【WCAG2.1 アクセシビリティ対応】 コントラスト比の罠
株式会社アジケでUIデザイナーをしているやまもとです。
唐突ですが皆さんオレンジ色についてどのようなイメージをお持ちですか?
オレンジは様々な企業のコーポレートカラーやアクセントカラーとしても使用されていますね
私が担当しているPJにもオレンジ色のボタンパーツが使用されています。
現在アクセシビリティ強化に伴い、デザインシステムガイドラインアップデートを行っており、コントラスト比の見直しを行うことになりました。
見直しにあたり、このオレンジ色のコントラスト比に大いに悩まされることになります。
今回はアクセシビリティコントラスト比と戦った記録を書いていきたいと思います。
課題
使いやすく取り入れやすいオレンジには、1点の大きな課題があります。
それは背景オレンジ、テキスト白のデザインにおいてコントラスト比クリアが非常に難しい点です。
この時、WCAG2.1の基準に沿ってコントラスト比を確認すると、コントラスト比はクリアされていないことがわかります。
クリアできるようデザインを調節した場合、以下のような見た目になります。
そうです。微妙ですよね。
オレンジ色はコントラスト比がクリアできるまで調節すると、もはやオレンジ色ではなくなるのです。
なので、これで決定とするか、イエスを出しづらい状況が続いていました。
白抜き文字でも十分に見やすくないか…?と思っていましたが、自分ではロービジョンの見え方がわからないし、この時、WCAG2.1は絶対だったため、ひたすらクリアするにはどうするか?の観点で考えを巡らせていました。
コントラスト比迷子になる
色々検討しましたが、議論は難航し、どんどんオレンジ色のコントラスト比沼にハマって行きました。
このままだとデザインの幅が狭まれどんどんデザイナーが苦しくなってしまう、、と思っていたときに、興味深い記事を発見します。
下記2つの記事は海外のもので、内容として私が直面している課題について答えを見つけた!と思えるようなものでした。
Orange You Accessible? A Mini Case Study on Color Ratio
この記事は、オレンジ色についてコントラスト比観点で書かれています。
ざっくり説明すると背景オレンジに黒テキストボタンがコントラスト比率的にはクリアだけど、白テキストだと本当に見づらいのか?
いやいや、そんなことはない、白テキストでも十分なはず…よし実際に見え方をテストしよう!というような内容です。
まさに、私の直面している問題に対してマッチする記事でした。
記事内に書いてあるように、様々なロービジョンユーザーに対してテストを行なっているため、かなり正確な情報が取れているのではないかと思います。
TheMyths of Color Contrast Accessibility
この記事は、直訳すると「色のコントラストのアクセシビリティの神話」となります。
神話って日本人には全く馴染みがないのですが、海外ではよく使われるらしく「神話=よくある間違いやあるある」と思ってください。
ざっくりと説明すると、コントラスト比について、全部は正しくはないけど、みんな正しいと思っていること=神話ってたくさんあるよね。その神話について1つづつ解説をしている内容です。
1番初めに解説されている、Myth 1: The WCAG requirements are always optimal(神話1:WCAG要件は常に最適です)の内容が私の直面している課題にマッチかつ、+αの内容になっています。
+αの内容とは、白色についても言及しているところで、白は色ではない説を説いています。
本来、色は無彩色と有彩色の大きく2つに分けられます。
概念として、有彩色(色相や彩度がある)に対して無彩色(色相や彩度がない)と対義語になっておりフルカラー(色あり)に対してモノクロ(色なし)の考え方ができます。
また白は、光の色として人間が知覚できるともされており、白は光や輝きと言った考え方もできます。
ただ物体色としての白色も、もちろんありますが、Web上では前者の方が近いと言えます。
コントラスト比との決着
解説した2つの記事は、WCAG2.1に物申している内容ではありますが、WCAG2.1はWebコンテンツにおいて最良であるとも書いています。
その中で、先ほど紹介した、Myth 1: The WCAG requirements are always optimal(神話1:WCAG要件は常に最適です)の最後の文章がアクセシビリティとデザインの決着であると、私は思いました。
直訳だとちょっと難しいですが、和訳すると「地図を見ただけでその土地を把握できないのと同じように、WCAG2.1に書いてあることが全ての状況に対して最適解を与えるわけではない」と書いています。
この英文の意味が理解できた時、長き戦いが終わった気持ちになりました。
最後に
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
最近アクセシビリティに取り組み始めている企業も多くなってきていると感じています。
もし同じ課題に直面している人のヒントになれば幸いです。
また、アクセシビリティは高齢者や障がい者向けと思われがちですが、そうではなくアクセシビリティ項目を達成することで、全ての人に使いやすいUIデザインを作ることができます。
デザインする際は是非1度アクセシビリティの観点から考えてみると、思いもよらぬUI/UX改善に繋がるかもしれません。
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