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欧州旅行が始まらない

 交換留学生なので学期中でも旅行に行きます。たまたまだがものすごく融通の利く時間割なので。ダラダラと書くので適当に切り分けていきます。

旅程

 今回の日程は0日目深夜に出発してそこから丸4日間。深夜にバスでロンドンからリーズに移動し、1日目の朝にリーズからフライトでラトビアへ。そして最終日の4日目にエストニアに移動してそこからロンドンにフライトするという前回に比べればかなりゆとりのある日程を組んだ。ここで2点補足しておきたい。

 1点目。なぜわざわざリーズに行くのか。リーズというと夜行バスで5時間ほどの距離がある。関西に住んでいるのに東京からフライトを取るようなものである。その理由は簡単。今回のケースではリーズからのフライトのほうが安く、なおかつロンドンからロンドン郊外の空港に行く値段(3000円強)と、ロンドンから夜行バスでリーズに行く値段が変わらないからである。体力さえあれば、行き先によっては、地方の空港へバスで向かった方がお得なのだ。

 2点目。なぜラトビアなのか。そもそもラトビアってどこ?ってなる人もいるかもしれない。ロシアとフィンランド・スウェーデンに挟まれた位置にあるヨーロッパの北東の国である。バルト海に面して縦に3カ国並んでいることからバルト三国と一般に呼ばれる。その真ん中の国である。何が有名なのかは正直知らない。なのに行くのは、フライトが安かったからである。主にそれだけ。でも、今は日本にいるのだが、ラトビア出身の友達がいて、留学中に行きたい国ではあった。友達の出身国って行ってみたくなる。こんなに日本と違うところで育ったのかとか、僕にとっては全くなじみのないこの国もあの人にとっては人生を過ごした故郷なんだ、みたいな感慨に耽られるからだ。せっかく僕とその国を繋ぐものがあるのに行かないなんてもったいない。
 あと、前回の旅行で東欧が楽しく物価も安かったことと、スペインに友達ができたことから、今のうちに行っとかないとなかなか行く機会がないだろうなとも思った。行けば何かあるでしょう。というわけで予定はこんな感じ。

0日目 23:30-05:30  ロンドン — リーズ(バス:2500円)
1日目 9:00-13:00 リーズ ー ラトビア、リガ(フライト:4000円)
4日目 21:30-22:45 エストニア、タリン ー ロンドン(フライト:3000円)
※ラトビアーエストニア間の移動や宿泊する宿は予約せず

旅程2

 さて、家からバスターミナルまでおよそ1時間弱。乗車はかなりギリギリでもいいから、1時間ちょっと前に家を出発して意気揚々とバスターミナルに向かう。ところが最寄り駅で何かのイベントがあってそれが終わった直後らしく、駅が人でごった返している。地下鉄も動いてはいるがホームで身動きが取れない。そして普段は使われていないホームにも電車が止まっている。この時点で焦った僕は普段使われていないホームの電車に飛び乗った。あとからどんどん人が乗ってきて車両の真ん中に押し込まれる。
 ところが、5分待てど10分待てど一向に発車する気配がない。乗客も痺れを切らし始めている様子である。しかも、見えないのだがどうやら向かいのホームの電車は発車している気配がする。この時点でかなり嫌な予感がしていたのだが、何かおかしいと思った乗客たちが降りて駅員と話しているのを聞くと、どうやらこの電車はいつ発車するか未定の臨時電車らしい。なんと。どうやら最初はいつ発車してもいいから人込みを避けたいのんびりさんが乗っていたところ、勘違いしたほかの客が雪崩れ込んだよう。せめて電光掲示板に出発時刻を書いていてほしかった……
 慌てて向かいの電車に乗ると皮肉なほど速やかに発車し、慌てて向かうも間に合うかかなり怪しい。必死に乗り換え、必死に走ったが、3分ほどの差でバスに間に合わなかった。地団太を踏みたいくらい悔しいが、20分後の、直前なせいで倍額になっているバスを予約。無事にその日の最終便が出発した。すこしギリギリになるが、なんとかフライトの1時間前には空港に着きそうだ。オンラインチェックインは済ませてあるのでそこまで焦る必要はない。良かった……深夜なので間もなくバスで眠りについた。

 何かがおかしい。止まるはずのないタイミングでバスが停車している。しかもさっき目を覚ました時とバスの場所が変わっていない。しばらく眠気に耐えていると案の定バスが何かしらの問題で止まっているという。スマホでトラッキングの結果を見ると、本来2時間前に通り過ぎているべき場所に位置情報の赤いマークが灯っている。終わった……。アナウンスによれば交通状況にもよるが「5分後」に代わりのバスが来るから乗り換えてほしいとのこと。いや5分後に着く位置だったら交通状況くらいわかるやろ。深夜の田舎道やぞ。小学生の遅刻の言いわけか。当然、5分で来るはずもなく、30分後くらいに来たバスに乗り換えて目的地に向かう。
 ちなみに運転手たちはこの機材トラブル無理そうやなと思ったのか、代わりのバスを待つ間のんびり談笑したりしている。代わりのバスの運転手も陽気で、出発する前に「Hi, good guys!」とか言ってかましてくる。乗客も「Thank you for coming for us!」とか言ってる。いや、そうやけど!トラブルだから、運転手たち何も悪くないし、代わりのバスに関しては予定外に来てくれてありがとうやし、そもそもその辺のフランクな空気はめっちゃ好き。こういうゆるさはぜひ日本にも見習ってほしい。でもこっちはフライトに間に合うかどうかがかかってて……

 結局2時間のビハインドは1分も縮まることなく、バスはしっかり定刻の2時間遅れで到着。一縷の望みにかけて空港へのバスに乗るも、アプリでもうすでに搭乗が終わってしまったことを知る。絶望。まさに踏んだり蹴ったり。何もすることがないのにロンドンから遠く離れたリーズ・ブラッドフォード空港に立ち尽くす人になってしまった。これまで、旅の途中で大小様々なトラブルに遭遇したことはあるが、旅を始められなかったのは初めてだ。

 さて、どうしたものか。選択肢は3つ。ロンドンに帰る。帰りの飛行機代は無駄になるが3000円である。旅に出ていたら生じたであろう出費を考えるとまあ、見捨てられなくもない額だ。ふたつめ。行き先を変える。もうリーズにいるのだ。このまま移動コストの少ない国内旅行にしてしまうのも良い。直前でも安い海外にシフトしてもいいだろう。泊数も短くできる。みっつめ。飛ぶ。なんとか飛んで、なんとかエストニアについて、帰りのフライトで帰ってくる。
 散々悩んだが、みっつめの「なんとかエストニアに行く」にした。まず、このまま帰宅はない。旅行に行けもしなかったなんて気分が下がることこの上ない。気分を上げるために旅行に来ているのだ。次に行き先を変えても仕方がない。国内旅行はテンションが上がらないし、結局物価も宿代も高い。いろいろ調べたが、直前で安い海外などそうそうない。特にエストニアからの帰りの飛行機よりも安いフライトなんてないだろう。
 そもそも、もうだいぶラトビアとエストニアが楽しみになってしまっているのだ。しかも、おそらく今行かないともう行かない。行くしかないのだ、と思った。でもどう行くかが問題だ。直前のフライトを調べるともうラトビア行きやエストニア行きは30000などである。論外。結局、なぜかそこだけは安いポーランドに、リヴァプールの空港から向かうことにした。リヴァプール発ポーランドのカトヴィッチェ着のフライトがかろうじて6000円くらいであったのだ。リヴァプールまでも3000円くらいで行くことができる。

 つまり新しいプランはこうだ。リーズに今いる。そしてリヴァプールに移動。リヴァプールからポーランドのカトヴィッチェに飛ぶ。2日目の早朝(深夜)3時前に着くので、そこからなんとかして4日目の夜9時までにエストニアに移動する。嗚呼。今回はラトビアでゆっくり3日近くも過ごすはずだったのに、海外渡航が1日遅れた上に移動距離はべらぼうに増えてしまった。どうなることやら。

まだ空港に着いてすらないのに……

イギリス(リーズ)

 せめてリーズくらいは観光しておこうということで、空港から無為に引き返し、次のリヴァプール行きのバスまで4時間ほど見て回ることに。王立武具博物館などという、厨二心をくすぐる施設が、しかも無料であるというので鑑賞。あらゆる武器やら騎士の甲冑、ピストル、果ては日本の鎧兜まで様々なものが置いており、いろんな人の厨二心を満たしてくれそうである。せっかくなので記念にポストカードを購入。エレガントな模様の入ったピストルの写真が載っているシンプルなものにした。無骨かつ優美でこの場所の雰囲気をよく表していると思う。
 ちなみに、日曜の昼ということもあってか、家族連れがかなり多かった。たしかに、男の子は喜ぶこと請け合いだろうし、無料だし、特段グロテスクな展示もないし、ちょうど良いだろうが、変に他者を殺傷する道具である武器に親しみを持つのもどうなのだろう。武道でも始めるならともかく、武器に変な憧れを抱かないといいが。

おしゃれスポットも完備

 そのあとは、ショッピングエリアをぶらぶらして充電ケーブルを購入。また、スーパーマーケットで軽食を買って食べる。家にいるときは自炊でかなりいい食事を食べているのに、ひとたび外に出ると700円も払ってケバブサンドとパンひとつである。しかもこれでセット価格になり600円くらい安くなっているのだからやってられない。これだから物価地獄は。

今日はこれ一食であった


 リーズの街は、もちろんロンドンなどと比べようもないほどの小規模だが、おしゃれなショッピングエリアがそこそこの広さで充実していて楽しそうである。大きめのショッピングモールからブランド品が揃ったアーケードに飲食店が並ぶ通りなどなんでもござれだ。クリスマスマーケットももうそろそろ始まりそうである。いや、時間が早すぎただけで始まっていたかもしれない。

 いい頃合いの時間になったところでバス停へ向かい、リヴァプールへ。まだ国外は愚か空港についてすらないが、すでになかなかの字数になってしまったので旅行本編は別で書きます。旅に出られなかった話。

始まりかけのクリスマスマーケット

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