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アートフェア東京2022
アートフェア東京とは
もともと1992年にパシフィコ横浜で始まったNippon International Contemporary Art Fair (NICAF)がもととなり、2005年から、現代アートだけでなく、日本特有な古美術や近代美術等を含んだ形でのアートフェア、“アートフェア東京”が東京国際フォーラムを会場として開催されるようになった。
2022年版を訪れてみて
今回初めてアートフェア東京を訪れたが、もともと、草月流の華道の作品があることを知ったのがきっかけだ。
実際に足を運んでみると、広い会場に様々なジャンルの作品が作家ごとに展示されており、アート好きにとっては一日中楽しめるのではないかというほど素敵な作品にあふれていた。
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客層としては、アートに興味のある若者とお金持ちのパトロンという2つに分かれているという印象であり、作品を参考にしたい若いアーティストや作家の知り合いを含め若者ももちろん多かったが、作品を購入しに来るorアーティストをサポートしているような方は特に年配の方が多いと感じた。
気になった作品たち
一通り会場を回って、目に留まった作品を数点紹介する。
1つ目は、18歳の芸大生の作品である。
会場の中央一番奥のブースに差し掛かった時、一見グロテスクで感情を勢いのまま吐き出したような、それであって繊細で多彩な色彩を使った作品に目を奪われ、涙が出そうな感情に襲われた。
第24回岡本太郎現代芸術賞を最年少で受賞した大西茅布さんの作品だということを知り、若さゆえの勢いもあるのだろうと思うとともに、彼女の18年間の人生に隠れた闇のようなものを感じた。
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次に、中村宏太さんの作品だ。
本物のガラスに本物の弾丸を打ち込んだもので、9つの同じような作品を集合させた、「境界」という作品である。
砕けたガラスの美しさと弾丸の勢いを感じるとともに、”弾丸”という、普通に生きていたら出会うことのないものの実態に少し恐怖も覚えた。
なぜ「境界」という作品名なのか。中村さんの公式サイトには「ガラスの青緑色のひびの冷たさとフィルムの熱き色が混在する。ギリギリでガラスのフォルムを保ちつつ壊れる。美しさと暴力的危うさが同居する。それはまるで境界に立つ私たちのよう。」とあり、個人的には、異質なものを受け止めた時の衝撃と反発、受け入れようとする心の葛藤との、危ういバランスを示しているように感じる。
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次は、新宅加奈子さんの「I’m still alive」という作品。
カラフルで躍動感のある絵の具の動きに目を奪われた。
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新宅さんは、「生きている事を確認する行為」として 2010年から全身に絵の具を纏い始め、その行為をセルフポートレートとして展開したアーティストとして有名ということだ。
絵の具で描いた絵ではなく、絵の具を纏った体を写真に撮った作品だったということに衝撃を受けた。
体中に絵の具を塗ることを想像すると少し気持ち悪いと思うところもあるが、芸術作品として自分自身の体をキャンバスにするという表現方法は、斬新であるとともに芸術の根幹に立ち戻っているものでもあるように感じる。
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引用:https://artfairtokyo.com/
最後に、私がアートフェア東京を訪れるきっかけとなった、草月ギャラリーの作品を紹介する。
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いけばなの作品を想像して訪れたが、このような、木や花を使いつつも絵の具でまとめた作品や花器を使った作品などが多く、想像以上に「アート」な空間に驚いた。
ギャラリーエリアにいた方とお話ししたが、草月流は華道の流派の中でも自由な作品を作れる流派なので、ただ花を生けるだけでなくこのようなアート作品も作れるということだった。
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高校のころから華道を始め、それがたまたま草月流だったという偶然の出会いだが、日本の伝統文化もアートにつながるということを実感できた。
最後に
今回初めてアートフェア東京を訪れたが、アート・芸術好きにとっては、アーティストとして・購入者として・サポーターとして、目的は何であれ非常にお勧めできる催しだと感じた。
少々チケット代が高いかなという気がしていたが、実際に訪れてみると、様々なジャンルのアートに触れられる大規模な展示に、目も感性も大満足だった。
毎年開かれているものなので、ぜひ来年以降も訪れたいと思えるイベントであった。