2015.7.25 「ひと口でも多く」
緊急入院から4週間。抗がん剤投与の可否を診断する診察予約を2週間後に入れ、退院した。
リビングに移したベッドで横になり、準備しておいた歩行器で食卓やトイレに行く動作を確認した。本人が思うほど体がついていかず、見ている私はひやひやしたが、本人は自由に過ごせることに心底ほっとしたようだった。
午後は複数の介護事業所、主治医の訪問があり夕方までバタバタと過ごした。母は主治医と話すのを心待ちにしていたようだった。抗がん剤やその副作用、痛みが出たときの対処など、不安に思っていることを、直接確認していた。加えて、私が手配した叔母や父の介護サービスを利用した新しい生活について主治医が賛成しており、往診を続けると言ってくださったことが、何より心強かったようだ。
医師は「ともかく、次の通院までにひと口でも多く食べて、体力を回復しましょう。」と言った。次の通院で抗がん剤投与開始が決まること。それが母の目標になった。
その日まで47日。