【イスラエル・ジャズ】2020年ベスト5
「イスラエルのジャズが熱い」
と、去年バンドメンバーに教えてもらい、色々聴いてみると思いのほかハマってしまった。
その魅力はなんといっても、テクニカルで小難しく、それでいてハーモニーが美しく聴きやすくて、中東と西洋の要素が交互に出てくる所である。
去年父親がイスラエルに仕事で行き、それはそれは面白いところだったらしい。
「ダビデの墓と最後の晩餐の場所が同じところにあるねんで。ありえんくない?」
とのことだ。
エルサレムは太秦映画村のように見どころがギュッと近場に詰まっていて、観光もしやすいようだ。
私もコロナが収束したら行ってみたいと思って、色々調べている。
というわけで、今年よく聴いたイスラエルのジャズやプログレを紹介してみようと思う。
1, Pinhas and Sons 「מדובר באלבום(About an Album)」
イスラエル・ジャズを調べ始めて一番最初に好きになったバンドだ。
ライブ映像なんかはビフォーコロナ時代の至高といってもいいと思う。
複雑な構成にもかかわらず聴きやすい楽曲と、ふくよかな歌声がとってもいい。
このバンドを知ってから、ヘブライ語ばかりの曲名を追って目が変になっていたが唯一の英語タイトルのこの曲は、「ああ、いい曲~」と思わせといて変態的な要素が随所に散りばめられていて、とても聴きごたえがある。
2, Rejoicer 「Heavy Smoke」
イスラエルのHiatus Kaiyoteと言われるネオソウルバンド、Buttering Trioのビートメイカー。
音的にはドリーミーでサイケな一面もあるが、基本的にはとてもおしゃれで心地よい。
去年から聴き続けているが、これ聴きながら大阪~名古屋間の電車で寝落ちしたときにとても気持ちよかった思い出がある。
これが良すぎて、今年初めに出た2ndアルバム「Spiritual Sleaze」はまだ聴いていないし、今年3月には大阪にライブしに来てたらしいが行っていない。行けばよかったな。
3, J. Lamotta すずめ 「Brand New Choice」
テルアビブ出身、ベルリン拠点のトラックメイカー・シンガー。
「すずめ…ってなんなんだ?」と思いながら聴くと良い意味で裏切られる、とてもクールな楽曲がかっこいい。
前作「Suzume」はもっとオーガニックでまろやかだったが、今回はよりビート感の増したR&Bという感じ。
「Suzume」のリード曲「Turning」のリミックスも入っているが、原曲よりうさん臭くなっててこれはこれで良い。
4, Yoni Rechter 「יוני ג'ירף」
テルアビブ出身の作曲家・ピアニスト・SSW。
Yoni Rechter自体はジャズ/プログレの人だと思っていたが、このアルバムのジャンルは「チルドレンミュージック」になっていたのでほんまかいなと思った。
子供番組にでも使われたのだろうか。アレアのパトリツィオ・ファリセッリも子供番組の曲作ってたしな。
それはともかく、このアルバムの曲調はYesやGentle Giantを感じさせるハーモニーがふんだんに使われた、Gongの「You」前半みたいなかわいいプログレポップ。
この人の入門編アルバムが「התכוונות (INTENTIONS)」らしいが、Gentle Giantのケリーミネアの影響をすごく受けてるんだろうなという印象。
ちょっとカンタベリーロックな感じもする。
5, Anakdota 「Overloading」
2016年の作品だが、知ったのは最近なのでランクイン。
プログレ/コンテンポラリージャズな感じで、ピアノもベースもドラムもとにかく超絶技巧で弾きまくる、叩きまくる。
とくにベースのガッガッというアプローチが好きだ。アンソニージャクソンなんかが近いかもしれない。ただ難を言えば、基本的にどの曲も激しく壮大に歌い上げる感じなので、全部同じ曲に聞こえる。ちなみにこのアルバム以降、AnakdotaにはPinhas and Sonsのベーシストが参加しているらしい。まだ聴けていないけども。
ヘブライ語の曲ばかり追って意味の分からない1年だったが、まだイスラエル・ジャズといえばこの人!(アヴィシャイ・コーエンとか)みたいなのを聴いてないので、これからも時間を見つけてどんどん掘っていきたいなと思っている。