光る君へ#31月の下で

とうとう、この日がやってきましたね。ここまでの物語は、ここからのためにあったのだと言っても過言ではない。

当たり前のように、先触れもせずにしれっと門をくぐり、訪れた道長。さして驚きもせず迎えるまひろ。いや、家族が出かけてたら、なおさらとまどうところでしょ。人手も足らずおかまいもせずすぎる対応で、驚く。。

とはいえ真面目まひろちゃんは、あかねさんに枕草子を借りたり、弟に聞いたり、どうしたものかと必死に思案するところ、かわいい。道長に越前和紙おねだりしちゃったり、かわいい。

道長の思い出語りから、物語を紡ぎだす。子どもの頃から親しみ、月の光を介してこの世に心通じて生きる二人だからこそ、人の心の表も裏も酸いも甘いも全部全部包み隠しもせずに共有し合える仲だからこそ、物語が生まれた。

定子ちゃんを亡くし、心に空いた穴を埋められずにいる一条天皇をおなぐさめするために、ききょうのいう、よかった頃を辿ってこそ、新しい物語の始まりにふさわしい。

この8ヶ月分の人生があのひと筆に詰まってる。筆の運ぶ文字はまるで、その道標みたい。まひろが思い悩み、精いっぱい生きて、人を愛おしく思うことも、思われることも、慈しむことも甘やかされることも、静かな人も豪気な人も、貴族も農民も職人も宋人もいろんな人と出会い、素直な心を通わせてきたからこそ、自分の中に宿る様々な感情にひたすら向かい合ったからこそ、筆が進んでいく。

色紙がひらひらと舞うシーン、わかりやすいくらい合成で、ちょっともう少し表現を工夫してほしかったけど、舞い降りる言葉の数々、交わされる和歌、紡がれていく物語が色鮮やかにまひろの頭の中に広がる様子を描きたかったんだろうなぁ。

もうひとつ実資さんの昼間からのお忍び、あれは何かあとに続くネタなのかしらん。内裏で会う人が、通う人があって自分の家にいる状況って、なんかおかしな世界。多分近くには牛車も停まってるだろうし、噂話にはことかかなさそう。実際は御簾越しだから、あいまいにささやかれる噂なんだろうなぁ。

倫子ちゃんと明子ちゃんのバチバチも痛かった、、。安らぎに高松殿にきてたのに、出世だ、対抗して身分だ、血統だと、これ以上面倒は増やして欲しくないのに、わからないんだなぁ、、、。左大臣の孤独が、沁みてくる。そりゃ体調も崩すよ。

次回、主上は読んでくださるかな。定子ちゃんとの日々を思い出すのは辛いと思うけど、決して定子ちゃん(イメージの桐壺の更衣)を貶めるような内容でないのは、読めばわかるはず。その愛の思い出を美しく人に広めていただけるのが源氏物語なのだよと知れば、主上も思い出の整理がつくのではないかしら。ここから始めたまひろ、ナイスだわ。というか、大石さんの脚本すごい。すごく自然にここまでつながってきた気がする。

今回キュンキュンシーン多かった。
月を見上げる二人、見つめ合う目線、月を介してつながっていたんだと、心通わせる二人。
直秀の思い出を話す二人にあぁ、この二人には誰にも引き離せない強い絆があるんだなと胸が熱くなっちゃった。
賢子を膝に乗せる道長、そのあとのあふれんばかりの笑顔!まひろの(あなたのおとうさまですよ!)の声が聞こえてきそうでドキドキ。一生の思い出だよなぁ。

その月のシーン、ひとりずつのカット、大きく映される満月、演出的にはかなりベタな感じがしました。シチュエーションにキュンキュンしてたからいいんだけど、令和っぽくない感じではありました。あとの色紙ひらひらも立体感のない平面っぽい合成で、ちょっぴり物足りなかった。演出家さんによっても仕立てが違うらしいので、そういう裏方さんの発見もしちゃうほどこのドラマにハマってるってことですね。
主上の立ち居振る舞い、筆をとるまひろ、見事な衣装、、そういったものに助けられてるなぁ、、と感じる回でした。

2週間待たされたけど、存分に楽しみました。次回はいよいよ内裏に出仕だね。倫子ちゃんがちょっと怖そうなシーンがあるけど、まぁ、、まだまだ目が離せないということですね✨

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