沼ってから他界するまでの地下アイドルオタクの心理
※僕は他界してません。
地下アイドルオタクのかべのおくです。
今回は地下アイドルオタクに限らず、あらゆるジャンルのオタクによく見られる現象、「他界」や「担降り」をライフサイクルを用いて考察するnoteです。
オタクが他界するのは、「ライフサイクルの終わりだったから」と考えられます。そこで、オタクはどのようにして推しを見つけてハマり、そして病んでいくのかについて考えていきましょう。
そもそも「他界」と「オタ卒」とは
もしかしたら「他界ってなに?」という人もいると思うので、用語の整理から入ります。
アイドルオタクの用語には「他界」と「オタ卒」がありますが、このnoteでは、ロマン優光さんの「地下アイドルとのつきあい方」で述べられている定義を採用します。
おそらくオタクの皆さんなら、普段無意識に使ったり、SNSで見かける意味合いに近いのではないでしょうか?
これは僕の経験かつ持論ですが、地下アイドルオタクにまでたどり着くような濃いオタクは、そう簡単にはオタ卒できないと思います。つまりオタ卒はあまり考慮する必要がないということです。
そこで今回は定義通りの「他界」に絞って考えていきたいと思います。ちなみに「担降り」にもニュアンスの違いはあるんでしょうが、あまり詳しくないので今回は「他界」と同じ意味だと捉えて解説します。
「オタクのライフサイクル」4段階
それでは次に、オタクがどのような過程を経て現場に染まり、そして離れていくのかを4ステップに分けて解説します。これをこのnoteでは「オタクのライフサイクル」と呼びます。概要は以下の図の通りです。
それぞれの期間のオタクには振る舞いや行動に特徴が見られます。それらを含めて解説していきます。
①エンジョイ期
推しを推し始めた当初、一番楽しいタイミングが「エンジョイ期」です。現場に通って、日々新しい発見があるかと思います。
この時期のオタクは最も推しを追いかけるモチベーションが高く、多少無理をしてでも現場にやってくる人が多いでしょう。というか自然にそうなります。
しかし一方で新規という気分も抜けておらず、現場でも低姿勢で推しメンやオタクへの接し方もまだ丁寧です。
②ガチ期
「ガチ期」のオタクは、推しを中心に世界が回っています。
現場には地方遠征も含めて、行ける現場は全通がデフォです。義務感、推しへの愛、プライドなど、何かしらの「譲れないもの」を持っていることは確かでしょう
現場での知り合いも多く、「おまいつ」同士のネットワークが形成されています。オタク同士の内輪ノリにもついていけるのも特徴です。
③病み期
「病み期」のオタクには少なからず人間関係のトラブルが絡んでいるように思います。それが病んだ結果なのか、病む原因なのかはさておき。
そんなオタクいるのか?と思われるかもしれませんが、うつ病などと同じように「軽く病んでいる」くらいの状態なら誰しも陥るのではないでしょうか?
それで静かに現場に来なくなるならまだいいですが、周りを巻き込んで不幸にするとだいぶ厄介です(SNSでの言動含め)。
④悟り期
「自分には推しメンを幸せにできない」と理解したオタクは「悟り期」に入ります。悟るというより、前向きにあきらめるに近いのかもしれません。
現場には定期的には来ますが、その頻度は決して多くありません。傍目からはライブを楽しんでいるように見えますが、最初に推しメンを知った頃と同じように楽しめるわけではありません。
もちろん「悟り期」のオタクにも推しメンに成功してほしい、幸せになってほしいという思いはあります。ただしそれは自分以外の誰かとでもいいと考えているのです。
また、普通にプライベートが充実していたり、ほかの趣味や現場と両立している人も多いと思います。
オタクの他界タイミングは?
以上の「ライフサイクル」の4段階のうち、オタクが他界しやすいのは「病み期」と「悟り期」でしょう。
たとえばメンバーの卒業・脱退はオタクの代表的な他界理由です。たとえいなくなるのが推しメンでなくても、「自分が知っているグループではなくなった」「運営・メンバーが信頼できなくなった」などの理由で他界する人は多いと思います。
しかし、推しメンもグループもそのままなのになぜか姿を消すオタクも少なくはありません。これは「自分にはこの現場は必要ない」と気づいたんだと思います。これが「悟り期」に他界する例です。
「顧客ライフサイクル」との関連性
ちなみに、マーケティングでは「顧客ライフサイクル」という考え方があります。顧客がサービスを認知して利用するようになり、そして利用を停止するまでを表すサイクルです。
顧客ライフサイクルは、主に以下のようなプロセスをたどります。
認知
エンゲージメント(商品知識の獲得)
商品の競合サービスとの評価
購入
商品による経験
ボンディング(商品への愛着)、アドボカシー(商品の宣伝)
6までがうまくいけば顧客はロイヤルカスタマーになり、リピート購入やアップセル・クロスセルにつながります。しかし競合商品が出てきたり、商品による経験が必要でなくなれば離反に至るわけです。つまりこれが「他界」と言えます。
したがって、「オタクのライフサイクル」は顧客ライフサイクルのオタク版と解釈してもよいでしょう。
オタクが病まないための心構え
①病まないオタクはいない
オタクの習性として、何かを手に入れれば「もっと」を求めたくなってしまうものです。
運良く最前列に入れれば「もう一度入りたい」と思ってしまいますし、チェキ1枚で物足りなくなれば「もっと話したい」と、2,3,4枚と積んでしまいます。
それで楽しくて持続性があるならいいんですが、いつしか欲望と現実のギャップを感じるようになります。そのギャップに苦しんでいるのが「病んでいる」と言えるでしょう。
つまり、オタクはオタクである以上病まずにはいられないですし、病むことはオタクとして健全な証拠なのです。
②自分の段階を客観視する
いつでもオタクの中心にあり、オタクを突き動かす「好き」という感情は非常に主観的なものです。しかもそれは純粋な好きだけでなく、推しやオタクと過ごした時間によって変容していき、これがライフサイクルを形作っています。
したがって、オタクはそれぞれ自分の「好き」を客観視できる手段を持つべきでしょう。それは他現場にちょくちょく行くことや、チェキの枚数をちゃんと数えておくことなどです。
ちなみに、DDオタクを今回のライフサイクルに当てはめると、現場ごとに複数のサイクルを回しているイメージです。図解すると以下のようになります。
DDの場合、仮にどこかの現場で「病み期」が訪れたとしても、他の現場で「エンジョイ期」が来ていればメンタルは保たれます。一方で単推しのオタクは1現場で大きなサイクルを分回しているので、「ガチ期」に得られる喜びも大きいですが、そのぶん「病み期」の落ち込みも大きくなるでしょう。
こんなふうにモチベーションのピークをズラしてメンタルを安定させられることが、DDのメリットと言えます。
③病んだら離れろ
どんなにリスクヘッジしてても、オタクは病む時には病んでしまいます。そんな時にはおとなしく一度離れるのがいいでしょう。
マーケティングでも「顧客ライフサイクルマネジメント」という言葉がある通り、オタクのライフサイクルマネジメントはアイドル運営に任せるべきなのです。病んだオタクが無理して推してても、自分はつらいし周りにも悪影響があったりといい事はありません。
しかし、この「離れる」というのは他界を意味しません。ほとぼりがさめると「あの時、なんであんなことに悩んでいたんだろう」と思える時は必ずやって来ます。地下アイドル現場は流動性が高いことが利点なわけですから、推しに向き合えるようになったらまた戻ってきてください。
おわりに
まとめます。
推しメンには、いい顔だけ見せておこう。
以上です。