HPVワクチンにもキャッチアップ接種助成の特例措置を
HPVワクチン接種のはざま世代
はざまというか、まだ接種率が戻っていないので、正確にはただのどん底なのですが、今後、積極的勧奨が再開して接種率が戻ったとしても、
2013年6月に積極的勧奨が差し控えられてからそれまでの間に定期予防接種の対象年齢だった子たちは、積極的勧奨が差し控えられていたがために無料接種の機会を逃してしまっています。
定期接種の対象年齢をこえてしまうと、自費で5~6万円かかります。
個別通知が届かなかったがために、無料でうてることを知らなかった人、
そもそもHPVワクチンの存在すら知らなかった人、
知ってはいたけど、情報が乏しくて以前の報道で抱いた不安が払拭しきれず接種を見送った人、
いろんなケースはありますが、いずれも、厚労省が積極的勧奨を中止していたがゆえで、
にもかかわらず、『対象年齢を過ぎたら自費』というのは、あまりに不公平ですしかわいそうです。
日本脳炎ワクチンには特例措置がある
実は、HPVワクチン以外にも、過去に積極的勧奨が差し控えられていた予防接種があって、それが日本脳炎ワクチンです。
定期予防接種の日本脳炎ワクチンは、2005年5月~2009年度の間、厚労省が積極的勧奨を中止していました。
そのために接種を受ける機会を逃した1995年~2006年度度生まれの人は、対象年齢を過ぎても定期予防接種として無料で接種できる『特例措置』がとられています。
なぜ積極的勧奨が差し控えられたかというと、以前使用されていた日本脳炎ワクチンの原料にマウスの脳組織が含まれていて、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)のリスクが否定できなかったから。その後、培養細胞由来の日本脳炎ワクチンが使えるようになり、積極的勧奨を再開。
2010年度(平成22)から積極的勧奨が再開して、定期接種を逃したはざま世代への特例措置もとられるようになりました。
予防こそ公費で
キャッチアップも含めてまたHPVワクチンの接種率が上がると、すごい予算が必要になるでしょうが、そういうのにこそ税金を使ってもらいたい。
日本は、いつでも3割負担で受診できるし、大病しても高額医療費の上限があるし、保険診療については本当に恵まれています。
でも、本当は、防げる病気は防いでもらいたい。
でも、人間、特に日本人は、元気なときは『予防』にコストをかけようとなかなか思えない。
だからこそ、『予防』に公費をつかって、国民の健康を守ってもらいたい。
『予防』の難しいところは、結果的に予防できても、元気な人が元気なまま過ごしているだけだから、恩恵がとても分かりづらい。
病気になると本当に困るから、そこに救いの手を差し伸べる方が、国民から感謝される(票が集まる)という、政治的な事情があるのかないのか分かりませんが、
票集めとか関係なく、国策としてなにをやるべきか、本質をしっかり見極めてもらいたいです。
HPVワクチンにも特例措置を
おそらく、政治的には、キャッチアップ接種助成の特例措置がとられるとしても積極的勧奨が再開してからになるのでしょうが、
本当に少しずつですが、昨年度くらいからじわじわ接種人数が増えてきていて、少しずつ情報が届いていっていると思われるので、
きっと恐らく、もう高校2年生になってしまったけど、よくよく話を聞いたらやっぱりうちたい、という人もいると思うのです。(実際、患者さんと話しているとそういうケースが多々あります。)
HPVワクチンは初交前の接種が最も効果的なので、そういう人たちもはやく接種してもらいたいと思うのですが、全く助成がないというのが本当にかわいそう。
ちなみに、性交渉の経験があると効果がないわけではないので、
たとえば、もう性交渉歴あるけどHPVワクチンを接種しそびれている人たちも、ぜひうってもらいたいと思います。
まとめると、
厚労省の積極的勧奨中止によって接種する機会を逃してしまった人への特例措置(キャッチアップ接種への助成)はとるべきで、積極的勧奨再開の検討と並行して検討してもらいたいです。
キャッチアップ接種への助成も、オンライン署名の厚労省と全国の自治体宛の要望の一つとして入れています↓
https://www.change.org/knowHPVvaccine
内容にご賛同頂けましたら、オンライン署名(無料)して頂けますと幸いです。