アーティゾン美術館
美術館について
アーティゾン美術館はもともとブリヂストン美術館という名で1952年に開設されたが、2020年にArt×Horizonを組み合わせた「アーティゾン美術館」という名前で再オープンした。
美術館1~2階が8mものガラスで覆われ、また中には吹き抜けもあることで、開放的なイメージであり、展示室や家具もこだわっており、シンプルで洗練されたイメージであった。
私は今回、『Transformation 越境から生まれるアート』の展示会を見に行ったのだが、チケットを見せた後、展示室1番上に案内され、別の展示会から順に見ていき、結果3つすべての展示会を見ることになるというシステムだった。
『ジャム・セッション』
1番最初に案内された展示会は『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×柴田敏雄×鈴木理策 写真と絵画−セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策』だった。平日の昼時だったが、比較的客数は多く、年齢層も幅広かった。
当初見る予定のなかった展示だったが、コンクリート建築の写真作品や、セザンヌの作品と写真作品のコラボレーションがあり、興味深い展示だった。
『Transformation 越境から生まれるアート』
今回私のお目当ての展示、『Transformation 越境から生まれるアート』は、「越境」と「変化」を着眼点に、19 世紀半ばから第二次大戦後までのヨーロッパ、日本、アメリカの美術に注目し、ピエール=オーギュスト・ルノワール、藤島武二、パウル・クレー、ザオ・ウーキーの4 人の画家を特に取り上げていた。
気になった作品をいくつか紹介する。
ルノワールの「浴後の女」という作品。
女性の体の柔らかな質感や、布の質感など、1つの絵の中に異なる質感のものが集まっているにもかかわらず、全体的に柔らかく温かいイメージにまとまっていて、とても印象に残った。
藤島武二の「黒扇」という作品。
西洋人を描いた絵だが人物の顔のバランスや布の質感などが、西洋人画家と違った繊細な感じがあって、日本人らしいという印象だった。西洋人画家が描く女性像よりも個人的にはこちらの方が好きだった。
パウル・クレーの「島」という作品。
近くで見ると田んぼのようにも見えたが、少し離れてみると、微妙な色の組み合わせやグラデーションが非常にきれいで、印象的な作品だった。ただ、この作品が「島」という題名である理由が個人的にはしっくりこなかったが、一筆書きで描かれたような線がよく見ると多数の図形を形成しており、これが「島」のようにも見える気はする。
ザオ・ウーキーの「07.06.85」という作品。
鮮明で滑らかな青とざらざらとした質感を感じる白で、砂浜のイメージを感じた作品だった。彼の作品は、キャンバスの中央に横断するようにいろんな色や図形が混在するようなものが多く、色合いが非常に美しく幻想的な作品ばかりだった。
『ピカソとミロの版画』
最後に案内されたのが、「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 ピカソとミロの版画 —教育普及企画—」である。
ピカソとミロはいずれもスペイン出身で同時代に活躍した画家であり、抽象画で有名な画家である。作品の中には版画の作品もあり、それらを集めた展示であった。
ピカソに版画の作品があるというのは初めて知ったが、版画であっても、ピカソらしい抽象的な作品が多く、興味深い展示だった。
最後に
東京駅近くにこんな立派でおしゃれな美術館があるのは初めて知った。当初予定していなかった展示も見ることができ、非常に満足感の高い時間であった。
今回は入らなかったが、ミュージアムカフェも多くのヴェネチアンガラスの作品等が飾られており、内装もシンプルで落ち着いた感じで、次は訪れてみようと思う。