ユニバーサル・デザイン
ユニバーサル・デザイン―バリアフリーへの問いかけ
本来必要だったのは、特定の人のための特別なやりかたではなく、みんなのための普遍的なものだったのです。あとから取ってつけたような「従」の発想ではなく、「主」に対する本質的な問いかけだったのです。
つまり、いろいろな配慮は決して障害のある人のことだけを考えて作るのではなく、もっと幅広い人が自由に使えるように作られるべきだったのです。適切な支えを提供することができれば、高齢になって事情が若いときとずいぶん違ってきても、もっと長く元気でいられるし、たとえ誰かの助けが必要になったとしても、社会への関わりを保ち続けることができるのです。
求められているのは、特別扱いではない方法でバリアをなくし、みんなが自由に使える環境を作ることです。これがユニバーサルの考え方の原点であり、それの実現がユニバーサル・デザインと呼ばれるものなのです。
ユニバーサル・デザインの仕組みをつくる―スパイラルアップを実現するために
建築や都市環境は人間が社会生活を送っていく上での基本的な装置です。その中で人間は暮らし続けてきたのに、今になって反映されないニーズがあることに気付いて、それを再検討しなければならないということ自体、ある意味で不幸なことかもしれません。そういう意味で、ユニバーサル・デザインはそれが達成されたときには議論の必要がなくなるという「自己消滅型」の考え方といえるでしょう。
ユニバーサル・デザインの終わることのない活動を支えられるのは、様々な人とのふれあいの中から態度変容、行動変容を起こした人たちです。その意味で、ユニバーサル・デザインを支えるもっとも大きな要素は人材であるといえ、そういった人を少しでも増やしていくために、常に人材を育てるといった視点での活動が求められるのです。