル投資はなかなか難しいのかなと思うんですけれども、何かこういう優位性があるなど、投資事業をされる意味合いをちょっと教えていただけたらなと思います。

A. 今日は時間の関係で投資事業について省略させていただきましたが、我々としましては事業がどこに成長線があるかを見極めるのは難しいという認識のもと、さまざまなスタートアップの皆さんが行っているチャレンジを金銭的に支援することで、ビジネス機会を逃さないようにすることが基本的な大きな目的です。

これを実現するためには、さまざまなスタートアップを見極める能力が必要ですが、弊社ではジャフコさんにIPO前に投資を受けた経緯もあり、ジャフコの元九州支社長に参画していただき、九州地域のスタートアップについて既にネットワークがある状態でCVCを開始できています。おかげさまで昨年サイダスという会社はM&AによってEXITを果たしました。

我々は社会貢献とスタートアップとしての可能性を踏まえた投資を行いながら、キャピタルゲインもしっかり得ることを目指しています。その両立を図るためにコーポレートベンチャーキャピタルを運用しています。特に、創業者である私自身が創業からIPOまでを経験しているため、その知見を九州地域の皆さんに還元しつつ、コア事業に協力してもらえるスタートアップに積極的に投資していく方針です。

Q. 基本的に御社のビジネスの周辺だったり関係がありそうな会社に投資しているという理解でいいということでしょうか?

A. 投資事業の判断基準は3つあります。1つ目は九州地域に根ざしていること。これは地域のネットワーキングを強化するためです。2つ目はコア事業の補強となり、3つ目は社会貢献ができるかどうかです。例えば、宇宙関連など、我々の事業の延長線上で貢献できる分野であれば、スタートアップ投資を通じて知見を得たり、将来的に一緒に大きなことを成し遂げたりする足掛かりとしてCVC投資を行っています。

Q. ベンチャーキャピタルへの投資の優先度は高いのでしょうか?

A. 単純にM&Aだけを目標にすると、情報収集の中であがってくるスタートアップが限定的になってしまいます。最近のスタートアップは出資を受けるかM&A、どちらも両輪で目指していることが多いです。我々としては、どちらからでも素晴らしい事業を展開している場合、投資を受けたい企業もあれば、グループに入って成長を伸ばしたい企業もありますので、幅広く情報をキャッチして投資をしたいと考えています。CVCを運営していて良かった点として、我々自身が単独でファンドを持っているため、他のLPに縛られることなく柔軟に投資が可能です。優秀なスタートアップがあれば投資を行い、ネットワークを通じてM&Aに結びつけることもできます。

Q. つまり事業を一緒にやっていくこともあればIPOとしてEXITが見込めることもあるので、ネットワークを維持しておきたいというニュアンスでいいんですかね

A. はい、その通りです。さまざまなネットワークが必要ですので、ベンチャーネットワークを含めて手を出してスタートアップと関わることで、M&Aだけでは得られない情報やネットワークを構築できます。これにより、投資や事業協力の機会が増えると考えています。

Q. 今営業拠点数を増やす予定はございますか?

A. 現在時点では5カ所を展開しており、これらはお客様やパートナーからの要請で設置した拠点です。他の拠点についても、今後要請があれば増やす可能性はありますが、現時点では特に予定しているものはありません。現在の拠点数で十分に網羅できていると認識しております。

投資家の皆様へ

本日は、お忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございました。
皆様からいただいたご質問、特に株主還元施策や事業に関するものは、私どもにとっても大変勉強になりました。
今後もこのような対話の場を通じて皆様と意見交換を重ね、企業価値の向上に一層努めてまいります。引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。